農業用ため池の防災・減災対策について

【平成30年9月27日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部農村基盤整備課 技師 蘇武 恭兵
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は「土地連だより」をお送りしましょう。
お話は、福島県農林水産部農村基盤整備課の蘇武恭兵さんです。
今朝は、「農業用ため池の防災・減災対策について」お話いただきます。おはようございます。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

ため池といえば、農業には欠かせない施設だと思うんですが、福島県にはどのくらいのため池があるのでしょうか。

担当者

福島県には約3,700箇所の農業用のため池があります。ため池は農業用水ばかりでなく、地域用水機能や生態系保全機能を併せ持つ他、防災機能として通常の雨であれば洪水の一時的な貯留による下流の被害軽減にも役立っています。しかし、近年の異常な豪雨では、限界を超えてしまい、大きな被害を引き起こすことがあります。

司会者

はい。先日の西日本豪雨でもため池が決壊して、被害が出ていましたよね。

担当者

はい。西日本豪雨ではため池が決壊し、尊い命が失われるなど大きな被害を受けました。これを受け福島県では、7月下旬から8月末にかけて、市町村や土地改良区の方々に協力していただき、農業用ため池の緊急点検を実施しました。
点検結果で応急措置が必要であると判断されたため池については、工事で改修や補修を行っていく予定です。また、応急措置が必要ではないため池についても、管理体制の強化が必要と感じています。

司会者

はい。今回のテーマにもある防災・減災対策ということなんでしょうか。

担当者

はい。そうですね。
不具合のあるため池を改修や補修を行うことで未然に災害を防ぐことができます。それがテーマの一つである防災対策です。

司会者

ただ、異常気象が続く近年ですが、すべての災害を未然に防ぐというのは、なかなか難しいことではないでしょうか。

担当者

はい。どんなに対策を施しても近年多発している異常な豪雨など、防ぎきれない災害があるため、すべての災害を未然に防ぐのは難しいと考えています。そのため、身近にどんな施設があるのかを知り、避難する場所やルートを確認するなど、常日頃から災害への備えをしておくことが重要になってきます。

司会者

はい。その災害への備えがもう一つのテーマの「減災」ということなんでしょうか。

担当者はい。災害への備えにより少しでも被害を減らすことが減災対策となります。ただ、そのためには皆さん一人一人に災害への意識を高めていただくことが必要になります。福島県としては、東日本大震災でのため池被害の教訓から、「ふくしま水土里の防災力アップ運動」という事業を立ち上げ、ため池ハザードマップの作成支援などを行っています。

司会者ハザードマップといいますと地域の防災計画として河川ハザードマップなどはイメージできるんですが、具体的にため池ハザードマップとはどのようなものなんでしょうか。

担当者はい。ため池ハザードマップとは、万が一ため池が決壊した場合に、ため池に溜められていた水がどのくらいの時間でどの範囲に流れ込んでいくのか、避難場所がどこにあるかなどを地図や航空写真上に表したものです。

司会者はい。ハザードマップを見ることで緊急時にどの道を通って避難場所まで行けばいいのかを確認できるということなんですね。

担当者はい。どこにいたら危ないのか、どこへ避難すればよいのか、どうやって避難すればよいのか、地域の子どもやお年寄りは大丈夫か、誰に連絡すればよいのかといったことを、地域の皆さんで考えていただければと思います。

司会者はい。それでは、ハザードマップの公表はどのような方法でされているのでしょうか。

担当者ため池ハザードマップは、作成している市町村毎に公表されており、市町村のホームページや地域の掲示板、住民回覧など様々な方法で公表されています。

司会者はい。そうしますと目にする機会は多いということですよね。

担当者はい。それでも、西日本豪雨では河川のハザードマップが公表されていても知らなかったという声もあり、住民の皆様にご理解を深めていただくにはまだまだ課題が多いと考えております。

司会者はい。何か具体的な取り組みは、予定していらっしゃるのでしょうか。

担当者ワークショップ形式で住民の皆様と一緒にハザードマップを作成することで、より身近なものとして感じていただくという取り組みについて、イベントや研修会などあらゆる機会を捉えて、ハザードマップの活用とその意味をお知らせしていきたいと考えております。

司会者はい。災害が多発していることで住民の方々の危機感も強くなっているので、そういった機会は今後重要になってきますね。

担当者はい。
今日は、ため池の防災・減災の取り組みについて説明させていただきましたが、当然災害の時はため池だけでなく、小さな水路でさえ人の命を奪うことがあります。身近な場所に潜む危険について、このような取り組みをきっかけに住民の方々が話し合うことで地域全体の防災力を強化していただきたいと考えています。

司会者はい。ありがとうございました。
今朝は「農業用ため池の防災・減災対策について」
福島県農林水産部農村基盤整備課の蘇武恭兵さんにお話をうかがいました。