中山間地域等直接支払事業について

【平成19年8月29日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部(農村整備領域) 農山村整備グループ主査 会田 修一郎
司会者:RFCアナウンサー

司会者

はじめに、「中山間地域」とはどのような地域なのでしょうか。

担当者

はい、「中山間地域」とは、一般的には、平坦部以外の地域を指して言います。この地域は、河川の上流域に位置し、傾斜地が多いなどの地域特性を持っています。福島県全体では、面積の8割程度を占め、人口の約2割の方々が生活している地域です。農家数や農地面積では、全体の4割以上を占めており、農業や農村の中では重要な位置にあります。

司会者

中山間地域の農業生産活動は、食料の生産以外に重要な役割があるようですが。

担当者

はい、中山間地域の農地や農村は、食料を安定的に供給するという基本的な役割を持っている他に、水田や畑やため池は、川の流れを安定させ、洪水を防ぐダムに相当する働きを持っています。また、傾斜地の水田は、土壌流出を防ぐダムと同じような働きをしています。いずれも、県民の生活基盤を守る重要な役割と言えます。このような、農地や農村の食料生産以外の機能を農地・農村の多面的機能といいます。

司会者

大変重要な役割を担っているのですね。他にもありますか。

担当者

はい、更に、中山間地域の農村には、きれいな水、澄んだ空気、美しい緑など都市では見られない景観や環境により訪れた人の心を安らかにする働きがあります。これを保健休養機能といいます。その他にも自然環境や伝統文化の保全、大気をきれいにする働きなどいろいろな役割を持っています。

司会者

一方で、中山間地域では、多面的機能の維持が難しい状況にあると聞きますが。

担当者

はい、やはり、中山間地域は、傾斜地が多く、まとまった耕地が少ない地域ですので、この地域の田や畑は、平地に比べ生産費が嵩むことになります。また、65歳以上の農業従事者の割合が比較的高く、高齢化も進んでおり、農業の後継者不足も深刻で、耕作放棄の増加による多面的機能の喪失が強く懸念されています。

司会者

そこで「中山間地域等直接支払事業」の登場ですね。

担当者

はい、この制度は、中山間地域の農地・農村が持つ多面的機能を確保するため、「中山間地域で農業をしている人達を支援しましょう!」という制度です。具体的には、傾斜等により条件不利な農地を管理する農業者等の人たちが、「5年間以上農業生産活動や多面的機能の増進などの活動に取り組みます。」という内容の協定を締結し市町村から認定を受けます。この協定に基づく活動に取り組んで頂ける場合に国、県、市町村が協力して支援するものです。平成12年度よりスタートした事業です。

司会者

多面的機能を守るための協定に基づく活動について、具体的に教えてください。

担当者

はい、協定に基づき農地の保全や農道・水路の適切な管理をしていただきます。もちろん制度上、決められたルールを守り、耕作放棄地を発生させないことが条件となります。これに農用地と一体となった周辺林地の管理や景観作物の植栽、体験農園等を通じた都市住民との交流など多面的機能の増進に結びつく活動を、1つ以上を実施していただきます。

司会者

平成17年度から2期対策になったそうですけど。新たな制度の仕組みに教えてください。

担当者

はい、全ての協定が、集落の実情を踏まえた上で1毎0年から15年先の将来像を明確にし、その実現に向けた5年間の活動目標と年度のスケジュールを盛り込んだ集落マスタープランを作成し、これに取り組んでいくことになりました。更に、交付単価も集落の活動内容に応じた交付単価に変わりました。将来に向けた農業生産活動等の体制整備に向け一定の取組みを行う協定が体制整備単価、取組みを行わない協定は体制整備単価の8割相当の基礎単価の交付を受ける制度になりました。

司会者

現在の活動状況について教えてください。

担当者

はい、平成18年度現在、47市町村、1,433協定が活動に取り組んでいます。適切な農業生産活動を通じて耕作又は管理されている面積は、約1万6千ヘクタールとなりました。個別の活動については、将来に向けた前向きな取組みが活発に行われるようになってきています。集落営農の分野においては、農用地利用改善団体の設立や、受託組合の設立などにより、農地の集積が進んできています。また新たに特別栽培米を作付する事例や、共同取組活動資金を活用してみそ工房を作った事例など高付加価値型農業の実践に向けた活動も生まれました。更に、「人と自然に優しい集落をつくろう」と、減農薬、減化学肥料によりミツバチ、蛍、タニシなどの生きもののあふれる農地づくりをしようと頑張っているところもあります。

司会者

それでは、県として農家の皆さんに期待していることはありますか。

担当者

はい。今年度は5年間の活動のちょうど折り返し地点あたります。協定の活動を行っている皆さんには、中間地点での進捗状況の確認をお願いすることになります。県としても今後、皆さんの支援になるような情報を積極的に提供していきたいと考えております。最後になりますが、この制度は、「とても良い制度だ。」という話を良く聞きます。そこで、「どこが良いのですか。」と聞くと、「交付金の使い道を国でもなく、県でもなく、市町村のガイドラインを参考として、現場の集落が中心となって考えるところがいいのだ。」という答えが返ってきます。交付金を上手に活用して平成21年度のゴールに向けてしっかり前に進んでいただきたいと思います。そして、ぜひとも「集落の将来像」を実現していただきたいと思います。