「東日本大震災で被災した農業集落排水施設の災害復旧」について

【平成23年9月28日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村基盤整備課 副主査 石本 敏樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、東日本大震災で被災した農業集落排水施設の災害復旧について、県農林水産部 農村基盤整備課 副主査 石本敏樹さんにお話しを伺います。
よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

はじめに、農業集落排水施設の持つ役割について教えてください。

担当者

はい。
農業集落排水施設は、農業集落におけるし尿、生活雑排水などの汚水を処理することで、農業用用排水の水質保全、農村の生活環境の改善を図り、河川や湖沼等の公共用水域の水質を保全する役割を担っています。

司会者

農村地域における下水道処理施設ということでしょうか。

担当者

おっしゃるとおりです。
県では平成22年に「ふくしまの美しい水環境整備構想」を策定し、公共下水道、農業集落排水施設、合併浄化槽等で役割分担を定め、県内の水環境の向上に努めているところです。
特に農村地域では、家庭から排出される生活雑排水が農業用水路等に流れ込み、水質汚濁による農作物の栽培や集落の生活環境への悪影響が生じているため、農業集落排水施設はこのような問題の解消においても重要な役割を担っております。

司会者

農村地域の水質保全や生活環境の改善に役立っているのですね。
ところで、東日本大震災では農地や農業用施設でもかなりの被害が報告されていますが、農業集落排水施設の被害はどのような状況ですか。

担当者

はい。
県内で供用を開始している施設が203処理区ありますが、そのうちの約半数に当たる101処理区で被害が確認されています。
特に、相馬地方では津波により4つの処理場が水没する被害が生じました。
また、震度6強を観測した須賀川市、白河市を中心に、マンホールの浮き上がりや管路上部の道路舗装面に沈下が発生し、トイレ等の生活排水への影響だけではなく、道路交通への影響も生じました。
被害額は県内全域で223億円にのぼっています。

司会者

マンホールの浮き上がりや路面陥没の被災は視覚的にもインパクトがあり、被害の大きさを象徴しているように感じましたが、これはどうのような現象なのでしょうか。

担当者

液状化という言葉をよく耳にされていると思いますが、今回の地震の振動でもまさに液状化が発生し、マンホールや管路周りの砂が過剰な圧密を受けたことが原因であると考えています。特にマンホールでは成人男性の背丈ほども飛び出した箇所があり、おっしゃる通り地震規模の大きさを象徴している被害だと思います。

司会者

これだけの大きな被害のあった農業集落排水施設の復旧は相当な時間がかかると思うのですが、どのようなスケジュールで進めていくのでしょうか。

担当者

農業集落排水施設は、地域住民の方々の生活にとって必要不可欠な施設であることから、優先的に復旧工事に取組むこととしております。
まず、地震直後には、汚水が流れなくなっている管路や交通の障害となっている突出したマンホール等を対象に応急工事を実施しました。
それから、本復旧に向けて6月6日より順次、国の災害査定を受けており、9月5日の須賀川市の査定をもちまして、相双管内を除き全て終了しております。復旧工事は被災規模により2年程度を要する箇所もありますが、出来るだけ早期復旧を目指して取り組むこととしております。

司会者

今後、大きな余震が懸念されるところですが、液状化への対策はどのようにお考えでしょうか。

担当者

はい。新潟県柏崎市で平成16年の中越地震で同様に甚大な被害が生じましたが、復旧時に液状化対策を行った箇所は平成19年の中越沖地震において殆ど被災を受けていないことから、この例を参考に対策を講じることとしております。また、9月12日には柏崎市から職員を講師としてお招きし、県内の市町村担当者を対象に復旧へ向けた検討会を開催するなど、円滑な進捗へ向けた調整を行っているところです。

司会者

最後に今後の課題などがあればお聞かせください。

担当者

はい。
皆さんも報道等でご存知かと思いますが、福島第一原子力発電所事故に係る原子力災害により、農業集落排水施設に限らず県内の下水処理場から発生する汚泥の処分が滞っている状況です。処分先の選定という非常に難しい問題を抱えておりますが、下水施設は周辺環境にある放射性物質を集約して隔離してくれる施設でもあるということをご理解いただき、この課題が早期に改善されるよう関係機関と協力して取り組んでいきたいと考えています。
また、7月末の新潟・福島豪雨災害により只見町の3処理区においても処理場の水没、管路の流失等の被害が発生しており、現在は応急的な電源の復旧や仮設の浄化槽により対応している状況です。
これらの地区につきましても、10月には国の災害査定を受け早急に復旧を進める予定です。

司会者

ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、東日本大震災で被災した農業集落排水施設の災害復旧について、県農林水産部 農村基盤整備課 副主査の石本敏樹さんにお話を伺いました。