多面的機能支払交付金の取り組みについて

【平成30年7月24日ラジオ放送】

担当者:深渡戸ふるさと保全会 会長 滝田 国男
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は「土地連だより」をお送りしましょう。
お話は、白河市表郷 「深渡戸ふるさと保全会」 会長の滝田国男さんです。
滝田さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。よろしくお願いいたします。

司会者

今朝は、白河市表郷地域の「深渡戸ふるさと保全会」の「多面的機能支払い交付金」の取り組みの活動について、お話をお伺いします。
初めに、保全会があります白河市表郷地域を、ご紹介いただけますでしょうか。

担当者

はい。
白河市は、福島県の中通り地方、南部に位置し、古代には奥州三関の一つ「白河の関」が置かれ、みちのくの玄関口として知られています。
私たちの保全会がある白河市表郷は、平成17年11月「平成の大合併」により白河市と一つになった旧表郷村で、我が深渡戸集落は市の東端に位置しています。
平坦な水田地帯が広がる農村地域です。

司会者

自然豊かで、のどかな農村地域なのですね。
それでは、「深渡戸ふるさと保全会」の組織について、教えて下さい。

担当者

はい、「深渡戸ふるさと保全会」のある、深渡戸集落は 35戸の小さな集落で、農家25戸と非農家10戸で構成され、町内会・農事組合・老人会・子供会・消防班それに2年前に誕生した農事組合法人の6つの団体で「多面的機能支払い交付金」の取り組みを実施しています。
かつて、旧表郷村時代の昭和40年に「県営ほ場整備事業」が、福島県内で三番目の地区として着工され、その最初の工区が我が「深渡戸集落」でした。
当時、農業の近代的なスタートを切った私達の地域が、「多面的機能支払い交付金」の前事業である「農地・水・環境向上対策事業」にも、一番先に取り組み、スタートを切ったことも何かの縁なのかな!と感じています。
昨今、全国的に農家戸数の減少、従事者の高齢化等、農業の担い手不足が大きな問題となっています。
私たちの集落でも同様の現象を危惧する話が出始めていました。
そこで、私は、主産業であるはずの水田農業をどう維持するかを、集落の共通課題として取り上げ、その解決策と思われる「農地・水・環境向上対策事業」、現在の「多面的機能支払交付金事業」の取り組みを集落の住民に働きかけを始めました。

司会者

深渡戸集落は、当時の「農地・水・環境向上対策事業」に取り組まれた頃、どのような変化がありましたでしょうか。

担当者

当時は、どこも取り組んでない事業に、住民の中には不安感や疑問を抱いた人もいました。
しかし、集落全体が将来のあるべき姿を理解し、手探りながらスタートした「農地・水活動」でした。
結果は想像を超えた活動の成果が出て、語らいが少なくなっていた住民が、同じ目的に同じ汗をかくことで、共通の話題で語らいが出来ることなどを感じました。
また、我が組織の取り組みを参考にしたいと、県内各地から視察が相次ぎ、組織立ち上げの苦労話や活動の実例などについて学んで行かれ、その後組織を立ち上げましたと、お礼の電話を戴きました。
「成せばなる何事も」だと、うれしく思いました。

司会者

それでは、「深渡戸ふるさと保全会」の活動について、具体的に教えて下さい。

担当者

はい、先程もお話をしましたが、「保全会」は、6つの団体が深渡戸集落において、各活動の役割をそれぞれ担っています。
町内会は農道の清掃・ゴミ拾い。
農事組合は水路の泥浚いや草刈り、農道の砂利敷き。
老人会は環境活動として「花の植栽と管理」を行っています。
子供会も花の植栽と管理、更には生き物や水質の調べを行っています。
消防班は大雨が降った後のため池などの施設点検を行っています。
農事組合法人は農地の耕作放棄地発生を防止するなど、それぞれが役割を担うことで、組織の一体化が図られています。
これら主な活動は、4~9月に行われ、施設の点検、機能診断、補修等は農業に支障のない時期に行っています。

司会者

それでは、これからですけれども今後、「深渡戸ふるさと保全会」がどのような活動を進めて行かれる予定なのか、考えを教えていただけますでしょうか。

担当者「水田や畑は、一体誰が守るのだろうか?」と考えた時、それは農村地域共通の課題として、日常の生活区域、つまり集落で守り続けることが、好ましい姿だと思っています。
私も親から受け継ぎ農村の美しい景観を見ながら生きてきました。
この光景は是非とも次の世代へバトンタッチしたいと思っています。
そうすることで、農村集落の未来はあると思っています。
「深渡戸ふるさと保全会」が活動を開始して10年を超えました。
この活動が基礎となり現在表郷地区に13の組織が活動をしています。
ようやく、この活動の良さが、それぞれの住民にも受け入れられたことだと思います。
しかし、課題もあります。それは、活動組織を支えているのが、どこも高齢の方々だということです。
活動の段取りや指示には適役ですが、事務的な作業の処理となると、年々負担となってきています。
今後も持続ある活動組織として存在出来る解決策は、この事務作業を外部に委託して、活動に専念出来る環境を作ることが必要だと考えています。

司会者これまでの活動の成果が実を結んでいる最中、「深渡戸ふるさと保全会」が表彰を受けられたとお聞きしましたが。

担当者はい。
平成27年に長年の道路美化活動が認められまして、県知事が会長を務めます、「福島県道路愛護会」から、表彰を受けました。
住民全員へのご褒美と受け止めています。
20代の時、私はドイツ視察に行かさせてもらいました。
その行った先で、「わが村は美しく」という活動がとても強く印象に残っていました。
今、少しずつですが、その「美しく」というところに、近づけたかなと思っています。今後さらに地域に責献できる組織を目指して行きたいと考えています。

司会者滝田さん、今朝は、ありがとうございました。
「土地連だより」、今朝は、白河市表郷地域「深渡戸ふるさと保全会」会長の滝田国男さんでした。