「農地・水・環境保全向上対策事業」について

小島ふるさとづくり協議会

【平成20年7月23日ラジオ放送】

担当者:川俣町 小島ふるさとづくり協議会 会長 菅野善左エ門
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、農地・水・環境保全向上対策事業の取組みについてご紹介します。
お話は、川俣町の活動組織、「小島ふるさとづくり協議会」会長の菅野善左エ門さんにお伺いします。
はじめに、農地・水・環境保全向上対策事業とはどのような内容なのでしょうか。

担当者

ご承知の様に、最近の農村では、農業従事者の減少・高齢化、都市化に伴なう混住化や、耕作放棄地の増大などにより、集落機能が低下し、農地や農業施設の「農道・水路等」の資源を、適切に保全管理することが困難な状況となっています。また、農村の持つ、ゆとりや安らぎの場と言った、国民の価値観に、対応が必要となって来ました。
このため、地域の農家や担い手・地域の方々など、多様な構成員の合意のもと、地域ぐるみでの共同活動と、農業者ぐるみでの、減農薬などの営農活動を総合的に支援し、農村を活性化させようとするものであります。
また、これらの共同活動を通じて、地域の方々にそれぞれの役割を、知っていただくと同時に、農家と地域の皆さん方と一緒に、この活動を行うことで、失いつつある、むら意識を復活させ、地域を活性化させるための、大きな可能性を秘めた事業であると考えます。

司会者

農村地域の環境を維持していく上で、農家・地域住民は重要な役割を担っているわけですね。ではもう少し具体的にお話を頂きたいと思います。

担当者

ある農業団体が、首都圏の都市住民を対象に、農村の果たしている役割についての意識調査を行ったところ、多くの人が「水や新鮮な野菜の提供」と同様に「自然災害の防止」「自然や美しい農村景観の供与」といった、農村の持つ多面的機能を大きく評価していることがわかりました。
特に農家の方々が日々管理している、「ため池や用排水路」などは、台風などの大雨の時には、地域の災害防止という、重要な役目を果たしております。
最近、「自然がもたらす、多面的機能」という言葉も耳にします。
これらの多面的機能というのは、実際には、生産活動なしには、作り出せないと思います。また、常日頃の維持管理があってこそ、農業用施設の機能が、保たれているわけです。それらを行なっているのは、地域の農家の方々であり、農村に住んでいる方々の支えがあってこそだと思います。

司会者

これほど地域に貢献をしているわりには、「農家や農村の関わり」について存在があまり知られていないのは、なぜなんでしょうか。

担当者

ここが大きなポイントです。二つ程、例をあげたいと思います。
一つ目は、農村の持つ多面的機能について、一般の方は、直接お金を出さなくても、その恩恵を受けることから、あまり意識が無いと言うことがあります。
二つ目は、資源と言われる農地・農道、農業用排水路施設の果たす役割や、必要性について、理解を得るような努力を怠ってきたことです。

司会者

では、今回の事業に対しての、「小島ふるさとづくり協議会」の組織活動の取り組状況について、ご説明願えればと思います。

担当者

平成19年の5月18日に、活動組織の事業採択を受けました。
組織の活動協定面積は、水田68.1ヘクタール、畑83.8ヘクタール、草地0.9ヘクタール、合計152.8ヘクタールの農用地です。
活動組織の立上げについてですが、川俣町には、大字単位に自治会と言う組織があります。この組織の中には、行政区、農振会、PTAなどの各種団体が組織されていますので、自治会が、今回の事業の活動組織母体となり、地域ごとに特色を生かした話合いをしながら事業に取組んでいます。煩雑な事務作業については、地域内に住んでいる役場職員に協力して頂いております。
具体的には、地区自治会、行政区、農振会等が中心となり、農家・地域の方々が一体となった共同活動組織をつくり、溜池の草刈りや農道の砂利補充、排水路の補修・点検、土砂上げ・草刈り、地域の生態系調査や水質の調査モニタリング、景観保全活動等を、参加する組織で役割分担を決め行います。

司会者

一口に農家と非農家が一緒に行う共同活動といっても、今まで、非農家の皆さんは、このようなことに無関心であったように思うのですが。

担当者

そうですね。この事業は、何か物を作って成果を出すというような簡単なものではなく、地域にどれだけ貢献できるかを考えていただいたり、助け合う気持ちをもっていただくために、共同活動を通じて、みんなで話し合い、協力しながら、進めることができれば、「理解・関心」をもって頂けると思っています。
先ほど申しあげたように、まず大切なことは、農家を始めとする地域の人々や組織・行政がサポートしあいながら、出来る限り幅広い参加を得ることだと思います。
そして、活動内容やそれぞれの役割分担が地域での「納得と合意」の下で定められること、それから何よりも大事なことは、その活動が永続したものになることです。

司会者

最後に、これからどのように取り組みを進めていくのか教えて下さい。

担当者

この事業の成果を上げるため、小島地域の皆さんと力を合わせ、知恵を出し合いながら、昔の古き良き時代に一歩でも近づけるよう努力してまいりたいと思います。また、関係団体との連携を強化し、継続して周知と啓発を図りながら、地域の皆さま方に、この事業の輪が拡がるよう、地道ではありますが、推進活動を展開してまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

司会者

営農活動支援に取り組んだ組織はどれくらいあったのですか?

担当者

はい、県内で17組織、面積にして452ヘクタール、農家戸数392戸の皆さんが、環境にやさしい米作りに取り組んでいただきました。
また、今年の新規追加地区として、5月現在、共同活動支援地区が17組織、営農活動支援地区11組織が加わり、活動を行っています。
なお、7月にも新たな地区が追加となる予定です。

司会者

ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、農地・水・環境保全向上対策事業について、活動組織の「小島ふるさとづくり協議会」会長の、菅野善左エ門さんにお話を伺いました。