「水土里情報システムの運用」について

【平成27年12月24日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 企画指導課長 谷 孝樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「水土里情報システムの運用について」お話しをうかがいたいと思います。お話しは水土里ネット福島 総務企画部企画指導課長 谷 孝樹さんにおうかがいします。
本日のテーマであります「水土里情報システム」について簡単にご説明くださいますか。

担当者

水土里情報システムとは、平成18年度から22年度までの5ヶ年で国の補助を受けて整備した各市町村ごとの農地データ、航空写真等をインターネットを介して閲覧・検索・印刷などができるシステムです。
このシステムは、平成24年度から本格運用をクラウドコンピューティングで行っております。

司会者

いま、お話にでたクラウドコンピューティングとはどういうものですか。

担当者

「コンピュータシステムのイメージ図」ではネットワークを雲 英語でクラウドの図で表す場合が多く、それが由来と言われていいます。
従来のコンピュータ利用は、ユーザーがコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウドコンピューティングでは、ユーザーは、インターネットの向こう側からサービスを受け、サービス利用料金を払う形になります。
したがって、ユーザーが用意すべきものは、最低限の接続環境(パーソナルコンピュータや携帯情報端末などのクライアント、その上で動くブラウザ、インターネット接続環境など)のみとなります。

司会者

そうすると、導入のメリットとしては、どういうものが考えられますか。

担当者

導入のメリットとしては、実際に処理が実行されるコンピュータおよびコンピュータ間のネットワークは、サービスを提供する企業側に設置されており、それらのコンピュータ本体およびネットワークの購入・管理運営費用や蓄積されるデータの管理の手間は軽減されることがあります。

司会者

システムの内容は、よくわかりました。ところで、このシステムを導入することでどのような効果が期待されますか。

担当者

近年の農業・農村を取り巻く情勢は大きく変化しております。例えば、農業就業者の減少と高齢化の進行、それに伴う耕作放棄地の増大、逆に規模拡大を目指す経営者、それから、農業水利施設においては、耐用年数を迎えるものの増大など、当然何らかの対策を講じる必要があります。こういった対策を講じるための道具として本システムを活用していくことになります。
まず、図面は紙からデータ化されます。したがって、パソコンの画面で地図をクリックすれば、その田んぼ、畑の面積、耕作者が表示されます。また、場所の特定ができないときは、電子化された台帳の方から、場所の特定が可能となります。また、背景図として航空写真をおいておくこともできますので、最新の写真であれば現地にいかなくても状況をつかむことも可能となります。

司会者

なぜ、そういったことが可能になるのですか。

担当者

はい。なぜそういうことが可能になるかと申しますと、簡単にいえば地図と台帳が1対1で結びついているからです。先ほど申しあげましたように、地図から台帳へ、また台帳から地図へとどちらからも情報を表示することが、可能となります。
情報が1対1で結びついていますので、パソコンの画面から、検索・集計・地図を条件分けして色をつけるなどのこともできるようになります。こういったように、状況をパソコンの画面で一目でわかることが、一番の利点です。そのような面で、本システムは有効な道具であると言えます。

司会者

どのようなところが本システムを利用するのでしょうか。

担当者

利用するのは農業に関わる機関・団体の皆様ということになります。
本システムは、クラウドによるWebGISで、インターネット環境さえあれば、ID・パスワードにより自分のエリアにアクセスしてもらい利用することになります。

司会者

利用される機関・団体さんのメリットは具体的にどのようになりますか。

担当者

一つは、GISという仕組みを作る費用、そして、運営管理する費用が安価であるということです。また、運用を考えると、システム・ソフト・機械の管理・人材確保の面で機関・団体さんが皆様で負担することになるので、1機関で構築・運用の場合と比較すると、かなりの費用軽減となります。それから、データ・地図などの管理・更新には、技術的にハイレベルな人材の確保が必要となりますが、それもいりません。以上経費の軽減もありますが、現在、農業情勢に限らず、社会情勢は、スピードをもって変化しております。また、各機関・団体さんの業務体制のスリム化、業務の効率化が叫ばれております。
このような時代こそ、本システムを活用して、迅速に、的確に、タイムリーに各種方策を立てていただきたいと思っております。

司会者

本システムの運用状況はいかがですか。

担当者

はい。先ほど、お話したように平成24年度から運用を開始しておりますが、システムのレスポンスがあまり良くないこと、操作が難しいこと、クラウドサーバーのライセンスが終了することなどの問題を受けて、今年度、大幅なシステムの改修を行いました。改修にあたっては、ユーザーの意見を取り入れ、レスポンスの向上・操作性の向上を主眼とし、主に図面データの閲覧を中心にし、簡単な図形の編集機能を付け加えました。

現在、市町村・土地改良区・JAなどを合わせて約50団体で利用しています。また、平成27年度から法制度になりました多面的機能支払交付金事業における現地調査のため、タブレット端末による運用も開始しました。

司会者

ユーザーからの評判はいかがですか。

担当者

はい。新システム運用から10ヶ月ほど経過しますが、前システムより使いやすくなり、レスポンスが向上したことにより評判はとても良いです。

司会者

最後に「水土里情報システム」運用についての方針等はございますか。

担当者

平成27年度より、新システムを運用開始しました。今後の課題としては、地図は生き物ですので、更新をいかにタイムリーにしていくかです。現在、情報の「ミエル化」が農業分野に限らずもとめられています。
本システムを通して、農業政策が正確かつタイムリーに立案されていくことを期待したいと思います。

司会者

今朝は、ありがとうございました。今朝の土地連だよりは、「水土里情報システムの運用」について、お話しを伺いました。