「バイオマスタウン構想」について

【平成20年1月31日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 企画指導課 課長補佐 三浦 功司
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「土地連だより」は、水土里ネット福島 企画指導課 課長補佐の三浦功司さんに、バイオマスタウン構想について、お話をお伺いします。
はじめに、バイオマスタウン構想の概要について、お話をお願いします。

担当者

近年、地球の温暖化防止などの地球環境保全や資源の有効利用の必要性が話題となっております。
その対策の1つとして、国家プロジェクトで進められているのが「バイオマス・ニッポン総合戦略」です。
これは、持続的に発展可能な社会の実現に向けての活動で、主に市町村に対してバイオマス利活用の基本構想や目標を取りまとめた「バイオマスタウン構想」を募集し、バイオマスの利活用を推進していくことを目標としております。

司会者

バイオマスを利活用するとのことですが、バイオマスにはどのようなものがありどんな利活用方法があるのか具体的に教えてください。

担当者

バイオマスとは、動植物から生まれた再生可能な有機性資源で具体的には、生ゴミや食品加工残さ、稲わら、モミガラ、家畜糞尿、木くず等があります。
利活用方法には、大きく分けて2つの方法があります。
1つ目は、木質ペレットなどの燃料や堆肥等の有機質肥料、バイオプラスチックなど製品化する方法です。
もう1つは、電力や熱などエネルギーとして利活用する方法です。
バイオマスの利活用と言いますと新たな取り組みのように聞こえますが、少し前の時代までごく普通に行っていたことで、利便性を追求してきた結果、行われなくなってしまったことが多くあります。
また、バイオディーゼルやバイオエタノール等の新たな利活用技術開発が、近年盛んに行われています。

司会者

資源の有効利用と言いますと空き缶やペットボトルのなどのリサイクルが思いつきますが、他にもいろいろあることがわかりました。
それでは、バイオマスを利活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

担当者

いろいろとありますが、今日は、3つの点についてお話しいたします。
1つ目は、地球環境の保全対策として有効であるということです。
バイオマスは、もともと植物が大気中の二酸化炭素を光合成により固定した物に由来する物なので、利活用しても実質的に大気中の二酸化炭素を増加させません。そのため、地球温暖化の防止に有効です。
また、今まで廃棄物として捨てていた物を資源として有効利用することで廃棄物量を低減できます。
2つ目は、資源枯渇の心配がないということです。
バイオマス資源は、石油などの化石資源やウランのような放射性鉱物資源と違って、使い切ったら無くなってしまうという心配がありません。
3つ目は、農山漁村の活性化に有効であるということです。
農山漁村地域には、バイオマス資源が豊富に存在します。そのため、その地域の特性を活かした地場産業や新たな産業の育成により、地域の活性化を図れる可能性があります。

司会者

バイオマスを有効に利活用することにはたくさんのメリットがあることがわかりました。
そのようなバイオマスタウン構想への取組の現状について教えてください。

担当者

バイオマスタウン構想の公表は、平成17年2月から始まり、今年度半ばに全国で100地区を超えたところです。
国では平成22年までに300地区程度にすることを目標としています。
県内では、現在、富岡町、会津美里町、大玉村の3町村が公表しております。
会津美里町のバイオマスタウン構想策定に関しては、水土里ネット福島で支援業務を行いました。

司会者

県内では、まだ3町村ですか。
バイオマスタウン構想を策定するということは、難しいことなのでしょうか。

担当者

特殊で専門的な知識を必要とする業務もありますが、何よりも、地域住民を始め関係者の理解を得て、地域全体が連携した推進体制を作ることが重要です。そして、その体制の運営の中で方向性を明確にしていく作業が、時間も必要であり大変な業務になります。
近日中に公表を予定している市町村が県内にいくつかありますが、水土里ネット福島では、構想策定の基礎資料や方向性検討のための各種調査計画の策定及び調査結果のとりまとめ・解析、地域住民への普及・啓発活動等の支援を行っております。

司会者

バイオマスタウンが増えていくと、県内の農山漁村地域が活性化されていくことが期待されるということですが、今後の課題についてお聞かせください。

担当者

バイオマスタウン構想は、地域内に存在するバイオマス利活用の基本構想や目標を明確にするための手段であり、これを公表することだけで利活用が進んでいくということはありません。公表後、構想をいかに実現させていくか。そこからが肝心です。
構想実現の過程で重要なことは、持続可能なシステムを作っていくということです。
バイオマスの利活用は、それだけでは採算性を維持することが難しい場合が多いので、地域住民や関係者には、環境教育や地域の活性化等の広い意味での効果を理解していただき、協力的に参加していただくシステムが必要になってきます。
そして、システム構築に当たっては、地場産業等の地域の特性を活かしていくための工夫と、継続することに無理がないかどうかの配慮が大切です。
水土里ネット福島では、平成10年より資源循環型農業推進のための有機質肥料施用実験や土壌・肥料の成分分析を行っており、平成16年からは、バイオマスの利活用推進のための支援業務を行っております。
稼働を開始した利活用施設も増えてきておりますが、地域活性化に繋げていく活動はこれからです。
今後も、先進地事例等の情報収集に努め、より有効な支援業務を行えるように努力していきたいと考えています。

司会者

バイオマスタウンとは、広く地域の関係者が連携して築き上げていくことが必要な訳ですね。ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、バイオマスタウン構想について、水土里ネット福島 企画指導課 課長補佐の三浦さんにお話を伺いました。