「東日本大震災に係る農業農村整備の災害復旧の概要」について

【平成23年7月15日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村計画課 副主査 髙山 伸之介
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、東日本大震災に係る農業農村整備の災害復旧の概要について、県農林水産部農村計画課副主査の髙山伸之介さんにお話しを伺います。
よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

はじめに、農業農村整備事業の持つ役割について教えてください。

担当者

はい。農業農村整備事業は、農業生産にとって重要な農業用水の確保や農地の整備など生産基盤の整備に加えて、農山村に住んでいる方々が、安全で快適な生活を実現するための、生活環境の整備などを行っています。
また、これらの整備を通じて、農業生産性の向上や農村生活環境の改善を図り、食料の安定供給と国土保全、水源のかん養など多面的機能の発揮に寄与しています。

司会者

農業農村整備事業は農業生産性の向上や農村生活環境の改善など、農村地域に必要な様々な事業を行っているのですね。
ところで、東北地方太平洋沖地震の発生により、県内では大変大きな被害を受けましたが、農地や農業用施設についても、かなりの被害があったのではないですか。

担当者

まず、今回の東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被災された県民の皆様にお見舞い申し上げたいと思います。
東北太平洋沖地震による県内の農地と農業用施設の被害は、原発20キロメートル圏外で確認できているものが約4,300箇所で約2,300億円にのぼっています。中でも、沿岸部の農地の津波被害が約5,500ヘクタール、ため池の被災が県内ため池の約20パーセント、浜通り地方の排水機場及び海岸は整備済の90パーセント以上、須賀川市を中心とした集落排水施設の被害が95箇所と各施設とも極めて甚大な被害となっています。

司会者

大変な被害が生じていることがわかりますが、これまでの災害と比べてどの程度の規模なのでしょうか。

担当者

災害の規模としては、これまで最大の被害が発生した平成10年の豪雨災害の約15倍の規模となっています。

司会者

お話を伺って、今回の災害が本当に大きなものであることがわかりました。
それで、これだけの大きな被害のあった農地や農業用施設については、どのように復旧していくのでしょうか。

担当者

まずは、住民生活の安全確保や二次災害発生の恐れがある施設等を対象として、緊急に対応する必要があった集落排水施設、用水施設、排水機場、海岸堤防等については、応急的な工事を既に実施しています。
その他の被害のあった施設に関しては、5月17日から順次、国の災害査定を受けており、決定したものからできる限り早期に復旧工事を進めることとしております。
復旧工事に関しては、施設によって単年度で工事が終わるものから、規模の大きなものは完成するまで3年程度の年月を要するものまであります。
農家の皆様が、1日も早く安心して営農ができる環境となるように、速やかな復旧を進めていきたいと考えております。
また、津波被害を受けられた地域に関しては、今後、市町村や地元の皆様の地域全体の復興計画に関する意向を踏まえながら復旧を進めていく考えであります。

司会者

今お話しを伺いました災害復旧事業を実施するためには、かなりの金額が必要となってくると思いますが、その予算は確保されたのでしょうか。

担当者

はい。5月の臨時県議会においては、緊急的に応急対策工事に必要な経費と早期の災害査定に対応するために必要な予算として、約10億円の予算を確保しております。
また、6月の定例県議会においては、原発20キロメートル圏内の警戒区域を除く地域の災害復旧事業に要する経費と今回の地震を受けて、農業用のダムやため池の耐震性を検証するための経費として、約230億の補正予算を確保したところであります。
警戒区域内の災害に関しては、今後の原発の情勢を見据えながら確認し、補正予算を計上していきたいと考えております。

司会者

施設の復旧に向けて、これからがより一層大変になるかと思いますが、福島県の農業が元気になるように、頑張っていただきたいと思います。
最後に、県としての農業農村整備事業を今後どのように進めていくのか、考え方を教えていただけないでしょうか。

担当者

はい、まず第一に、被災された農家の皆様が早期に営農再開できるように、今回の東日本大震災により被害を受けた農地・農業用施設等の復旧を最優先に進めていきたいと思います。
次に、今回の地震による施設の被害状況を踏まえて、ため池等の既存の施設について、老朽化等による危険度の高い施設から、重点的に防災対策を進めます。
また、これまでも推進してきた、農業の持続的発展と生産性の高い農業経営の確立を図るための、農用地の利用集積や担い手の確保と一体となったほ場整備と基幹的な農業水利施設の長寿命化や耐震性向上に対する取組等については、引き続き重点的に取り組んでいきたいと考えています。
農家の皆様が意欲とやりがいを持って営農できる環境を整えるため、できる限りの支援をしてまいりたいと思います。

司会者

ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、東日本大震災に係る農業農村整備の災害復旧の概要について、県農林水産部農村計画課副主査の髙山伸之介さんにお話しを伺いました。