平成28年度福島県の農業農村整備事業の概要について

【平成28年4月29日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部農村計画課 主任主査 佐藤 健一
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「平成28年度福島県の農業農村整備事業の概要」について、福島県農林水産部 農村計画課 佐藤健一さんにお話しを伺います。よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

まず、はじめに、農業農村整備事業とはどのようなものなのか教えてください。

担当者

農業農村整備事業とは、以前は「土地改良事業」と呼ばれていたもので、農作物を育てるのに必要な水の確保や農地の形を整え、効率的で安定した農業経営を行うための基盤となる水田や畑のほ場整備などのほか、農村地域の汚水処理施設や農道など農村の生活環境整備、近年増えているゲリラ豪雨から農地を守るための排水施設の整備などを行っています。
また、こうした事業を通して、良い農産物をたくさん生産できるようにしたり、地域の生活環境の改善、ひいては災害を防いで国土を守る役割も担っています。

司会者

農業農村整備事業は、農村地域には不可欠な事業なのですね。
さて、今年は東日本大震災から5年を経過した節目の年になります。農村地域へも甚大な被害が発生しましたが、復旧・復興はどのぐらい進んでいるのでしょうか。

担当者

はい。東日本大震災では、県内の農地・堤防・排水ポンプ場や水路など4,300箇所で被害を受け、その被害額は農地・農業用施設だけでも約2,300億円にのぼりました。
震災から5年が経過した現在も、福島第一原子力発電所の事故の影響で避難指示区域の一部では被害調査もできない状況ですが、そうした地域を除いて、平成27年度末時点で、約8割の復旧・復興工事を発注し、約7割の工事が完了しています。
また、災害復旧と一体的に農地の大区画化を図るほ場整備も県内11地区で実施しており、その一部では営農が再開されています。
被害の大きかった浜通りでも、復旧工事が進んでいる地域では徐々に営農が再開されるなど、復興状況が形として見えはじめ、地域に明るい光が差し始めていると実感しています。

司会者

なるほど、避難指示区域を除けば、約7割が復旧しているということですね。震災前よりも大きな田んぼでの営農再開という明るいニュースもあり、福島の復興は、今後、ますます加速していきますね。
こうした復旧・復興事業を進めるためには多くの予算が必要になると思いますが、平成28年度の予算の状況を教えてください。

担当者

はい。平成28年度の県の農業農村整備事業は、当初予算として、約325億円を計上しています。この予算は、震災前の平成22年度予算と比べて約1.5倍、前年比でも約一割増の予算額となっています。

司会者

震災前の約1.5倍とは、まだまだ予算額が大きいですね。
このように事業予算の額が多いと、職員の皆さんは大変ではないですか。地震・津波被害を受けた地方公共団体では、急激な復旧工事の増加へ対応する職員数が足りていないと聞きます。福島県はどうなのでしょうか。

担当者

はい。県でも、震災後、職員が不足している状況が続いています。
そこで、震災以降、継続して全国の道府県から農業土木技術職員の派遣支援を受け、特に被害の大きかった浜通りの相双農林事務所で復旧・復興業務にあたっていただいております。今年度は、北海道から沖縄までの11道県から、22名もの復興支援を受けています。
このほかにも、相双地方の市と町へは、農林水産省の出先機関から農業土木技術職員を派遣してもらい、復旧・復興の大きな力となっています。
派遣職員の皆さんは、ふるさとを離れ、家族と離れて、不便な生活を送りながらも、県職員とともに懸命に復旧・復興業務にあたっていただいており、このような全国からの温かいご支援に対し、心より感謝申し上げます。
また、支援に頼るばかりでなく、県でも多くの職員を募集しています。昨年は、農業土木職と土木職に限り、年2回の職員採用試験を実施し、その結果、今年度の新規採用農業土木職員は15名と昨年度の4名から大幅に増加しました。
今年度も、来年度採用にむけて、新たな農業土木職員を採用する予定です。本年度は、農業土木と土木職を志望する、より多くの方に受験していただけるように、県として初めて福島市のほか東京都内で第1次試験を実施することとしています。
大学卒程度の採用候補者試験は、受付期間が5月2日から5月27日まで、1次試験は6月26日(日)となっておりますので、福島の復旧・復興を進めたいという熱い気持ちをお持ちの方は、ぜひお申し込みください。
また、この放送をお聞きの皆様も身近な方に、県の職員採用試験に挑戦していただくようお声がけをお願いします。

司会者

長期にわたって、全国の農業土木職員の皆さんに支援に来ていただいていることを知り、私も心強く感じています。
こうした支援をいただくとともに、福島県でも職員を増やしているとのことでしたが、多くの方々を新たに職員として迎えることができるといいですね。
また、先ほど復旧・復興工事の約7割が完了しているとのことでしたが、今後の見通しはどうでしょうか。

担当者基本的には、避難指示区域を除いて、農地を平成31年度まで、海岸と排水ポンプ場を平成30年度までに工事が完了することを目標に、各市町村と連携を図りながら事業を進めていきます。
本県の農業は原発事故以降、風評による農産物価格の低迷や取引量の減少など、依然厳しい環境にありますが、避難指示区域も含めた被災地域の農業が復興し、より多くの笑顔が戻るよう、私たちは「今日の努力は笑顔あふれる農空間復興のために」を合言葉に、今後も懸命に復旧・復興事業を進めてまいります。

司会者ありがとうございました。
福島県に全国からの派遣されている皆様、私も県民のひとりとして感謝いたします。お体に気を付けながら、業務に取組んでいただければと思います。
今朝は、「平成28年度農業農村整備事業の概要」について、福島県農林水産部農村計画課の佐藤健一さんにお話を伺いました。