農業水利施設での事故防止について
【平成29年5月23日ラジオ放送】
担当者:福島県農林水産部農地管理課 主任主査 手代木 洋一
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「農業水利施設での事故防止について」のお話です。お話は、福島県農林水産部農地管理課の手代木洋一さんに伺います。
まず、農業水利施設というと、どのようなものがありますか。
担当者
農村地域や、住宅地周辺部の用水路や排水路、ため池や農業用ダムなどを見かけると思いますが、これらの施設を一般的に農業水利施設と呼んでいます。
農業に関する事故というと、農作業中のトラクターやコンバイン操作中の事故などがありますが、農業水利施設での事故というものも多く発生しています。
司会者
農村地域というと、大変おだやかな風景を思い浮かべますが、そんなところで事故が発生してしまうのですか。
担当者
そうですね、穏やかな田園風景からは想像できないかもしれませんが、小さなお子さんや高齢者、大雨洪水時に施設の見回りをしていた農家の方が、ため池や水路に転落して亡くなるという、痛ましい事故が毎年発生しています。非常に残念なことです。
司会者
なぜ、そのような事故がおこってしまうのでしょうか。
担当者
まず、ため池での事故ですが、春から夏にかけて多く発生しています。農繁期に入り、施設の管理・操作頻度の増加や、気温の上昇に伴い、娯楽などによる利用者が増加する中、小さなお子さんや高齢者が事故に巻き込まれています。事故原因としては、小さなお子さんの場合は、ため池の危険箇所が分からなくて、危険な場所に入り込んでしまうことが考えられます。また、高齢者の場合は、施設管理時や散策時に転落してしまう、ということが考えられます。
次に、水路の事故ですが、大雨洪水時の施設見回り時に発生しています。
事故原因としては、農道が雨でぬかるみ、滑りやすくなっていることに加え、雨具を着ているため、普段のように身軽に動けなくなることも重なり、増水した水路に転落してしまう、ということが考えられます。
水路は昔からあった訳ですが、昔は土水路であったものが、最近はみなコンクリート水路となってきています。その結果、水の流れが速くなって、事故の危険性が増してきていることも原因の一つかと思われます。
司会者
水路やため池の事故を防ぐためにはどのようなことが必要ですか。
担当者
まず、水路やため池の近くなどで遊んでいる小さなお子さんを見かけたら、一言注意し、夢中になって危険箇所へ近づくのを防いであげることが大切です。
危険な場所は、学校や地域で点検をしたり、それらの危険箇所を子供に知らせて注意させるといった、地域ぐるみの啓発活動が重要と考えています。
次に、農業水利施設の点検にでかける場合は、一人ではなく複数で行うよう心がけてください。また、大きな水路に近づくときや、ゲート操作をするときには、ライフジャケットやヘルメットを着用する!ということも必要と思われます。
司会者
その他に、危険なことはありますか。
担当者
ダムの場合ですが、水位を下げるとき、ゲートを開け、下流河川に放流する場合があります。この放流により、河川の水位が上昇するので、下流で水遊びや釣りをしている人は注意が必要です。
ダムで放流する場合には、事前に警報を鳴らしたり、放流について放送で知らせたりします。警報が鳴っても、避難しないでいると、水位上昇により、中州に取り残されたり、あるいは、足場を失ってしまうことがあります。自己判断はせずに、警報がなったら速やかに避難していただくようお願いします。
司会者
施設を管理している方々は、事故防止のためにどのようなことをすれば良いのでしょうか。
担当者農業水利施設を管理している方々、市町村や土地改良区などの団体、また実際に地元で管理されている農家の方々へのお願いです。
管理施設の点検・整備を確実に行って下さい。具体的には、ため池の周辺に注意喚起の看板設置、大きな水路には転落防止柵の設置などお願いします。また、見通しが悪くならないよう草刈りなどお願いします。
併せて、地域に住んでいる小さなお子さんや高齢者を含めた一般の方々に、どこにため池や大きな水路があるのか、それはどのように危険なのかといったことを知らせていただくなどの取組をお願いします。
更に関係機関との連絡調整や損害保険への加入など積極的な取組もお願いします。
司会者施設を管理される皆様には、安全安心な管理を進める上でも、定期的な整備補修などをお願いいたします。
担当者なお、これらについては市町村や土地改良区又はお近くの農林事務所農村整備部へご相談して頂きたいと思います。
司会者ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「農業水利施設での事故防止」について、福島県農林水産部農地管理課 手代木洋一さんにお話を伺いました。