土地改良区における賦課徴収について

【平成29年1月26日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会企画指導課 課長 谷 孝樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「土地改良区における賦課徴収について」お話しを伺いたいと思います。
お話しは水土里ネット福島 総務企画部企画指導課長 谷 孝樹さんにお伺いします。
まず、はじめに土地改良区の賦課徴収について概略をお話ください。

担当者

はい。土地改良区は、土地改良法第36条第1項の規定に基づき定款に定めることにより、土地改良区が行う経費を賦課徴収することができます。
賦課金は、定款に定めるところにより、土地改良区が行う事業に要する経費を、組合員から賦課徴収することができることになっています。
土地改良区が行う事業によって生ずる利益は、組合員に当然帰着するためです。
賦課の基準は、「土地が受ける利益」を勘案していることが必要であり、地積、用水量、その他の客観的な指標により賦課し、説明ができないような基準による賦課はみとめられません。

司会者今日の放送は、賦課徴収にあたっての疑問について、質疑応答の形式で何点か紹介していきたいと思います。最初は、賦課徴収についてです。
組合員が死亡して、妻と子の5人が共有で相続した土地についての賦課金の通知は誰宛にすればよいですか。
また、当該土地について身内外の耕作者Cが農業委員会の承認を得て耕作権を取得した場合、未納となっている賦課金について、耕作者Cに負担させることはできますか。

担当者

はい。土地改良法第44条第1項の規定により、共有者がある場合には、その代表者を土地改良区に通知する必要があり、この通知がないときは、同条第4項で、土地改良区の側から共有者の1人に通知することにより、組合員としての行為をさせることができることとされています。
従って、土地改良区はそのうちの1人に対し、賦課通知の手続をすれば足りることととなります。
また、耕作者Cは、農業委員会の承認により組合員資格を取得していますので、未納賦課金の支払義務は法第42条第1項の規定により耕作者Cが承継することとなります。従って、耕作者Cが耕作権を取得する以前の当該農用地についての未納賦課金がある場合には、当該未納分を含めて、土地改良区は耕作者Cに対して請求することができます。

司会者

組合員が居所不明の場合は、賦課金通知書の通知方法はどうすればよいですか。

担当者

はい。法第45条により、組合員名簿に記載された住所に送付すれば、足ります。また結果として、組合員の居所が明らかでない場合、通常必要と認められる調査をしても、なお、住所等が不明の場合は、法第112条の規定により公示送達ができるとされています。
この場合の公示送達は、送付すべき書類の名称及びその書類の送達を受けるべき者の氏名並びに理事長がその書類をいつでも送達を受ける者に交付する旨を記載した文書を、土地改良区の地区の属する市町村の事務所の掲示場に掲示して行うこととなります。

司会者

つぎに、督促・時効について何点か紹介します。土地改良区の賦課金の徴収権について、時効は何年ですか。

担当者

 はい。徴収権の時効は、法第39条第7項の規定より、「その時効については、国税及び地方税の例による。」とされており、納期限の翌日から起算して5年となっています。

司会者

延滞に係る賦課金の一部を納入したときは、時効中断の事由となりますか。

担当者はい。納入した金額が、延滞に係る賦課金の一部である旨の意思表示がなされていれば、民法第147条第3号の「承認」に当たり、時効が中断することとなります。

司会者賦課金納入誓約書は、民法第147条に規定する承認として、時効中断の事由となると解釈してよいですか。

担当者はい。納入誓約書の提出があった場合、土地改良区が受理することで時効中断の効力が生ずると解釈されます。ただし、納入誓約書の記載に、誓約文言、滞納金額、納付計画、作成日付、滞納者の住所、氏名などについて、今後の賦課金納入に関して滞納者・土地改良区 双方の合意事項がある場合には、土地改良区として、承認文書を発行する必要があります。

司会者時効で消滅した経常賦課金について、関係組合員から債権確認書を徴した場合は、当該経常賦課金を不納欠損処分とせず、債権として取り扱って差し支えないですか。その場合の債権の種類は、何とすればよいのですか。

担当者

はい。経常賦課金の消滅時効については、国税及び地方税の例によることとされています。すなわち、地方税法第18条第1項の規定の準用により、その債権は消滅することとなります。したがって、改めて寄付金等、賦課金債権以外の債権としてこれを徴収することが適当です。

司会者次は、権利義務の継承についてです。滞納者Aが先般死亡してしまいました。民法上の相続人については、不明ですが、問題の滞納に係る水田20アール余の土地については、村内の縁者Bが耕作することとなり、耕作権はAからBに異動されています。この場合、滞納処分の相手方は誰になるのですか。

担当者はい。滞納処分の相手方は、Aの民法上の相続人ではなく、法第42条第1項による土地の承継人であるBとなります。

司会者最後に、今までのお話をまとめていただけますか。

担当者はい。今日は、土地改良区が行う賦課徴収にあたっての疑問についてを質疑応答の形式で何点か紹介しました。実際の賦課徴収にあたっては、いろいろな疑問などがあると思いますので、お気軽に水土里ネット福島までお問い合わせください。

司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「土地改良区における賦課徴収について」お話しを伺いました。