「21世紀土地改良区創造運動」について
矢吹土改区
【平成21年11月27日ラジオ放送】
担当者:矢吹土地改良区 吉田 昌照
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、21世紀土地改良区創造運動の取組により”さなえ賞”を受賞した「水土里ネット矢吹(みどりネットやぶき)」矢吹土地改良区職員の吉田昌照さんにお伺いします。
吉田さん、おはようございます。
担当者
おはようございます。
司会者
まずは、受賞おめでとうございます。
担当者
ありがとうございます。
司会者
はじめに、矢吹土地改良区が受賞した「さなえ賞」についてお伺いいたします。
担当者
はい、21世紀土地改良区創造運動は、土地改良区の新たな可能性を地域に働きかけ、地域の人々の中の土地改良区を模索していく活動です。「さなえ賞」は、そういった活動を始めたばかりの、文字通り「さなえ」の活動に対し今後の発展を願い与えられる賞です。
司会者
水土里ネット矢吹では、どのような活動をしたことで「さなえ賞」を受賞したのでしょうか。
担当者
はい、矢吹土地改良区の受益地を流れる幹線用水路の清掃活動に対し「さなえ賞」をいただきました。
司会者
具体的に、「清掃活動」とは、どのような活動なのでしょうか。
担当者
はい、数年前より、この幹線用水路に水草が発生するようになりまして、見た目には2メートルほどの水草が川面をゆらゆらととても風情のある光景なのですが、地元では通水障害の原因となるため、改良区内でその対応を協議しました。結果、地域の役員と職員とで水草を撤去しはじめた活動がはじまりです。
最初のうちは部分発生した水草の撤去ということで、少人数で対応できたのですが、毎年その水草が幹線水路の広域にわたり発生するようになり、最悪、通水不能の状態にまでなりました。役職員だけでの撤去作業では対応しきれなくなり、この幹線用水路の恩恵を受けている農家の皆さんに協力をいただき、水草の撤去を行うこととなったわけです。
司会者
つまり、地域の受益者全体で改良区の施設を清掃したことが受賞の対象となったのですね。
担当者
はい、結果的にそうなりました。
司会者
結果的というのは、どういうことでしょうか。
担当者
実のところ、この清掃をはじめた頃は、21世紀土地改良区創造運動を意識して取り組んだわけでなく、後から創造運動の対象になるらしいとのことで、土地連さんに報告した経過でして、最初からまじめに取り組んでいらっしゃる他の改良区さんには本当に申し訳ないです。結果、「さなえ賞」までいただいたわけですから、単純によろこんでばかりはいられません。今後の活動に対し、もう少しはっきりとしたビジョンを置いて挑んでみたいと思っております。
司会者
はっきりしたビジョンといいますと。
担当者
はい、今までは水草が生えたら撤去する、土手が崩れたから直す、といった対処療法的な活動を改良区では行ってきました。事がおきてから対処するのでは物理的にも精神的にも大変です。できれば、そうならないための、将来をみすえた活動に取り組んでいきたいと思っています。
計画的な施設の補修などや、啓蒙活動などは今までも、又これからも行っていきますが、今回のように、沢山の受益者が忙しい時間をさいて集まり清掃をしても、結果、対処的な活動です。また来年、同じことの繰り返しになってしまいます。どうせ集まるのなら、そうならないための活動を行っていけたらいいのではないかと思います。先の見えない活動を行うわけですから実らない活動も有ると思います。多分、他の改良区の皆さんは、昔からそういった考えで挑んでいるのだと思います。自分自身、職員として10数年勤めて、ようやくその事に気が付かされました。そういった点から、この「さなえ賞」は自分にとって大変意味のある賞だったように思います。
司会者
そういった考えをふまえ、今回の清掃活動などは、今後どのように展開していくのでしょうか。
担当者
平成20年の12月にこの「さなえ賞」をいただきまして、翌年の3月に、水草の発生を抑えるため、水草の根床となる体積土砂の撤去を計画し実施しました。この幹線用水路は冬期間防火用水としても利用されているため、年中通水されています。そのため、地元の非農家の方々の協力もいただき、総勢約120名で、全線の清掃が実現できました。そのかいあって、今年の通水期間の水草の発生は、少量で済みました。今のところ、地域の中の土地改良区とまではいきませんが、そのきっかけにはなったように思います。ただ、沢山の協力をえて実現している活動ですので、地元の方々との作業の時間帯や場所の振り分け等の調整や非農家のみなさんにとってもより具体的な利益がみいだせる活動にすることが、今後の課題となっています。私どもの改良区の理事長も、そういった地域の方々との交流をより一層盛り上げた活動にしていきたいといっております。
司会者
将来をみすえた第一歩といったところでしょうか。
担当者
そうであれば、うれしいです。
農業は、その年その年1年が勝負です。去年と同じ事をして今年も同じ収穫が見込める仕事ではありません。時にはいつもの倍以上の作業をしても半分の成果しかあがらない年もあるでしょう。そういった歴史を背負って農業は今もいきつづけています。
その長い歴史の中には、先ほどの話にもありました将来へのビジョンや土地改良区のあり方のヒントが沢山あるように思います。これからは、そういったヒントを大事に拾い集め、土地改良区の受益という枠の中だけではなく、地域に役立てていけるための勉強をしていきたいと思っております。