「東日本大震災による農業集落排水施設の災害復旧」について
【平成23年8月30日ラジオ放送】
担当者:福島県土地改良事業団体連合会 農村振興部 次長 諸隈 敏郎
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「農家の皆さんへ」は土地連便りといたしまして、「東日本大震災による農業集落排水施設の災害復旧について」お話を伺います。
お話は、福島県土地改良事業団体連合会 農村振興部 環境整備担当次長 諸隈 敏郎さんに伺います。
諸隈さん、おはようございます。
担当者
おはようございます。
司会者
はじめにこのたびの本年3月11日に発生した東日本大震災での福島県での農地・農業用施設関係の被害状況をおたずねします。
担当者
ご承知のとおり未曾有の大災害となりまして、農地・農業用施設につきましては、ため池等を始め、被災箇所5,637箇所、被災総額2,355億円と膨大な被災を被りました。
司会者
大変な被災ですね。その内の農業集落排水施設の被災につきましてお聞かせください。
担当者
本県の農業集落排水施設では、被災26市町村、被災箇所101地区、被害総額224億円と聞いております。農地・農業用施設被災の約1割に当たります。
県内で203地区供用稼働しておりますので、その半分が何らかの被災を受けました。
司会者
県内26市町村で被害があったそうですが、被害の大きな地域をおたずねします。
担当者
はい。主に中通り、浜通りでは一円に及んでおります。地震のみに起因する地域としましては、中通りの県中、県南管内で、特に甚大な被害となっています。
会津方部、浜通り内陸部は一部地区の被害に留まっております。
浜通り沿岸部は津波被害によるもので、施設の冠水・流失等はご承知のとおりです。
司会者
大変な被害ですね。
農業集落排水施設は、農村の生活排水の処理を担う重要な施設ですから、これは一刻も早い復旧が望まれますね。
担当者
はい。
司会者
ところで、農業集落排水施設の被災状況をお聞かせ頂けますか。
担当者
はい。農業集落排水施設は、農家の皆様のご家庭からの生活排水を処理施設まで流送する管路施設とその汚水を浄化するための汚水処理施設に分けられます。
このたびの震災で、最も被害の大きな施設は管路施設でして、マンホールの浮上や地中に埋設してございます汚水配管の蛇行、たるみ等によりまして、汚水が流れなくなっている箇所が多数発生致しました。原因の多くは強い揺れによる管路配管施設掘削埋め戻し部の液状化と思われます。
汚水処理施設におきましては、浜通りで津波の被害を受けました地域は甚大ですが、他の地域では幸いにも被害は比較的軽微です。
処理施設本体では、装置機械関係のずれ程度でしたので、日常の管理の中でほぼ対応出来る範囲で済みました。構造躯体関係の被害は、幸いにも聞いておりません。
施設用地の外構関係で、舗装の亀裂や沈下等の被害を受けました施設がございます。
司会者
次に、このたびの被害の主体となっている管路施設につきまして、その被災状況の診断方法をお聞かせください。
担当者
まず、各マンホールの浮上状況と内部での汚水の溜水深を測定し、管路が逆勾配になっていないか確認します。またマンホール本体が被災していないか確認します。
次に、汚水が滞留している箇所の汚水を引き抜き、マンホール区間毎にライトをあて、管路が健全であるか確認します。また、不通区間では、必要に応じ、テレビカメラを走行させ、管内状況を記録・診断しまして、被災区間や状況を特定します。
司会者
診断するだけでも結構大変ですね。
担当者
はい。管路施設は大概道路内ですし、地中構造物の調査ですので相応の調査人員や機材が必要となります。
またカメラ診断の場合は、カメラ機材の他、管路内の状況を記録する診断車、管路施設にカメラを通す前に洗浄するための高圧洗浄車・給水車等を配置するなど結構大掛かりとなります。調査診断費用も相当な金額と聞いております。
司会者
最後に、農業集落排水施設の災害復旧の進捗状況をお聞かせください。
担当者
はい。農業集落排水施設の災害査定は6月6日の2次査定から始まりまして、8月いっぱいで約80箇所終了しております。
査定の完了致しました箇所から、関係各市町村では早速実施に向け、準備されているところと思います。
被害区間によっては仮配管等の応急工事で当面の対応をしているところもございます。震災から既に5ヶ月以上経過しておりますし、地域の皆様の生活に密接な施設でございますので、復旧に向け、関係者一丸となってがんばっております。
更に、平成23年7月新潟・福島豪雨災害により会津・南会津地方の農業集落排水施設も甚大な被害を受けております。こちらの復旧も急がれるところです。
司会者
どうもありがとうございました。
地域の皆様のご不便は、相当なこととお察しします。
農業集落排水施設を管理されている各市町村の方々、関係の方々は、道路復旧と併せて、本格的な復旧に向け、大変なご苦労をされているところですが、地域の皆様には、もうしばらくお待ち頂きたいと思います。
今朝の「農家の皆さんへ」は「東日本大震災による農業集落排水施設の災害復旧について」
お話は、福島県土地改良事業団体連合会の 諸隈 敏郎さんに伺いました。
諸隈さん、どうもありがとうございました。
担当者
どうもありがとうございました。今後とも、私ども福島県土地改良事業団体連合会を、一層ご支援くださいますようよろしくお願いします。