農用地等集団化事業の取り組みについて

会津宮川土改区

【平成21年7月22日ラジオ放送】

担当者:会津宮川土地改良区 山内 幸男
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝は、「高田中央地区の農用地等集団化事業の取り組みについて」、水土里ネット会津宮川の事業課の山内さんにお話しを伺います。
始めに、水土里ネット会津宮川の概要と中央地区の概要についてお伺いします。

担当者

水土里ネット会津宮川は、福島県会津盆地の西部を北に向けて流下する1級河川阿賀野川支流、宮川の左右両岸に位置し、大沼郡会津美里町(旧会津高田町・旧新鶴村・旧会津本郷町)・会津坂下町・会津若松市(旧北会津村)の1市2町を受益地とする区域です。
国営事業による新宮川ダムをはじめ、その他の国営及び県営事業によって造成された土地改良施設の維持管理と国営・県営事業の償還業務が主な業務です。
平成21年3月末で、約4,600ヘクタールの受益地と約4,200名の組合員数からなる水田農業を中心とした都市近郊型の農業地帯です。
次に高田中央地区は、地区の西側を阿賀野川水系の1級河川赤沢川が北上する堆積地です。
気候は、内陸型特有の複雑な気候を示し、夏は蒸し暑く、春・秋には日中と夜間の気温差が大きい盆地特有の気象条件で、冬期は日本海式の気候のため好天が少なく、積雪量も多い地域です。
事業実施前のほ場は、昭和27年から昭和33年にかけて整備された10アール区画で、農道も狭く、用排水路が未整備となっていたため、通作が困難であり、維持管理に大きな労力を費やしていました。
このため、農業生産基盤の整備を行い、さらに農業経営の規模拡大と効率的かつ安定的な農業経営を行うため、農地の利用集積等を推進する必要がありました。

司会者

まず農地等集団化事業とはどんなことなのでしょうか。

担当者

小さな農地が何カ所にも分散している状態を解消して、より効率的な農業生産が展開できるような形態にして、農業経営の規模拡大、農地の集団化を進めることです。

司会者

集団化事業の状況は

担当者

ほ場の大型化により、高田中央地区の総団地数は事業前の782団地から442団地に、さらに1戸当たりの平均団地数も事業前2.3団地から1.3団地になり、集団化率は75.6パーセントとなりました。
また、生産組合等を中心とした地区内の担い手への農用地集積率は約80パーセントになっています。

司会者

どのようにして進めたのですか。

担当者

高田中央地区は、ほ場整備等を実施する「経営体育成基盤整備事業」として、平成13年から19年度に実施した地区です。
将来の農業生産を担う効率的かつ安定的な経営体を育成して、これらの経営体が農業生産の相当部分の農業構造を確立するため、意欲と能力のある経営体が活躍できる条件整備を実施し、優良農地を将来にわたり適切に維持・保全することで、食料自給率の向上、農業の多面的機能の十分な発揮に資することを目的とした事業です。

司会者

経営体育成基盤整備事業とは

担当者

経営体育成基盤整備事業は、ハード事業としては生産基盤整備事業で、ほ場の大区画化、農道の整備、用水路・排水路の整備などを総合的に実施することです。ほ場の整備を実施することにより、大型機械の導入が可能となり、農業生産性の向上が図られるとともに、排水条件の整備、水田の汎用化により、麦、大豆、野菜などの作付けが可能となり、農地の高度利用も実現します。
また、ソフト事業で経営体育成促進事業として、担い手の育成、担い手への農用地利用集積により、農業経営の安定が実現し、地域の農業構造の改善にも寄与します。
さらに、土地利用の秩序化や国土保全・防災の役割も果たしています。

司会者

高田中央地区の事業前の集団化の状況について伺います。

担当者

地区は会津地方の肥沃な土壌条件を活かして、古くから良食味米地域として会津米の生産を行ってきて稲作中心の農業が営まれています。また、都市近郊であるため、都市化の影響を受け、兼業率は97.2パーセントで、うち86.4パーセントが第2種兼業農家となっていました。(平成17年)平均耕作面積は0.6ヘクタールとなっており、旧会津高田町の平均1.4ヘクタールを下回り、零細農家が多く、規模拡大を目指す専業農家には障害になっていました。
このため、稲作の省力化・低コスト化を図るとともに、土地利用作物の導入などを推進し、農業所得の増大を図る必要がありました。

司会者

農用地等集団化事業の推進体制については

担当者

平成12年3月に、円滑に集団化事業を実施するために、高田中央地区委員会が組織され平成13年12月には農用地利用集積推進委員会が組織され、地区内の農用地面積161ヘクタール、及び受益者360名等の把握等がされました。
農用地の集積については、農用地利用集積推進委員会及び関連機関が連携して推進しました。
当初の集積は個別農家10名で進めましたが、平成14年10月に担い手農家11名により組織化された「高田中央担い手生産組合」を設立して、農作業受委託と「認定農業者」への農用地利用の集積を推進しました。
農作業受委託は水稲直播作業(耕起・代掻き・播種)が中心です。
水稲直播栽培については、県会津農林事務所会津坂下農業普及所等の支援の下で、栽培方法を定着させ、作付面積を大幅に拡大させました。
また、平成18年3月には、農用地の集積や、転作地の団地化を推進する目的で農用地利用改善団体の「高田営農組合」を設立しました。地区の担い手と土地の貸し手との契約・精算の調整については、農地保有合理化法人の会津みどり農業協同組合が農地保有合理化事業による利用権設定契約で進めています。
生産組織がカルパーコーティングマシン・直播機・大型トラクター・汎用コンバイン等を導入し、耕起、代掻き、播種、刈取の基幹作業の農作業受託を行っています。同時に農用地利用集積を進め効率的な稲作を実践しています。
平成21年度の水稲直播栽培面積は120ヘクタールです。
これは隣接する高田西部地区と合わせると200ヘクタール以上となり東北のみならず、全国でも最大規模の水稲直播団地となっています。
今後も継続して、地域の効率的かつ安定的な農業経営を行うために農用地利用改善団体の「高田営農組合」が中心になり地域の農業の振興に寄与していくことをお願いいたします。
「高田中央地区の農地等集団化事業の取り組みについて」を終ります。