「農業集落排水事業の取り組み」について
猪苗代町
【平成19年11月22日ラジオ放送】
担当者:猪苗代町 上下水道課 課長 熊谷 喜一
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「土地連だより」は、農業集落排水事業の取り組みについてご紹介いたします。お話しは、猪苗代町上下水道課長の熊谷さんにお伺いします。
はじめに、お伺いしますが、猪苗代町の取り組みの経緯について、お話をいただきたいと思います。
担当者
本町の美しい自然と清らかな河川や小川、そして福島県のシンボルである猪苗代湖は、美しい自然環境に恵まれ、我が国を代表する観光地の一つとなっております。しかし、近年、生活様式の変化により、河川や農業用の用水路や排水路の水質の悪化が見られ、本町の農業や観光へ与える影響が心配されるようになりました。
改善策として、本町では下水道事業を導入し、昭和55年度より中心市街地は公共下水道事業で整備を目指し取り組んできました。
その後、農村部は、少し遅れて、平成4年度に農業集落排水整備計画を策定しました。
平成13年度に見直した、町の下水道化構想では、町全体の111集落を公共下水道1処理区45集落、特定環境保全公共下水道2処理区8集落、個別処理の合併処理浄化槽整備事業の20集落、そして、農村下水道といわれている農業集落排水事業9処理区の38集落として町全体をカバーする計画でございます。
現在、農業集落排水事業は、白津地区、金曲地区が平成10年度から、樋ノ口地区が平成13年度から、湖岸地区が今年3月から全面供用開始になり現在4処理区が稼動しており20集落、663世帯が農業集落排水事業の恩恵を受けております。
司会者
農業集落排水事業の整備状況はどのようになっておりますか。
担当者
町全体の整備率は、合併処理浄化槽を含め、普及率で75.3パーセント、水洗化率は72.8パーセントになっております。町全体から見た、農業集落排水事業の普及率は、13.4パーセントを占めております。
司会者
わかりました。また、猪苗代湖は、環境省の水質調査で、4年連続日本一と伺っておりますが、農業集落排水事業との関係をお伺いします。
担当者
猪苗代湖や裏磐梯の湖沼は本県にとって極めて重要な水資源・観光資源ですが、近年猪苗代湖において、湖水のpHの上昇など水質や水辺環境が心配されるようになっております。猪苗代湖等の水環境を保全する県条例※は、猪苗代湖等の水質の悪化を未然に防止するとともに美しいままに将来の世代に引き継いでいくことを基本理念として定められました。
これに伴い、農業集落排水施設や公共下水道の処理施設等にも厳しい排水の基準が設けられました。具体的には、環境に良くないとされるリンや窒素を排水から除去する処理施設の高度処理化です。これにより、一般の処理施設より、水をきれいにしていることも関係していると思われます。
今年の4月から全面供用開始となっている「湖岸地区」は、当初より高度処理施設となっております。水環境を保全していくことは、私たちの使命でありますが、高度処理にすることは、建設費及び維持管理経費も増えることになり、今後の課題となっております。
※条例:「福島県猪苗代湖及び裏磐梯湖沼群の水環境の保全に関する条例」平成14年3月26日制定
司会者
今ほど湖岸地区の処理施設のお話しがありましたが、この湖岸地区には、もうひとつ大きな特徴があると伺っておりますが、どのようなことですか。
担当者
「湖岸地区」の位置は、野口英世博士の生家がある野口記念館周辺の三城潟から国道49号と国道115号の交差する千里地区を含む、猪苗代湖の北岸の117ヘクタールが受益地であります。対象集落は14集落で、296世帯、計画処理人口は観光人口1,608人を含めて2,730人、計画汚水量は日当たり901?で、処理方式は回分式活性汚泥方式で、高度処理型になっており、農業集落排水施設としては、大変大きな処理施設になっております。
もうひとつの特徴は、湖水に近く田園地帯であるため、土地の傾斜がないこと、軟弱地盤であること、地下水位が高いこと等考慮いたしまして、一般的な方式の自然流下方式や開削工法が使えないため、汚水の集水方式は、県内ではあまり例のない真空システムを採用すると共に、管渠はアーバンノーデックという簡易推進方式で整備しております。
真空システムとは、処理施設にある真空ステーションで、汚水管渠の空気を減圧することにより汚水を引き込んで集水するシステムです。
ところどころに真空ユニットの入っているマンホールとと空気取り入れ管がついているのが特徴です。
今のところは、順調に稼動しております。
司会者
最後になりますが、今後の農業集落排水事業の進め方についてお伺いします。
担当者
今ほどの、湖岸地区に引き続きまして、5箇所目となる処理施設を、土地連さんへ委託して現在実施設計を進めております。
当地区は会津の玄関であるJR上戸駅周辺の「山潟地区」です。4集落を対象に132世帯、計画人口は700人規模としております。町財政が厳しい中での計画なので、より経済性を重視した建設、維持管理ができるように取りまとめているところでございます。
予定としては、平成24年度までに整備することにしております。
今後は、施設を整備しても、使用されないと水質保全の役割が果たせないので、整備後は、円滑な加入促進を図って、事業の健全経営に務めていきたいと考えております。
司会者
どうもありがとうございました。今朝の「土地連だより」は、猪苗代町の農業集落排水事業の取り組みについて、猪苗代町上下水道課長の熊谷さんにお話をお伺いしました。熊谷さんありがとうございました。
担当者
ありがとうございました。