「農地・水・環境保全向上対策事業」について
大久保地域農地・水・農村環境を守る会
【平成20年12月31日ラジオ放送】
担当者:大久保地域農地・水・農村環境を守る会 副代表 安藤 正一
副代表 降矢 末寿
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、農地・水・環境保全向上対策事業の取組みについてご紹介します。
お話は、須賀川市の活動組織「大久保地域農地・水・農村環境を守る会」の副代表で上大久保行政区長 安藤正一さんと同じく副代表で滑沢行政区長 降矢末寿さんのお二人にお伺いいたします。
はじめに、安藤さんから、農地・水・環境保全向上対策事業とは、どのような内容なのかをお聞かせ下さい。
担当者
昔から日本人は米を主食としてきました。
農業は、皆様方の生活を支えております「食」を生産し、供給している重要な産業であったわけです。
また、それだけではなく、農家は豊かな自然環境として農地や農業用水などの施設を「結いの精神」で、これまで地域が共同で守ってきました。
しかしながら、最近の農業を取り巻く環境は、若い人たちの都会への流失による農業従事者の減少、経済面から採算性がなかなか取れにくいことから農業離れが進み、農家人口の減少とともに、集落機能の低下と高齢化が進んでしまい、地域環境の保全管理が非常に困難になってきました。
そこで、この地域の資源を、農業者だけでなく、地域の住民や団体を含めた地域ぐるみでの共同活動を行い、農村環境を維持管理して、これらの資源を将来へ受け継いでいこうという活動です。
司会者
農村地域の環境を維持していく上で、農家・地域住民は重要な役割を担っている訳ですね。
では、もう少し具体的に教えて下さい。
担当者
先ほども話しましたが、農地は生活を支える安全な「食」を提供する重要な資源でありますが、その他にも田んぼやため池は大雨が降った時に、水を一時的に貯めて、ゆっくりと水路や河川に流し、洪水を防止する機能を持っています。
また、水田に引かれた用水や雨水は、時間をかけて地下に浸透し、地下水となり地盤沈下の緩和にも役立っています。
よく管理された田んぼや畑は、大切な緑地であり、地域の原風景にもなっております。知らない人が多いんですが、農地を耕すことで土の中の微生物が有機物を分解したり、植物は大気の浄化と温暖化防止にも寄与しているんです。
更には、小動物などの生息の場として生態系の保全にも役立っているんです。
このように農地は、多種多面的な機能を持っており、地域には欠かせない資源になっている訳です。
司会者
それでは、降矢さんから、今回の事業に対しての「大久保地域組織活動」の取組み状況について教えてください。
担当者
当地域は、須賀川市岩瀬の上大久保地域、下大久保地域、滑沢地域の3行政区合同で昨年の3月に活動組織を立ち上げました。
組織の内訳は、各地域の住民174名と各種20団体で組織しております。
活動区域は、水田110ヘクタール、畑5.7ヘクタール、開水路23.5キロメートル、農道22.6キロメートル、ため池33ヶ所が対象となっています。
具体的な活動内容は、月ごとにため池の草刈り作業、農道の砂利敷き補充と簡易修繕、開水路の清掃と点検補修、道路のゴミ拾いと花の植栽、水路やため池の水質調査、生き物調査、魚の放流、また大雨や台風などの災害が起きたときは、調査点検を行い、災害防止などの作業を各団体に割り当てて実施しています。
私たちは、これらの地域活動を紹介し情報を発信するために広報誌の発行とホームページも立ち上げPR活動もしています。
司会者
一口に農家と非農家が一緒に行う活動といっても、今まで、非農家の皆さんは、このようなことに無関心であったと思うんですが、その辺はいかがでしたか。
担当者
非農家の方々とは、今までも主要道路等の草刈りやゴミ拾いなど、農家、非農家を問わず共同で作業をして参りました。
また、道路脇の花の植栽、水路やため池の点検清掃なども地域共同で作業してきた実績がありましたので、今回はそれに加えた活動ということで、非農家の皆さんには、ためらいなく共同活動に参加して頂くことが出来ました。
司会者
「結いの精神」は今も健在ですね。
最後に、地域活動がめざす今後について、お聞かせ下さい。
担当者
地域の大切な共有資源を保全していくということを地域全体で考え、認識と理解を共有し、お互いに助け合う「結いの精神」を更に強め、地域全体のつながりをより大きくして、地域が一体となった活動をめざし、この美しい景観と自然環境を後世に残せればと考えています。
司会者
ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、農地・水・環境保全向上対策事業について「須賀川市大久保地域農地・水・農村環境を守る会」副代表の安藤正一さんと降矢末寿さんにお話を伺いました。