「農地・水・環境保全向上対策事業」について
川俣町
【平成20年2月27日ラジオ放送】
担当者:川俣町 産業課 農林係 神野 勝也
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「土地連だより」は、農地・水・環境保全向上対策事業についてご紹介します。
お話しは、川俣町・産業課農林係の神野勝也さんにお伺いします。
はじめに、農地・水・環境保全向上対策事業とはどのような内容なのでしょうか。
担当者
ご承知の様に、最近の農村では、農業従事者の減少・高齢化、都市化に伴なう混住化や、耕作放棄地の増大などの進行により、集落機能が低下し、農地や農業施設の「農道・水路等」の資源について、適切な保全管理が困難な状況や、農村の持つ、ゆとりや安らぎの場と言った、国民の価値観に対応が、必要となって来ました。
このため、地域の農家や担い手・地域の方々など、多様な構成員の合意の基、地域ぐるみで共同活動と、農業者ぐるみで、減農薬などの営農活動を総合的に支援し、農村を活性化させようとするものであります。
このことは、食料の安定供給のほか、農村の持つ自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承と言った、農村の持つ多面的機能の維持・発揮に繋がるものと考えられます。
また、これらの共同活動を通じて、地域の方々の役割を、地域の皆さん方に知っていただくと同時に、農家と地域の皆さん方と一緒に、この活動を行うことで、失いつつある、むら意識の復活、地域を活性化させるための、大きな可能性を秘めた事業であると考えます。
司会者
農村地域の環境を維持していく上で、農家・地域住民は重要な役割を担っているわけですね。ではもう少し具体的にお話を頂きたいと思います。
担当者
ある農業団体が、首都圏の都市住民を対象に、農村の果たしている役割についての意識調査を行ったところ、多くの人が「水や新鮮な野菜の提供」、と同様に「自然災害の防止」、「自然や美しい農村景観の供与」といった、農村の持つ多面的機能を、大きく評価していることがわかりました。
特に地域の農家の方々が日々管理している、「ため池や用排水路」などは、台風などの大雨の時には、地域の災害防止という、重要な役目を果たしております。
最近の言葉に「自然がもたらす、多面的機能」と耳にします。
これらの多面的機能というのは、実際には、生産活動なしには、作り出せないと思います。
また、常日頃の維持管理があってこそ、施設の機能が、保たれているわけです。
その大切な維持管理を行っている、そして「多面的機能の維持」は、地域の農家の方々であり、農村に住んでいる方々の支えがあってこそだと思います。
司会者
これほど地域に貢献をしているわりには、「農家や農村の関わり」について存在があまり知られていないのは、なぜなんでしょうか。
担当者
ここが大きなポイントです。2つ程、例をあげたいと思います。
一つ目は、農村の持つ多面的機能について、一般の方は、直接お金を出さなくても、その恩恵を受けることから、あまり意識が無いと言うことがあります。
二つ目は、資源と言われる農地・農道、農業用排水路施設の果たす役割や、必要性について、理解を得るような努力を怠ってきたこと、又、PR不足も挙げられます。
司会者
では、今回の事業にたいしての、川俣町の取り組状況についてご説明願えればと思います。
担当者
昨年5月18日に9活動組織の事業採択を受けました。
川俣町全体の活動協定面積は、1,729ヘクタール、交付金対象農用地が1,187ヘクタールで、本町の農振農用地の40パーセントにあたります。
活動組織の立上げについてですが、川俣町には、大字単位に自治会と言う組織があります。この組織の中には、行政区、農振会、PTAなどの各種団体が組織されていますので、農振農用地を持つ、9つの自治会に、今回の事業の活動組織母体となって頂き、地域ごとに特色を生かした話合いをしながら事業に取組んでいます。煩雑な事務作業については、地域内に住んでいる役場職員が協力しております。
また、町内9活動組織の情報交換や研修の場を設けるため、連絡協議会を町独自で立上げ、町が事務局を担い、事業の取組みを推進しています。
司会者
それでは、実際どのようなことを行うのでしょうか。
担当者
具体的には、地区自治会、行政区、農振会等が中心となり、農家・地域の方々が一体となった共同活動組織をつくり、溜池の草刈りや農道の砂利補充、排水路の補修・点検、土砂上げ・草刈り、地域の生態系調査や水質の調査モニタリング、景観保全活動等を、それぞれの参加する組織が、役割分担を決め行います。
司会者
一口に農家・非農家が一緒に行う共同活動といっても、今まで、非農家の皆さんは、このようなことに無関心であったように思うのですが。
担当者
そうですね、この事業は、何か物を作って成果を出すような、簡単なものではなく、地域にどれだけ貢献できるかを考えていただいたり、助け合う気持ちをもっていただけるかなど、共同活動を通じて、話し合い、皆で参加出来る、協力できる活動を模索しながら、進められれば、「理解・関心」をもって頂けると思っています。
先ほど申しましたように、まず大切なことは、地域の農家を始めとする、地域の人々や組織・そして我々行政がサポートしながら、出来る限り幅広い参加を得ることだと思います。
また、しっかりとした活動目的を持って、いままで取り組めなかった事をこの事業を活用しながら、「整備・管理するシステム」を構築することも必要だと思います。
そして、活動内容や、それぞれの役割分担が、地域での「納得と合意」の下で定められること。
そして、何よりも、大事なことは、その活動が永続したものになることです。
司会者
最後にこれからの取り組みについてのご説明を頂きたいと思います。
担当者
川俣町といたしましても、この事業の成果を上げるためには、活動組織に対してのサポートを行い、長期的なスパンでの対応が、必要であると認識しております。
今後も関係団体との連携を強化し、継続的な周知と、啓発を図りながら、地域の皆さま方に、この事業の輪が拡がるよう、地道ではありますが、推進活動を展開してまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
司会者
ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、農地・水・環境保全向上対策事業について、川俣町産業課農林係の、神野勝也さんにお話を伺いました。