「福島再生加速化交付金事業を活用したため池放射性物質対策の取り組み」について

【平成27年7月30日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 環境整備課 主任主査 菅野 勉
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「農家の皆さんへ」は、土地連だよりとして『福島再生加速化交付金事業を活用したため池放射性物質対策の取り組み』について、ご紹介します。
お話は、福島県土地改良事業団体連合会 環境整備課主任主査の菅野 勉さんにお伺いします。菅野さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。

司会者

はじめに、福島再生加速化交付金事業とは、どのようなものかお伺いします。

担当者

はい、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故によって避難指示を受けた福島県内の12市町村などの復興の動きを加速化させるために、「生活拠点の想像・整備」、「生活環境向上・健康不安払拭」、「産業再開に向けた環境整備」などを含めた、既存の対策との一括化した新たな交付金として、復興庁が中心となり円滑な事業推進に向けた取り組みを行っています。

司会者

では、具体的に国・県ではどの様な動きがありますか?

担当者

はい、農林水産省では県と連携し、福島県の営農再開と農業復興の観点から対策が必要となる農業用ため池について、効果的かつ効率的に放射性物質対策を講じるため、対策の考え方や調査計画に係る手順方法に関する情報、留意点、また、対策の具体的な作業内容とその手順、実施上の留意点、施工管理の手法等に関する情報を取りまとめた「ため池の放射性物質対策技術マニュアル」を3月に公表されました。
平成27年度より本格的に調査が始まることとなり、福島県の中通り・浜通りに位置するため池のうち、底質等に含まれる放射性物質により施設管理などに支障が生じているため池について、放射性物質の影響を低減することを目的とし現在、営農再開と農業復興に向けた取り組みが進められています。

司会者

はい、わかりました。それでは、昨年までの取り組みについて説明していただけますか?

担当者

はい、福島再生加速化交付金事業の調査につきましては、平成26年度から対策に向けて2市町村による基礎・詳細調査を約60箇所のため池で実施してきました。調査の内容としては基礎調査と詳細調査があります。
基礎調査内容としては、大きく4つの調査項目があります。
1つめは、利用・管理実態について管理者へのアンケート調査です。
2つめは.管理者が日常的に管理する範囲を地上から1mの高さで測定する空間線量測定調査です。
3つめは、直接ため池の水を採取し、分析機関で放射性物質を分析する水質調査です。
4つめは.ため池の底の土砂を採取し水質調査と同様に分析する底質調査です。
これらの調査を、4~9月のかんがい期と10~3月の非かんがい期の計2回程度行い、管理上の支障の有無や、放射性物質濃度などを調査したのち結果をとりまとめ、対策の必要性を検討します。
次の段階として基礎調査の結果、対策を行う必要があると判断されたため池について、詳細調査を行います。
詳細調査内容としては、基礎調査をベースに降雨時による水質調査や、底質の深度別の放射性物質濃度測定、また放射性物質の面的分布にバラツキが大きいと想定される場合については、必要に応じて、光ケーブルによる池底線量測定を行い詳細なデータを収集します。
このような調査から、すべての結果を基に対策の選定を行い、今年度対策が必要とされるため池については、各ため池の対策実施に向けた準備を進めているところです。

司会者

はい、わかりました。それでは、今後の取り組みについて説明していただけますか?

担当者

はい、今後の取り組みについては、放射性物質による影響で施設管理などに支障が生じている中通り・浜通りに位置する数多くの農業用ため池など、施設の基礎・詳細調査を実施するとともに、農家の皆様が安全で安心して営農できることを目指し、この福島再生加速化交付金を利活用して早急な福島県の営農再開と農業振興に努めていきたいと考えております。
私たち土地連としても県・市町村と連携し、放射性物質対策事業が円滑に進むよう情報の提供や技術的な部分で支援して行きたいと考えております。
最後になりますが、福島県の早期復旧・復興の実現に向けて再度、農家の皆様のご協力やご理解をいただき進めて参りたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

司会者

ありがとうございました。
今朝の「農家の皆さんへ」は「福島再生加速化交付金事業を活用したため池放射性物質対策の取り組み」について、福島県土地改良事業団体連合会 環境整備課 主任主査の菅野さんにお話を伺いました。