「平成23年災の復旧に向けた取組」について

【平成27年8月28日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村基盤整備課 水口 征樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「平成23年災の復旧に向けた取組について」福島県農林水産部 農村基盤整備課 水口征樹さんにお話しを伺います。よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

水口さん、平成23年の災害について、どのような災害がありましたか。

担当者

平成23年の災害は、平成23年3月11日に県内の美しい農村の姿を一変させた東日本大震災や7月の会津地方を中心とする新潟・福島豪雨災、さらには9月の県南地方を中心とした台風15号災が発生し、農地や農業用施設などが大きな被害を受けました。
これは、今までに経験したことのない過去最大の被害となっています。

司会者

平成23年は、過去最大の被害であったということですが、農地や農業用施設にどれくらいの被害があったのでしょうか。

担当者

東日本大震災による農地と農業用施設などの被害は、4,358個所で2,300億円にのぼっています。中でも、地震後に発生した津波により沿岸部の農地では、25,000haのうち5,460ha、排水機場は43個所のうち41個所、農地海岸は、20kmのうち16.7kmが被災しました。
津波以外の被害では、ため池が県内全体の3,730個所のうちその約20%にあたる745個所で被災しています。
また、新潟・福島豪雨災では、1,284個所で44億円、台風15号災については、3,224個所で30億円の被害となっています。
平成23年のこの3つの災害で被害額は、2,374億円にのぼっており、これは過去最大となっています。

司会者

大変な被害が生じましたね。これだけの大きな被害のあった農地や農業用施設について、どのように復旧を進めているのでしょうか。

担当者

県では、まず地域住民の皆さんの生活に必要不可欠な下水道の処理を行う農業集落排水施設の復旧を進めました。これとともに、津波被災を受けた沿岸部においては、被害拡大防止や湛水した海水を早急に排除し農地の復旧を進めるため、海岸や排水機場の復旧に努めてまいりました。
また、農地や水路などの農業用施設についても、市町村や地元農家の方々の意向を伺いながら、早期の営農再開を目指して復旧工事に取り組んでいます。

司会者

平成23年災から約4年半が経過し、復旧の状況はどうなっているのでしょうか。

担当者

新潟・福島豪雨災と台風15号災については、昨年度までにすべて復旧工事が完了しています。
東日本大震災による災害は、これまで全体の約67%の個所で復旧工事が完了していますが、堤体の高さが15m以上の農業用ダム、海岸施設、排水機場及び津波被災農地などについては、引き続き復旧工事を実施しています。

司会者

着実に復旧が進んでいるようですね。一方で、原発事故により約11万人の方が今だに県内外に避難していると聞きましたが、旧警戒区域内の復旧状況は、どうなっているのですか。

担当者

旧警戒区域内の農地や農業用施設などの復旧については、平成24年度より災害復旧に取り組んでいますが、帰還困難区域内については、調査に入れないために今だに被災の全体状況を把握できておりません。
今後、帰還困難区域が解除された地域から順次、災害復旧を進め、一日でも早く農地や農業用施設などを復旧させ、営農再開ができるように進めていきたいと考えています。

司会者

まだ復旧ができない地域もあるのですね。今後の農業再生に向けてどのように進めているのでしょうか。

担当者

早期の営農再開や安定的な用水供給を行えるよう計画的な復旧工事を実施しています。その中で、津波被害が大きい沿岸部の農地については、今後の営農を見据えて、災害復旧事業に併せて、担い手農家への農地利用集積とほ場の大区画化を行うほ場整備事業を取り入れ、生産基盤の再生や地域産業の強化に取り組んでいます。
この事業は、平成24年度より実施しており、これまで11地区、1,652haが採択され、平成31年度完了を目標に順次工事に着手しています。
これまで、81.3haのほ場が整備され、営農を再開した地域もあり、復旧・復興の兆しが見えてきています。

司会者最後に、平成23年の災害発生直後から全国より農業土木技術者等の派遣支援を頂いているとお聞きしましたが、詳しく教えて下さい。

担当者平成23年度から今年の3月まで、1,197名の国及び全国の自治体から農業土木技術職員など大変多くの派遣支援を受けております。
本年度も、北は北海道から南は沖縄まで全国各地より農業土木技術者の派遣を受けており、県相双農林事務所や相双管内の市町で災害復旧業務を担当して頂いております。
本県農業の復興のため、ふるさとや家族と離れ、慣れない生活環境の中、本県の職員と共に毎日夜遅くまで業務を行っている状況にあり、大変感謝しております。

司会者全国から支援を受けて復旧が進んでいるのですね。ありがとうございました。
農地や農業用施設の復旧に向けて大変だと思いますが、県の農業の復興に向けて頑張って頂きたいと思います。
今朝の土地連だよりは、「平成23年災の復旧に向けた取組について」福島県農林水産部 農村基盤整備課 水口征樹さんにお話を伺いました。