土地改良施設を利用した太陽光発電の導入について
【平成28年3月22日ラジオ放送】
担当者:伊達西根堰土地改良区 事務局長 石川 博利
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「土地改良施設を利用した太陽光発電の導入」について、水土里ネット西根堰の事務局長、石川博利さんにお伺いします。
石川さん、おはようございます。
担当者
おはようございます。
司会者
はじめに、土地改良施設と太陽光発電施設の導入について、その内容や経緯についてご説明いただけますか。
担当者
はい、農業を行うためには、水が不可欠のため、河川等から用水を取り入れ、用水路で水田や畑で使用する水を供給します。また地域によっては、ダムやため池、さらに排水路、農道等、農業のために様々な施設がありますが、これらの総称が土地改良施設です。また、特に水路やダム、ため池等、水に関わる施設を農業水利施設と呼んでいます。
司会者
これらの施設は本当に、農業に欠かせないものですね。
担当者
はい、水土里ネット西根堰でも、ダムやため池、農業用用水路等の施設を管理しています。そして、様々な施設の維持管理には電力を使用しています。そのため、電力料金の増加は土地改良区の負担になっています。そのようななかで平成26年3月に「福島県農業水利施設小水力等発電推進協議会」が設立され、水力、太陽光発電の導入についての可能性調査を実施しました。本区では、太陽光発電による採算性が可能との結果を踏まえ、発電施設の建設、また、対応事業を検討していましたが、福島県の事業により建設することとしました。
司会者
その福島県の事業について、もう少し詳しくお話ください。
担当者
はい、この事業は、福島県が、再生可能エネルギーの推進、また原子力事故による被災地の復興を加速させるため、中小規模の太陽光発電設備を導入する取組に対して補助金を交付する事業です。その中の、農業水利施設活用モデルとして、農業水利施設を活用した太陽光発電事業を支援するものです。補助率が、補助対象経費の3分の1以内で、上限が700万円以内です。なお、太陽光発電の設備として50kw未満の施設が対象となります。
司会者
水土里ネット西根堰の施設は、具体的にどのような施設ですか。
担当者
はい、本区で管理しています用水路は26kmありますが、幅が広く直線部分が確保できる上流部を選定し、水路の上空に太陽光発電のパネルを設置しました。なお、事業の要件により49.5kw出力の施設としました。発電施設の規模としては、幅が約5m、長さが約85mです。メガソーラー等と比べれば小規模ですが、一般家庭の施設と比べれば大きいと思います。
施設の詳細として、太陽光パネルは1枚で250ワットの出力の物を使用し、40枚を1組とすることで10kwになります。それを5組設置することで50kwの発電が可能となります。なお、パネルが発電する電流は直流のため、パワーコンディショナーで一般家庭で使用する交流電力に変換しますが、ここで、49.5kwになります。使用するパネルの総枚数は200枚です。
司会者
小規模と言っても200枚と聞くと大きいと感じますね。
担当者はい、そうですね。水土里ネット西根堰では、モデル事業として水路の上空を利用しましたが、県内ではため池の上に浮かせて設置してる施設もあります。
土地改良施設を活用した施設には、メリットやデメリットもあると思いますが、事業完了後はそういった検証が必要と考えています。
司会者具体的にどのようなことでしょうか。
担当者今回の施設は水路の上空を利用しましたので、土の部分が少ないため草刈り等の作業が比較的少なくなると思います。また、コンクリートの水ですが、水路の脇は土の部分があり、以前から草刈り等を行っていました。今回の工事にともない、防草シート等を使用することにしていますので、当初の経費は必要ですが、長期的には維持管理が軽減すると思います。
司会者そのようなことはメリットとなりますね。
担当者はい、しかし、水路の上に構造物を作ることで工事等が必要となった場合は当然、支障となる可能性もあります。また、周辺へ影響も懸念されますが、そういった事も含めて検証していくことが、今後の課題と考えています。
司会者モデル事業として様々な検証もして行くということですね。
担当者はい、しかし、当初の目的である、土地改良施設に係る電力料等の経費節減としては、十分に満足行く施設になってます。本年の2月に完成しましたが、施設の設置条件が良かったためか、満足の行く発電施設として機能しています。当然、太陽光発電は、天候に左右されますが、これは他の太陽光発電施設でも条件は一緒だと思います。
司会者設置条件とはどの様な事でしょうか、もう少し詳しくお話ください。
担当者はい、太陽光パネルが一番効率よく発電するための条件があります。まず、できだけ南向きであること。さらにパネルの設置角度が30度が一番発電する条件となりますが、本区の施設は概ね真南で、設置角度が25度です。
司会者設置条件が理想的と言っていいんでしょうか。
担当者そう言えると思います。また、財政的には、福島県の補助事業の採択を受ける事が出来たこと、さらに、補助事業の残りの事業費については、水土里ネット福島の推進事項である、「土地改良施設を活用した太陽光発電の推進」により創設された、「再生可能エネルギー基金」を利用することが出来たことです。
司会者以前の土地連だよりでお伝えした内容ですね。
担当者はい、建設時の土地改良区の負担が軽減され、また、売電収入を土地改良施設の電力料の経費に充当することが可能と考えています。今後は、発電施設の維持管理や事業の検証等も必要ですが、土地改良施設の有効活用として期待できると施設であると考えています。
司会者ありがとうございました。今朝は、「水土里ネット西根堰」の石川博利さんにお話をお伺いしました。
担当者ありがとうございました。