「農地・水・環境保全向上対策」について

【平成20年6月24日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 農村整備部 農地・水・環境保全向上対策室 室長 安田 明
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さんおはようございます。
今朝の「農家の皆さんへ」は、土地連だよりとして『農地・水・環境保全向上対策』について、ご紹介します。
お話は、福島県土地改良事業団体連合会 農地・水・環境保全向上対策室長の安田明さんにお伺いします。
安田さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。

司会者

はじめに、農地・水・環境保全向上対策とは、どのような対策なのかお伺いします。

担当者

はい、この対策は、高齢化や農家の減少により維持が困難となってきている農村の自然や農業用施設を守る共同作業を支援することと、環境にやさしい農業を支援することの2本建てとなっています。
従来、農村部は、農家の方々の共同作業により守られてきましたが、高齢化や農家の減少などで近年ますますその維持が難しくなってきています。このため、地域の人々や自治会、子供会などのもっと幅広い人々に参加してもらった「新しい組織」を作って、そこで農村の自然や農業用施設を守る活動を行い、その活動を将来的にも続けていけるよう支援すること…これが、「共同活動支援」です。
一方、そうしてできた共同活動組織で、地域の農家がまとまって、化学肥料や化学合成農薬を大幅に低減し、地域の水質や生態系などの環境を保全していく取り組みに対して支援すること…これが「営農活動支援」です。

司会者

では、具体的に「共同活動支援」とはどのようなことを行っているのですか?

担当者

はい、「共同活動支援」では、従来から行われてきた「水路の泥上げ、草刈」などの基礎的な部分に加えまして、耕作放棄地を保全管理することや、農村の自然を守るのに欠かせない、ため池などの農業用施設を長持ちさせるための取り組み、たとえばため池ゲートの再塗装や、水路の部分的な補修などを行っております。さらには、農村の自然環境を向上させる取り組みとして、水生生物の保護に向けた活動や、景観のための植栽などを地域の共同活動で実施しております。

司会者

はい解りました。次に営農活動支援について教えていただきますか?

担当者

はい、「営農活動支援」は、共同活動支援を受ける地域において、化学肥料や化学合成農薬を大幅に低減した、環境と共生する先進的な営農を行う場合に、これらの取り組みに対する支援をするといったもので、大きく2つの支援があります。
一つは、栽培技術の研修会の実施や実証ほの設置、土壌や生物などの分析を行う地域に対して交付される「営農基礎活動支援交付金」で、これは対象区域ごとに一定額が交付されます。
二つ目は、対象区域で一定のまとまりをもって化学肥料と化学合成農薬を原則5割以上低減する取り組み、例えば、浅水代かきや、堆肥や有機性肥料の使用、被覆栽培の実施、温湯種子消毒などを行うことに対して交付される「先進的営農支援交付金」で、作物の種類別に面積に応じて交付されます。
昨年平成19年度は、県内では全て水稲栽培による取り組みでしたが、今年からは野菜や果樹などの園芸品目で取り組みが始まる予定です。

司会者

そうですか。今、「食の安全」については、国民のだれもが強い関心をもっていますからね。私も、消費者の1人として、安全で美味しい福島県産の農産物をどんどん増やしていただきたいですね。

担当者

そうですね。営農面での化学肥料や化学合成農薬などは、特に県民の皆さんの関心のある部分でもあるので県・各市町村・JA等で力を入れております。もちろん土地連としても啓発普及に努力したいと思っています。

司会者

それでは、福島県内では、どれくらいの地域でこの対策が行われているのですか?

担当者

はい、昨年度の実績になりますが、福島県内で本対策に取り組んだ市町村が47市町村、組織数にして594組織、交付金交付面積が33,967ヘクタールとなっております。

司会者

営農活動支援に取り組んだ組織はどれくらいあったのですか?

担当者

はい、県内で17組織、面積にして452ヘクタール、農家戸数392戸の皆さんが、環境にやさしい米作りに取り組んでいただきました。
また、今年の新規追加地区として、5月現在、共同活動支援地区が17組織、営農活動支援地区11組織が加わり、活動を行っています。
なお、7月にも新たな地区が追加となる予定です。

司会者

最後になりますが、安田さん、この対策では、今後、どのようなことが大切になると、お考えでしょうか?

担当者

はい、この対策は、5年間活動を続ける事が条件となっています。そうして重要なことは、対策が終了した後も、農地や施設の適切な保全管理と自然豊かな農村づくりを目指して共同活動を継続することが大切です。
日本の農村には、昔から「結い」と言う素晴らしい伝統がありました。誰か困った人がいたら、みんなで助け合う、また、自分が困った時も周りの人に助けてもらえる。古くからあった農村のボランティア精神です。本対策の共同活動についても、この、結いの精神で定着してもらいたいです。
また、県民の方々に於かれましても、「農地・水・環境保全向上対策」、長い名前で、覚えにくいですが、略して「農地水対策」として覚えて頂き、本対策に、ご理解を頂き、皆さんの町で活動を行っている組織が御座いましたら、ぜひ応援して頂くことをお願いします。

司会者

ありがとうございました。
今朝の「農家の皆さんへ」は「農地・水・環境保全向上対策」について、福島県土地改良事業団体連合会 農地・水・環境保全向上対策室長の安田さんにお話を伺いました。