「農事組合法人ニューわくわくファーム」の活動について
【平成28年11月24日ラジオ放送】
担当者:福島県土地改良事業団体連合会 農村振興部 次長 鈴木 浩
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「農事組合法人ニューわくわくファーム」の活動についてご紹介します。
お話しは、福島県土地改良事業団体連合会 農村振興部 次長 鈴木 浩さんにお伺いします。
鈴木さん、おはようございます。
担当者
おはようございます。よろしくお願いします。
司会者
初めに、ニューわくわくファームの所在などについてお話をいただけますか。
担当者
はい。ニューわくわくファームは、猪苗代町 長沢地区にあります。
当地区のある猪苗代町は、福島県の中央に位置する猪苗代湖の北岸に面し、東西北の三方を磐梯山をはじめとする山々に囲まれた自然豊かな環境です。
気候は、日本海式気候で、冬は積雪1~2mになりますので、農業の中心は稲作であり、転作作物の大豆、トマト、アスパラガスの栽培も盛んで、特にそばの振興に力を入れており「そばの里宣言」を行ない内外にアピールしています。
長坂地区は、猪苗代町の中心から北の裏磐梯方面に約6kmの位置で、磐梯山の山すそにあり標高570m~620mの中山間高冷地帯で、地区内農家戸数は19戸、農地面積は21haとなっています。
司会者
どういった経緯で法人が設立されたのですか。
担当者
はい。明治21年7月15日の磐梯山大噴火の土石流は、長坂集落にも押し寄せ、当時の戸数25戸、人口149名のうち、死者80名と負傷者15名を出す大参事をもたらしました。
この悲劇を乗り越え、地域の再建を支えてきたのが、水稲と養蚕でしたが、蚕糸業の衰退とともに養蚕経営も昭和50年頃までには姿を消しました。
一方では、減反が開始され、多くの農家で兼業化が進みました。
桑畑は林野化し、水田も傾斜がきつく5a程度の不整形なほ場で、転作も個別対応せざるを得ない状況でしたので、水田を全てそばに転作し、稲作から撤退する一方、条件の悪いほ場では、耕作放棄地が進行してきました。
この様な状況の中で、先人が残した田畑を後世に残したいという思いから、平成13年頃からほ場整備の機運が高まりました。
しかしながら、同意を得る過程において クリアすべき課題が2点あり、次のように課題解決に当たりました。
第一に、事業費負担の軽減です。このため、農地集積要件に加え、集積を上積みしソフト事業の活用を図りました。
第二に、水田農業の担い手に誰がなるかの課題です。
当時、地域は、中山間地域で、認定農業者はいませんでしたし、全戸が、兼業農家でありました。
この中で、地域が出した答えは、全ほ場整備農地を、一つの営農組織が引き受ける、「一集落一農場」の方針を打ち出しました。
これらを受けて、平成17年3月に、生産組合「ニューわくわくファーム」を設立し、平成18年7月に特定農業団体となり、平成21年1月に、農事組合法人となり、現在に至っています。
司会者
設立の経緯はよくわかりました。生産法人の概要について、お話ください。
担当者はい。当生産法人は、地区内21.2haの内、19.4haを1法人として活動しています。
内訳は、平成27年現在で、水稲14.7ha 大豆4.1ha、その他野菜などが0.6haとなっています。
ほ場整備による大区画に対応するため、8条田植え機、6条コンバイン、汎用コンバインを導入して、本地区全域の水田経営を実施しています。
トラクターは、従来から個人所有を持込みで対応し、乾燥調製はJAライスセンターを利用しています。
また、農地の集積にあたっては、農地保有合理化事業の導入を決め、安定した賃貸借・作業受委託契約と生産システムを確立しています。
なお、全員がエコファーマーを取得し、環境にやさしい米づくりに取り組んでいます。
その他の野菜については、少量多品目栽培により、町内スーパーマーケットの直売コーナーで販売を実施しています。
司会者ところで、今回、農業農村整備優良地区コンクール農業基盤整備部門で、全国水土里ネット会長賞を受賞されたとのことですが、受賞の経緯についてお話をいただけますか。
担当者
はい。ほ場整備をきっかけとして「一集落一農場」の考えにより地域が一体化し、同時に農事組合法人「ニューわくわくファーム」を設立したことで、日々、地域の水田農業の経営体質強化、収益力の向上に対し努力している姿が、受賞に値したのかと思います。
司会者これからの組合の目標などありましたら、お聞かせください。
担当者はい。転作作物である、大豆を利用した加工品として「味噌」の年度内販売に向けて、パッケージ・ラベルの検討。
販売先としては、町内スーパーマーケットの直販コーナーを予定しています。
また、販売先として今年開業しました、道の駅「猪苗代」なども考えられ、通年を通した販売により安定した農業経営を目指しております。
また、所有する汎用コンバインにより、町内他地域での「そば」の刈取収穫を実施し、新たな雇用の場の作っていきたいと考えています。
直売用野菜の規模拡大を図り、管理・収穫・パック詰め等の繁忙期に、地域内農家からの一時的雇用の場、また、味噌販売ルートの確保が整い次第、販売量の増加に伴う雇用を地区内農家から確保していきたいと思います。
毎年秋に収穫される、地元産そばを用いた「長坂新そば祭り」を開催し、都市部住民等との交流を図っています。
最終的には、法人メンバーの労働報酬と就業環境を他の地場産業と同等のレベルまで引き上げ、それにより集落のさらに若い世代を法人に引き付けることにより、持続的な集落営農のシステムを構築していきたいそうです。
司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、農事組合法人ニューわくわくファームの活動について、お話しを伺いました。