「耕作放棄地活用のちょっといい話」

【平成28年10月29日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村整備総室 農村振興課 主任主査 奥谷 陽之助

主査 松葉  隆幸
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。
今朝は、「耕作放棄地活用のちょっといい話」と題して、福島県農林水産部 農村振興課 主任主査の奥谷 陽之助さんと担当の松葉 隆幸さんのお二人にお話を伺います。よろしくお願いします。

担当者

(奥谷、松葉)おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

はじめに、ちょっといい話を伺う前に、福島県の耕作放棄地の現状はどのようになっていますか。

担当者

(松葉)はい。本県の耕作放棄地は、農業者の高齢化や担い手不足に伴って増加する傾向にあります。
また、東日本大震災や原発事故の影響により、農地の荒廃が今以上に進むことも懸念されています。
平成26年度の荒廃農地の発生・解消状況調査によると、再生利用が可能な耕作放棄地が、8,255haあります。全国での順位は、福島県は第4番目にあたります。
ところで、奥谷さん8,255haと言えば、皆さんにイメージしていただくのに何かに例えるとどのようなものがあるかなぁ。

担当者(奥谷)よく例えられるのは、東京ドームだけど、それだと約1,800個分になって、ちょっと想像できないので、猪苗代湖に例えるとその8割くらいの面積だね。

担当者(松葉)猪苗代湖の水がお酒だったらたっぷり・・・いや一生掛かっても飲めないね。

担当者(奥谷)酒どころ福島ならではの例えだね。

担当者(松葉)そうなんだけど、ちょっと気づいてもらいたいこともあるんですよ。

担当者(奥谷)どんなこと?

担当者(松葉)猪苗代湖の水もお酒に変わったら、お酒好きにはたまらないかも。似たような考えで、耕作放棄地は、元々は使われていた農地なんだから、再生すると農地に使える資源になるってこと。
だから、福島県には、たくさんの農地、いや、資源が眠ってるなぁって。

担当者(奥谷)ぜんぜん、似てないけど。なるほど、資源と考えるともったいないね。資源として、使い方をもう1回考えてみるといいよね。

司会者

お話しの途中で済みません。
先ほど、担い手不足という話がありましたが、農村では実際どのような状況なのでしょうか。

担当者

(奥谷)農村振興課で実際に農村を訪問して、色々な話を直接伺って来てるよね。どんな感じだったの?

担当者(松葉)皆さんにお話しを伺うと、子供さんは、一緒には住んでおられるって言うところでも、集落外に働きにいったりとかで、将来が見通せないって話されたり、地域を代表する担い手に自分の農地を使ってもらってるけど、その担い手の方も高齢化して、あと何年できるか・・・
そんな意見も多かったんだけど、元気な集落は、年齢のことは考えない、自分たちでやれることやる。外から人が来てもらうと元気が出るから、地域の資源を活かして、人が来てもらえるように、川を清掃して魚釣りができるようにするなど、工夫しておられました。
そういった活動をしている集落では、集落に住んでいる人数の200倍近い年間5,000人以上の人が訪れたところもあったよ。
そういう元気な姿を見ると、子供たちも後継者として、農業を始める可能性もあるよね。

司会者

先ほどの耕作放棄地も大切な資源と言うお話しがありましたが、地域の資源を活かして、いろいろなことができそうですね。そろそろ、ちょっといい話に近づいてきている気がしてきました。

担当者(奥谷)地域を元気にするには、まず、集落の皆さんで話し合って、5年後など集落の将来のイメージを描いて、まず何かやってみることが大切です。地域にないものは、他からもってくることもできますし。

担当者(松葉)県では、集落を元気にする取組について支援させていただく補助事業もありますよね。

司会者どういった支援があるのでしょうか。

担当者(奥谷)耕作放棄地を資源と考えると、農業研修の場所や企業の農業参入、規模拡大などに活用することができます。
まず、「農業体験・研修農園整備遊休農地活用推進事業」という、耕作放棄地を活用して、食育や大学生向けの体験農園や地域に住みたいと考えている方の農作業の研修などに使う農園整備を支援する事業があります。

司会者活用されている事例などがあればわかりやすいですね。

担当者(松葉)はい。今年行われている事例として、大学生約70名の方が参加して、ブルーベリー畑で除草、支柱立てや収穫などの農業体験を通じて農業の魅力を知ってもらい、担い手の確保などにつなげる取組が行われています。

司会者

1人でも新しい担い手が生まれれば、地域に元気が出るちょっといい話になりますね。その他にも支援があるんですよね。

担当者(奥谷)はい。「耕作放棄地活用条件整備復興促進事業」という、耕作放棄地を活用して、企業を農村に誘致したり、地域の担い手の一つである農業法人が規模拡大する場合に必要な、農地の再生経費や農業機械、施設などの導入について、支援を行っています。
農地の再生については、1ha以上の再生が条件となりますが、別にある国の事業を併せると自己負担は、3割になり、農地中間管理機構を活用して集積したものは、さらに支援を上乗せして、自己負担は1割でできます。
また、国の事業を活用して農地の再生を行った場合、国の支援対象にならないような農業機械、施設等の整備について、2分の1の支援を行っています。

司会者こちらも、活用されている事例がありますか。

担当者(松葉)はい。白河市に進出企業が、農地の再生の他、野菜の栽培に必要な機材を購入したり、喜多方市の農業法人が、規模拡大し新しい作物に取り組む際に、農地の再生と予冷庫、トラクターを購入されている事例があります。
これらの農業法人は、参入と規模拡大するときに雇用を行って、地域の経済活動にも貢献しており、今後は、雇用されている方が自立して、新規就農も期待されています。

司会者企業の農業参入や農業法人の規模拡大による地域経済の活性化、新規就農が達成されれば、まさに、一石二鳥の取組になりますね。
うまくいけば、ちょっとではなく、相当いい話になりそうですね。

担当者(奥谷)ありがとうございます。
今日紹介させていただいた2つの事業につきましては、詳しい内容をお知りになりたい方は、県庁農村振興課のホームページをご覧になるか、または、お近くの各農林事務所農業振興普及部の農業振興課まで、お問い合わせください。

司会者本日は、「耕作放棄地活用のちょっといい話」について伺いました。
奥谷さん 松葉さんありがとうございました。

担当者

(奥谷、松葉)おそ松さまでした。