「大平北部ネットワークの取り組み」について
【平成27年6月24日ラジオ放送】
担当者:大平北部ネットワーク 事務局 渡辺 和明
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「大平北部ネットワ-クの取り組みについて」お話しをうかがいたいと思います。お話しは、大平北部ネットワ-ク事務局 渡辺和明さんです。
大平北部ネットワークとはどんな組織なのですか。
担当者
大平北部ネットワークは「多面的機能支払交付金事業」の活動組織です。受益面積約30haで農家75戸が中心となり参加団体は3行政区や婦人会・長寿会・消防団など合わせて16団体で構成され、農業施設の維持管理や環境維持の活動を行っています。私たちの地区は二本松市の阿武隈川右岸側で阿武隈山地の狭い耕地に農家と非農家が混住する地域です。特に圃場整備が実施されていない地区もあるため、農業施設の維持管理には大変苦労しております。
今回の「多面的機能支払交付金事業」により、行政区を越えた活動を行うために本部となる役員構成を3行政区から出して貰いました。このため、通常よりも役員の人数が多くなったため、役員だけでの迅速な活動も出来るようになりました。
司会者
SIグランプリのいがす大賞を受賞されたとのことですが、SIグランプリについてお話し下さい。
担当者
「S1グランプリ」は昨年から始まりました。S1のSは支え合いのSです。地域の支え合い活動を発掘するためにNPO法人全国コミュニティライフサポートセンターが主催するもので、今年は第2回で2月15日に仙台で開催されました
私たち「大平北部ネットワーク」は「農地・水・環境保全向上対策事業」の活動組織として平成19年に結成されたものですが、活動の一環として「田んぼの楽校」と称しまして休耕田を使って地域の小学生と田植えや稲刈り・生き物調査や収穫祭を実施して参りました。震災後小学生が参加しなくなったこともあり、建設技術学院跡仮設住宅の方々にも参加して頂くようになりました。建設技術学院跡仮設住宅の自治会が昨年の第1回S1グランプリに参加され全国93団体のなかで「いがす大賞」を受賞されたのですが、私達の活動内容を知っておられたので、是非S1グランプリに参加するように勧められました。
私たちの地域の中での活動を知って貰うためには良い機会ではないかと参加を決めました。今回S1グランプリで発表した内容は農業施設の維持作業や環境整備の他「田んぼの楽校」を中心にした「地域との活動」です。田植えや稲刈り・収穫祭は農業者だけでなく婦人会や建設技術学院跡仮設住宅の自治会など協力により、毎年たのしく実施しております。特に収穫祭は「田んぼの楽校」で採れた「もち米」を使って餅つきをして、郷土料理の「ざくざく」を地域の皆さんと一緒に食べて楽しみます。年々、地域の結びつきが弱くなっていく中で、地域で一緒に活動を行うこと自体に意味があるようになりました。
発表会の当日は参加33団体の中からノミネートされた9団体が発表しまして、私たちの大平北部ネットワークがグランプリの「いがす大賞」受賞しました。参加各団体とも地域の中で大変立派な活動を行っており、感心させられるものばかりでしたので、大賞の受賞は大変感激いたしました。
司会者
活動の中で苦労されたことはありますか?
担当者
地域では担い手となる農家が減少してしまい、農地や農業施設を維持して行くことが最大の課題となっています。「多面的機能支払交付金事業」により迅速に作業が出来るようになった半面、農業施設を維持するためには共同作業の作業量も多く、役員の負担が大きくなっています。特に平成23年度からは向上支援対策事業も採用され、長年の課題だった支線用水路の更新を自力で施工し、受益者からは大変感謝されましたが、役員の方々には大変な負担をお願いすることになってしまいました。今後は、受益農家や非農家の方に積極的に協力をお願いすることが必要かと考えています。
司会者
今後の活動についてお聞かせ下さい。
担当者
今年も去る5月31日に田植えを行いましたが、「田んぼの楽校」を通しての活動はみんなが楽しみにしている行事になって来ました。今年は11月の収穫祭に出す、郷土料理の「ざくざく」の材料である「サトイモ」も隣の休耕田に作付しました。いまから収穫が楽しみです。
地域では担い手となる農家が減少してしまい、農地や農業施設を維持して行くことが最大の課題となっています。兼業農家が農業を継続して行く手立てとして地域で協力していく仕組みが必要だと思いますが、「多面的機能支払交付金事業」の活動を通して地域の現状と課題が整理されて来ていますので、地域そして農家の結びつきを強くして課題解決の糸口を見つけて行きたいと思います。