「平成27年度福島県の農業農村整備事業の概要」について

【平成27年5月22日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村計画課 藤本 弘樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「平成27年度福島県の農業農村整備事業の概要」について、福島県農林水産部 農村計画課 藤本弘樹さんにお話しを伺います。よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

まず、はじめに、農業農村整備事業とはどのようなものなのか教えてください。

担当者

農業農村整備事業とは、以前「土地改良事業」と呼ばれていたもので、農作物を育てるのに必要な水の確保や農地の形を整え、農作業の効率化を図るための基盤の整備のほか、農村地域の汚水処理施設を建てるなど、生活環境の整備を行っています。
また、こうした整備事業を通して、農作物の生産性向上や農村生活環境の改善を図り、食料の安定供給と国土保全など多面的機能の発揮に寄与しています。

司会者

農業農村整備事業は、農村地域に必要な様々な事業を行っているのですね。
さて、平成23年の東日本大震災から、4年が経過しました。農村地域へも甚大な被害が発生しましたが、復旧・復興はどのぐらい進んでいるのでしょうか。

担当者

はい。東日本大震災により、県内の農地・堤防・排水ポンプ場や水路など約4,400箇所が壊され、その被害額は農地・農業用施設だけでも約2,300億円にのぼりました。
さらに、福島第一原子力発電所の事故のため、復旧・復興に必要な工事の材料が集まりにくくなり、労働者も県外へ避難してしまったこともあって、復旧・復興の工事が遅れてしまったり、工事する業者がなかなか決まらなかったりしました。
また、避難指示区域での被害は今も調査ができません。そうした未調査の区域の施設を除いて、平成26年度末時点で、約8割の復旧・復興工事を発注しました。そして、約7割の施設で復旧・復興が完了しています。

司会者

なるほど、避難指示区域を除けば、約7割が復旧・復興しているということですね。復旧・復興は着実に進んでいますね。
こうした復旧・復興事業を進めるためには多くの予算が必要になると思いますが、平成27年度の予算の状況を教えてください。

担当者

はい。平成27年度の福島県の農業農村整備事業関係の当初予算として復旧・復興事業に約82億円、それ以外の事業に約192億円を計上しています。
この予算は、震災前の平成22年度予算と比べて約2倍の予算額となっています。

司会者

震災前の約2倍とは、まだまだ予算額が大きいですね。このように事業予算の額が多いと、職員の皆さんは大変ではないですか。
地震・津波被害を受けた地方公共団体では、急激な復旧工事の増加へ対応する職員数が足りていないと聞きます。福島県はどうなのでしょうか。

担当者

はい。福島県でも、震災後は、農業土木技術職員を含めて職員が不足している状況となっています。
そこで、震災以降、継続して全国の道府県から農業土木技術職員の支援派遣を受けて、相双農林事務所で復旧・復興業務にあたっていただいており、今年度は北海道から沖縄まで、全国11道県から22名の支援を受けています。
また、今年度は農業土木職として、未来を担う4人の新規職員を採用しています。このうち、2名が相双農林事務所で業務にあたっています。
このほかにも、相双地方の市と町へは、農林水産省の全国の出先機関から農業土木技術職員を派遣してもらっています。
こうした支援派遣は、県と市・町あわせて、平成26年度までに述べ36,085人・日になっており、復旧・復興を進める大きな力となっています。
派遣職員の皆さんは、ふるさとを離れ、家族と離れて、不便な生活を送りながらも、福島県職員とともに懸命に復旧・復興業務にあたっていただいております。
このように、全国から温かい支援をいただきながら、復旧・復興や農業農村整備事業を進めています。
さらに来年度にむけて、新たに14名程度の農業土木職員を採用する予定です。職員採用候補者試験は今まさに受付中で、今月の29日が期限となっています。まだ間に合いますので、福島県の復旧・復興を進めたいと熱い気持ちをお持ちの方はぜひ申し込んでください。

司会者

長期にわたって、こんなに多くの方が支援に来ていただけて、改めて全国からの支援に感動しました。
また、支援に頼るばかりでなく、福島県でも多くの職員を募集しているということです。復旧・復興をさらに進めるためにも、多くの方々を新たに職員として迎えることができるといいですね。
こうした支援をいただくとともに、福島県でも職員を増やしながら、災害復旧を進めているとのことでしたが、今後の見通しはどうでしょうか。

担当者

基本的には、避難指示区域を除いて、農地を平成31年度まで、海岸を平成28年度まで、排水ポンプ場を平成27年度までに工事が完了することを目標に、各市町村と連携を図りながら事業を進めていきます。
海岸堤防や排水ポンプ場などの復旧が進み、今年度からは、農地など生産基盤の復興・整備が本格化します。
一日でも早く、多くの地域で営農が再開されて、農村により多くの笑顔が戻るよう、私たちは「今日の努力は笑顔あふれる農空間復興のために」を合言葉に、懸命に復旧・復興事業を推進していきます。

司会者

ありがとうございました。
福島県に全国からの派遣されている皆様、私も県民のひとりとして感謝いたします。お体に気を付けながら、業務に取組んでいただければと思います。
今朝は、「平成27年度農業農村整備事業の概要」について、福島県農林水産部農村計画課の藤本弘樹さんにお話を伺いました。