水土里ネット福島における推進事項について
【平成27年2月21日ラジオ放送】
担当者:福島県土地改良事業団体連合会企画指導課 課長 谷 孝樹
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「水土里ネット福島における推進事項について」お話しをうかがいたいと思います。お話しは水土里ネット福島 総務企画部企画指導課長 谷 孝樹さんです。
はじめに、推進事項にあげたものについてご紹介ください。
担当者
はい。本会では、次にあげる項目について本年より重点項目として取り組みを進めています。
1つめは、多面的機能支払制度の内の農地維持支払制度です。
農業・農村のもつ多面的機能とは、国土保全、水源かん養、自然環境保全、景観形成などで、その利益は広く国民全体が受けています。
2つめは、田んぼダムの推進です。3つめは、土地改良区における再生可能エネルギーの導入促進です。4つめは、農業基盤整備促進事業における定額補助による暗渠排水・湧水処理の促進です。
司会者
それでは、各項目ごとに詳しい内容をご説明ください。はじめに、農地維持支払制度について、お話ください。
担当者
はい。現在の農業情勢は毎年基幹的農業従事者が2ないし3千人リタイアをし、耕作者がいない農地が4ないし5千ヘクタール発生しています。このような中、本年より設立されました農地中間管理機構で農地を集約し、農地維持支払制度によって農地の保全に取り組むこととなりました。本県では、県内農振農用地15万ヘクタールすべてにおいて農地維持支払に取り組むことを目標としています。
司会者
取り組みをすることにとって、農家あるいは、土地改良区にはどういったメリットがありますか。
担当者
はい。各農家においては日常的に行っている畦畔等の草刈りや用排水路の土砂上げを地域の共同活動として行うことによって、農地維持支払の対象となりますので、農家等で組織する活動組織が交付金を受けることができます。
また、土地改良区では、以下のようなメリットがあります。
1つは、土地改良区が末端受益の農地維持支払に取り組むことにより、上流から下流までの地域全体を一体的に管理することができます。
2つは、土地改良区が活動組織より、とりまとめ等の事務を担うことで、土地改良区の運営収入を確保することができます。
3つは、土地改良区・農家が実施していた草刈りや土砂上げ等の水利施設の維持管理を農地維持支払の活動して実施することにより、土地改良及び農家の負担の削減となります。
司会者
はい。よくわかりました。次に田んぼダムについてお話ください。
担当者
はい。田んぼダムとは、水田の排水口を工夫することによって、降雨を水田で一時的に溜める自然のダムです。新潟県においては、9千ヘクタールで実施されています。
司会者
田んぼダムを整備することで、どのような効果が期待できますか。
担当者
はい。まずあげられるのは、洪水防止機能です。田んぼで水深10センチメートルの雨を溜めるとすると、1ヘクタールで1千立方メートル、100ヘクタールで10万立方メートルになります。つまり、福島県の田んぼ10万ヘクタールをすべて田んぼダムにすれば、1億立方メートルのダムを造ったことと同じことになり、下流の洪水を防止することができます。
次にあげられるのは、排水ポンプの運転経費の削減です。
特に東日本大震災によって地盤沈下を起こした地域では、排水ポンプの運転時間が増え、維持管理が増えていますので、排水機場の上流で田んぼダムを実施すれば、ポンプの運転経費を削減することができます。
司会者
田んぼダムを実施するには、どういった方法がありますか。
担当者
はい。先ほどお話した農地維持支払の共同活動の対象として実施することができます。特に一定の広がりをもって実施すれば、高い効果が期待できます。
司会者
はい。よくわかりました。次に土地改良区における再生可能エネルギーの導入促進についてお話し下さい。
担当者
はい。最近の農業情勢から未収賦課金の増大・電気料金のアップなどで土地改良区の運営は、ますます厳しくなってきています。その対応策の1つとして、再生可能エネルギーの推進を提案し、導入により自主財源が確保されます。土地改良区は、農地・水を管理していることから導入可能なもものとして小水力発電・太陽光発電があります。両方とも固定買取制度と農山漁村活性化プロジェクト交付金を活用することで、土地改良区の維持管理費の財源を確保することができます。
司会者
では、両発電の特徴を教えてください。
担当者
はい。小水力発電は、流量と落差を確保できる水路を管理する土地改良区では、取り組むことが可能ですが、揚水機場を管理する土地改良区では、小水力発電を導入できる水路がないのが普通です。
したがって、その場合は、農山漁村活性化プロジェクト交付金による太陽光発電の導入を推進することとなります。
司会者
それでは、太陽光発電の導入についてもう少し詳しくお話ください。
担当者
はい。太陽光パネルは基本的にメンテナンスフリーで、維持管理の人件費が不要です。また、発電量は、経費節減及び買い取り制限の関係から50キロワット低圧連係を基本とします。
仮に49.5キロワットを発電したと場合、売電価格150万円程度となり、工事費を1,750万円程度と想定した場合には、借入金返済を引いても年間70万円程度の収入となります。
なお、導入にあたっては、本会で、融資額2千万円以内、無利子、返済期間20年以内での「再生可能エネルギー基金」を創設しましたので、ご相談ください。
司会者
はい。よくわかりました。最後に農業基盤整備促進事業における定額補助による暗渠排水・湧水処理の促進についてお話ください。
担当者
はい。先ほど申しました農地中間管理機構によって農地を集積し、担い手の営農コストを削減するためには、農地の排水不良などの耕作条件の改善をすることが必要です。
そこで、農業基盤整備促進事業における定額補助による暗渠排水・湧水処理を行うことで、問題を解決することができます。
司会者制度について具体的にお話ください。
担当者はい。ほ場整備済みの水田において、10メートル以内の間隔で暗渠排水を実施する場合10アール当たり15万円、また湧水処理を実施する場合100メートル当たり15万円の定額補助で事業を行うことができます。また、暗渠排水の耐用年数を過ぎて、排水効果のなくなった水田でも実施可能です。
なお、疎水材に木材チップなどを使う非開削工法も実施可能ですので、ご検討ください。
平成27年度より、客土及び除礫についても補助の対象となる予定です。
司会者最後に、何かお話がありますか。
担当者はい。本会では、今お話した4つの事項について重点的に取り組んでおりますので、詳しい内容についてお聞きになりたい場合は、お気軽に水土里ネット福島までお問い合わせください。
司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「水土里ネット福島における推進事項について」お話しを伺いました。