「ふくしま水土里の防災力アップ運動」について

【平成27年4月22日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村基盤整備課 藤江 孝太郎
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「ふくしま水土里の防災力アップ運動」について、福島県農林水産部 農村基盤整備課 藤江孝太郎さんにお話を伺います。
よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

東日本大震災で福島県は大きな被害を受けました。震災以降「防災や減災」という言葉を頻繁に耳にするようになりましたが、どのような背景があるのでしょうか?

担当者

東日本大震災では地震、津波、原発事故などによりライフラインに大きな被害が出ました。そのため、防災や減災に関して様々な研究や議論、活動が行われています。

司会者

「ふくしま水土里の防災力アップ運動」もその一つということでしょうか?

担当者

そのとおりです。「ふくしま水土里の防災力アップ運動」では農家のみなさんにとって身近な施設である農業用のため池にスポットをあてて取組んでいます。

司会者

ため池ですか。身近な施設ということですが、福島県内にはどのくらいあるのでしょうか?

担当者

福島県には大小様々な約3,700箇所の農業用のため池があります。そのうち東日本大震災で約2割のため池でひび割れ、ひどいものでは決壊といった被害が出てしまいました。
ため池は農業用水を確保するための重要な施設ですが、ひとたび決壊すると人命や家などの財産を奪ってしまうことになります。

司会者

このような被害を受けて、何か対策はされているのですか?

担当者

はい、対策を行っています。老朽化し、弱くなったため池は特に危険ですので改修を進めており、また、定期的に点検も行っています。

司会者

なるほど。ただ、被害をゼロにするというのは難しいのではないでしょうか?

担当者

おっしゃるとおりです。どんなに対策を施しても東日本大震災や近年多発しているゲリラ豪雨など防ぎきれない災害があります。
そのため、新しい考え方が必要となってきます。それが「減災」であり、災害への備えをしておくことで被害をできる限り少なくしようというものです。そのためには皆さん一人一人の防災・減災への意識を高めていただくことが重要で、「ふくしま水土里の防災力アップ運動」の最大の目的であります。これは東日本大震災で大きな被害を受けた福島県が独自で取組んでいるものです。

司会者

震災を教訓とした新たな取組みというわけですね。具体的にはどのような取組なのですか?

担当者

ため池の管理者を対象に、ため池の日常管理に関する研修会の開催や、ため池が万一決壊した場合のハザードマップの作成、緊急時の連絡体制や避難経路などを住民のみなさんが話し合い、自ら決めることで、地域の防災体制を作るという取組です。

司会者

なるほど。ハザードマップというと洪水や土砂災害を連想しますが、そのため池版ということでしょうか?

担当者

そのとおりです。ため池が万一決壊した場合、その被害がどこまで及ぶのかを地図にしたものがため池ハザードマップです。

司会者

ところで、ハザードマップを作るのは誰なのでしょうか?行政が作るのですか?

担当者

県や市町村ではハザードマップ作りの支援をしたり、必要な地図を提供したりしますが、この取組の中心は住民の皆さん一人一人です。万一ため池が決壊した時に、どこにいたら危ないのか、どこへ避難すればよいのか、どうやって避難すればよいのか、地域の子どもやお年寄りは大丈夫か、誰に連絡すればよいのかといったことを、地域の皆さんで考えていただければと思います。何事もそうですが、自主的に行ったことは身につきますし、いざという時に自らの命をまもることにつながります。

司会者

確かに自主的な行動は大切ですよね。しかし、最近は近所付き合いが少なくなったり、地域の方との関係性が薄くなっているように感じられます。この取組が地域の絆を深めるきっかけとなるのではないでしょうか?

担当者

そのとおりです。地域の防災力をアップするには、自分たちの地域は自分たちでまもるぞという地域の皆さんの結束力、強い絆が不可欠です。また、災害時の危険はため池以外にもありますので、この取組をきっかけに様々なことを話し合い、地域全体の防災力を強化していくことが大切です。
ぜび皆さんの地域でも「ふくしま水土里の防災力アップ運動」に参加し、防災力強化へ向けて歩み出していただければと思います。

司会者

ありがとうございました。
今朝は「ふくしま水土里の防災力アップ運動」について、福島県農林水産部 農村基盤整備課 藤江孝太郎さんにお話を伺いました。