津波被災農地の復旧について
【平成26年8月30日ラジオ放送】
担当者:福島県農林水産部 農村基盤整備課 主査 中島 雅樹
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは「津波被災農地の復旧について」、福島県農林水産部農村基盤整備課 中島 雅樹さんにお話を伺います。
よろしくお願いします。
担当者
おはようございます。よろしくお願いします。
司会者
まずはじめに、東日本大震災による津波被災農地の状況について教えてください。
担当者
福島県では東日本大震災により、相双地域といわき市の沿岸部5,462ヘクタールの農地が津波により被災しました。
現在、旧警戒区域を除く地域3,339ヘクタールで、説明会や座談会を通して地元農家の方々と対話を続けながら、土地改良区、市や町等関係する機関の方々と力を合わせ、一日も早い営農再開に向け、農地の復旧作業を実施しています。
司会者
地元農家の方々と話し合いを行いながら、農地復旧に取り組んでいるのですね。
では、どのような事業により復旧作業を行っているのでしょうか。
担当者
津波による被災の程度により、次の三つの事業で復旧作業を行っています。
一つ目は「除塩事業」、二つ目は「農地・農業用施設災害復旧事業」、三つ目は「災害復旧事業と農地整備事業を併せた事業」です。
司会者
具体的にどのような事業内容になりますか。
担当者
まず「除塩事業」ですが、津波を被ったことによって水田で0.12パーセント以上、畑で0.05パーセント以上の塩素濃度が確認された農地について、石灰質の資材を散布し、湛水・代かきすることで塩分を地下へ浸透させます。この作業を塩素濃度が基準以下になるまで繰り返すことで作付け可能な農地へ戻す事業です。
次に「農地・農業用施設災害復旧事業」ですが、これは市や町が事業主体となって、ガレキ等が混在する農地や、流出・崩壊した水路等を震災以前の状態へ戻す事業です。
三つ目の「災害復旧事業と農地整備事業を併せた事業」ですが、これは県が事業主体となって、被災した農地とその周辺の農地を対象に、ほ場の大区画化や暗渠排水、農業用の水路を整備する事業です。本事業の実施により、農作業の効率化や生産性の向上を図るとともに、地域の農業を担い手に集約することで、収益の高い農業を目指しながら地域農業の復興も図っていきます。
司会者
現在の復旧状況についてお聞かせください。
担当者
まず「除塩事業」のみで復旧する面積は全体で227ヘクタールありますが、これは平成25年度に完了しています。
「農地・農業用施設災害復旧事業」で復旧する面積は約1,400ヘクタールあり、本年度までに約1,100ヘクタールの復旧を見込んでいます。
「災害復旧事業と農地整備事業を併せた事業」では、未被災農地約120ヘクタールを含めた10地区、約1,430ヘクタールで災害復旧事業と併せて区画整理等の工事を進めています。現在10地区すべてで事業を開始しており、地区ごとに進捗状況は異なりますが、早い地区であれば平成27年度からの営農再開に向け事業を実施しています。
司会者
次に旧警戒区域内の復旧予定についてお聞かせください。
担当者
旧警戒区域である南相馬市原町区の一部と小高区、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町では、津波被災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で区 域外へ避難されている方々も多く、集落でのコミニュケーション不足が懸念されますが、できるだけ多くの方々と話し合いの機会を設け、農地の復旧・復興を進めております。
昨年度は南相馬市原町区と小高区の一部で被災状況の調査、災害査定を実施し、本年度は楢葉町の一部で災害査定を終えており、順次復旧作業に着手しています。
その他の町については、避難指示区域の見直しや、土地利用計画を踏まえ、順次復旧作業を行っていきます。
司会者
津波被災農地についてお話を伺いましたが、着実に復旧が行われ、営農再開に向かって進んでいることがわかりました。
最後にラジオをお聞きの皆さんに、お伝えしたいことはありますか。
担当者
本年度も相双地域には全国各地から農業土木技術職員を派遣して頂いております。派遣職員の皆さんは、短い方でも2ヶ月、長い方であれば1年以上、ご家族の元を離れ、福島県で復旧・復興のために尽力されています。このような全国各地からの支援のおかげで福島県の復旧が着実に進んでおり大変感謝しております。
今後も私たちは一日も早い営農再開を目指し、津波被災農地の復旧事業に取り組んでいきたいと思います。
司会者
ありがとうございました。
今朝は「津波被災農地の復旧」について、福島県農林水産部農村基盤整備課 中島 雅樹さんにお話を伺いました。
担当者
ありがとうございました。