「大井塚原営農改善組合」の取り組みについて

【平成22年11月25日ラジオ放送】

担当者:大井塚原営農改選組合 組合長 伊関 茂雄
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝は、「大井塚原営農改善組合」の取り組みについて、組合長の伊関さんにお話を伺います。
はじめに、大井塚原営農改善組合の概要についてお伺いします。

担当者

「大井塚原集落」は福島県浜通りに位置し、南相馬市の南東部に位置しています。平成11年度から「ほ場整備事業」がはじまり、平成22年2月に完了した地域であります。ほ場整備事業を契機に、2集落が一つになり「大井塚原営農改善組合」を設立したのです。組合員数170戸、ほ場面積は142ヘクタールあり、1区画1ヘクタールのほ場が全体の50パーセントになっている当地域もほ場整備をする前から、高齢化等により離農者が増加し遊休地による弊害が問題点になっていました。ほ場整備事業を契機に組合員との協議を重ねた結果「福島県農業振興公社」との「利用権契約」により、集積を容易にし、営農体制の確立に取り組んでいる組合です。

司会者

 「利用権契約」とは、具体的にはどのような事をされたのですか。

担当者

これは、個人の所有農地が点々としている訳ですから個人耕作者が自分の農地を耕作したいと言われると、集積がなかなかうまく出来なくなります。そこで、「所有権と利用権」を分離し、大井・塚原集落の農地(142ヘクタール)を、福島県農業振興公社に貸付け、耕作者(個人・法人)は「希望面積」を借りて耕作する貸借契約を図った。土地を貸し出す農家も、農業振興公社が仲に入っているので「安心」して出せる。又、借りる農家も安心して借りられると言う体制になった。
これも組合員の「ご理解と協力」があって実現したもので、感謝しているところです。
特に、大豆作付け場所(45ヘクタール)は団地化をし、ブロックローティションによる、作付けをしている。ブロックローティションをすることにより、連作を避け大豆特有の連作障害や病虫害発生も防止もできる。(1年毎に変える)

司会者

このような「所有権」と「利用権」を分離することにより、集積はうまくいったのですか。

担当者

皆さんの協力で、142ヘクタールの64パーセント(約91ヘクタール)を集積できた。この集積をした農地を農業法人(株)アグリファームみらいが耕作している。91ヘクタールの作物内訳は、大豆・45ヘクタール(里芋15アール含む)水稲46ヘクタールとなっている。個人耕作者(51ヘクタール)は、一時利用地指定ということで、自分の換地された場所以外で水稲を栽培している。

司会者

2集落で一つの営農改善組合を設立し、今後の組合運営をどのようにされていくのか、又、農業施設の維持管理など農村環境の維持をどのように行っていくのですか。

担当者

組合運営については、先ほども述べましたが、農家の後継者が少なくなったこと、そのため、営農改善組合を設立したのですから、今後も増えると思われる離農者の農地を、正常な農地として管理していくために、重要な役目があるのですから、設立時の考えを忘れることなく、農家と福島県農業振興公社とのパイプ役を担っていかなければならないと考えております。又、農家戸数が減少することにより、農業施設の維持管理が大変難しい状況になって、今までは、農業人足ということで道路の管理、溜池などの施設管理をおこなっていたのですが、離農者は人足にも出れなくなってきている状況ですので、少人数での人足では、無理になってきている。現在は、農地・水環境保全向上対策事業に大井塚原行政区が一っとなり参加しています。「大井塚原環境を守る会」と言う名称で自冶会・農家・非農家・消防団・老人会・子供を守る会など各種団体が参入し活動をしている。営農を通じて、農村環境を守っていくことを根幹にして進めています。「大井塚原環境を守る会」活動を通して、施設の維持管理、又集落内の環境整備をし、より良い農村景観を保ちながら地域農業の発展を目指していきたい。

司会者

このような、営農体制と農村環境整備にと活躍されていますが、今後の問題点などはどのように考えていますか。

担当者

今後の課題としては、主に、農業法人(株)アグリファームみらいの後継者の問題と換価性の高い生産物の販売を目指し経営内容の充実を図ることが出来るかです。今、体制ができたばかりでありますので、試行錯誤でいろいろなことに、取り組んでいるところであります。

司会者

最後に、平成21年度豊かなむらづくり顕彰事業で大井・塚原営農改善組合が表彰されましたが受賞対象となった内容とは、どのようなことですか。

担当者

今、農村の過疎化などが進んでいるなかで、当地区は「ほ場整備事業」を契機とし、大井・塚原両行政区と、営農改善組合が一体となり、営農体制づくりに取り組み農家の抱える問題解決に寄与したこと。また、高齢化、核家族化の進展など集落内の環境が変化していくなかで両集落とも、自治会を中心に、老人会による海水浴場やキャンプ場の管理、婦人会による海水浴場売店運営など、人との交流を図りながら、各組織が環境整備に積極的に取り組み、併せてコミュニティーの場として、活動体制を営農改善組合が、中心となり取り組んだことが認められたものと考えている。今後も、営農改善組合としては、(株)アグリファームみらいを地域営農の軸として、地域の方々との絆を強くし、より良い農村景観及び環境づくりを進めていきたい。

司会者

今後も持続して、地域の効率的かつ安定的な農業経営と農村環境の保全向上に大井・塚原営農改善組合が中心となり、地域の農業振興に寄与していくことをお願いいたします。
「大井・塚原営農改善組合」の取り組みについてを終わります。