「バイオマス事業の取り組み」について

猪苗代町

【平成20年11月25日ラジオ放送】

担当者:猪苗代町農林課 主任 渡部 彰啓
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「土地連だより」は、猪苗代町のバイオマス事業の取り組みについてご紹介いたします。
お話は、猪苗代町農林課農林業務主任の渡部彰啓さんにお伺いします。
まずはじめに、猪苗代町のバイオマス事業取り組みの経緯について、お話をいただきたいと思います。

担当者

当町のバイオマス事業の取り組みの経緯ですが、当町では、地域資源循環による人と自然が共生するまちづくり「美しい いなわしろの創造」をめざし「有機の里」構想を平成14年度に策定しました。
平成14年12月には「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、地球温暖化の防止、循環型社会の形成、農山漁村の活性化、戦略的産業の育成の観点から、その有効利用について、いろいろな対策が講じられました。
特に農林水産省では、バイオマス利活用のため、地域で発生・排出されるバイオマス資源をエネルギーや製品に変換し、地域内で可能な限り循環利用するシステム構築のため、「バイオマスの環づくり事業」を創設し、これを受け福島県は、「うつくしま資源循環の里づくり事業」を創設し、循環型社会の構築に資する取り組みに対しての支援をはじめました。
この様な中で、当町では「有機の里」構想にもとづき、町内で発生する家畜のふん尿や生ごみ、下水汚泥等のバイオマス資源を堆肥化し、地域の農地等に還元することで、豊かな土作りを行い、安全で安心な農産物を供給する資源循環型農業の実現を目指し、その核となる優良堆肥製造施設を平成18年度から整備し、平成19年10月に試運転を行い、本年4月から本格的に稼動を開始したところです。

司会者

優良堆肥製造施設の概要及び現在の状況についてお聞かせください。

担当者

この施設で受入れるバイオマス原料は、家畜のふん尿を年間約3,340トン、家庭、事業所から出る生ゴミを約900トン、下水道の汚泥約1,000トンに、水分調整材としての籾殻等を約1,040トンと計画しており、家畜のふん尿・生ゴミを原料とした特殊肥料を年間約2,000トン、汚泥を原料とする普通肥料を約460トン程度生産できる施設となっております。
しかし、本年度は初年度であるため、特殊肥料を約1,500トン、普通肥料を約250トン程度生産する予定にしております。

司会者

この施設の整備によって期待することは

担当者

本施設の整備により、当町の「有機の里構想」の四つの基本目標である
一つ目の、地域内で資源が円滑に循環することによる地域循環のシステムづくり
二つ目の、化学肥料依存の営農から脱却し、河川や猪苗代湖の水質保全にも寄与する環境保全型農業による、自然にやさしいまちづくり
三つ目の、持続性の高い農業生産の実現と、産地ブランドの確立による、活力ある産業づくり
四つ目の、最近食品、食材の偽装問題が騒がれておりますが、地産地消の体制づくりを通し安心できる食材の提供による、健康な食文化づくりが図られるものと期待しております。
また、本町におきましては、来年3月にフリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会が開催されますので、本施設で製造した堆肥で生産された地元農産物を食材として、大会期間中、参加選手・役員または来場者の皆様に提供する予定にしており、環境と共生した町づくりを全国さらには世界に発信していきたいと考えております。

司会者

今後のバイオマス事業の計画や課題等がありましたら教えてください。

担当者

これからの計画としましては、廃食油等を利用したバイオディーゼル燃料の利用を計画しております。
課題につきましては、これらバイオマス事業は、住民や各事業所など、町民の理解・協力がなければ本来の目的が達成されないものであります。
したがいまして、当町の第6次振興計画の一つの理念であります「参加と協働の理念」から、今後町民の皆さんと共に本事業を通じて猪苗代町の振興、活性化に役立てたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

司会者

どうもありがとうございました。
今朝の「土地連だより」は、猪苗代町のバイオマス事業の取り組みについて、猪苗代町農林課農林業務主任の渡部彰啓さんにお話をお伺いしました。