土地改良区会計検査指導基準等の制定について
【平成23年10月29日ラジオ放送】
担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部総務課 主任主査 斎藤 佳久
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「農家の皆さんへ」は土地連だよりといたしまして、「土地改良区会計検査指導基準等の制定について」お話をお伺いします。
お話は、福島県土地改良事業団体連合会 総務課 主任主査 斎藤佳久さんに伺います。斎藤さんおはようございます。
担当者
おはようございます。
司会者
はじめに土地改良区会計検査指導基準と会計基準について教えて下さい。
担当者
はい、土地改良区会計検査指導基準とは、土地改良法第10条に基づき設立された土地改良区の健全な運営に資することを目的として、国が検査 及び指導する基準であり、この基準に基づき土地改良区が作成する財務に関する帳簿等、つまり、収支予算書、収支決算書、財産目録及び事業報告書の様式例及 び記載の留意点を示したのが土地改良区会計基準です。
司会者
どうして今回、制定されたのか、その経過を教えて下さい。
担当者
はい、当基準の根幹となる土地改良法が昭和24年6月に制定され、その翌年、昭和25年6月に当時の農林省農地局長通知として、「土地改良 区及び土地改良区連合の収支予算等の様式について」定められました。更に、昭和29年には同じく農林省農地局長通知として「土地改良区の会計について」と して、現在まで使用している「会計細則例」などが定められました。
これらの基準は、単式簿記方式による会計処理を前提としたものであり、近年の公会計における動向として、国民等の利害関係者に対する説明責任を果たす観点から、発生主義及び複式簿記の考え方を取り入れる方向にあることなどを踏まえて、制定に向けて検討されて参りました。
検討に当たっては、平成18年に土地改良制度検討会報告において、複式簿記方式の導入が提言されたことにより、同年度から公認会計士、都道府県、土地改 良区、土地改良事業団体連合会及び農林水産省の役職員を構成員とする「土地改良区会計制度検討会」を発足し、土地改良区の性格に適応した複式簿記方式によ る会計処理の方法の検討が進められ、平成20年にはその会計処理の基準案が策定されました。
その後、農林水産省において、国として土地改良区に示す会計基準を策定するため、平成20年度から公認会計士、県、土地改良団体等の有識者により構成さ れた「土地改良区会計検査指導基準検討会」を発足し、全国土地改良事業団体連合会の基準案を検証しつつ、全国の土地改良区の実態を踏まえた検討を行うとと もに、土地改良法における土地改良区の性格、土地改良事業の仕組み、土地改良区の事業実績、会計状況を踏まえ、土地改良区の財政状況をより一層明らかにす ることを目的とし、また、基準の実施及び指導に当たっては、これまでの指導方針及び会計処理の継続性を確保することに努め、従来の会計処理方法並びに計算 書類の作成方法を考慮しながら、土地改良区がスムーズに移行することが可能となるよう検討し、平成23年4月1日付けで新たな土地改良区会計検査指導基準 が制定されたところであります。
司会者
長い期間、検討されてきたのですね。
お話の中で複式簿記方式とありましたが、この複式簿記にすることによって単式簿記の欠点がどの程度解消することができるのですか。
担当者
はい、複式簿記にすると大きく分けて3つの内容が解消されます。
一つ目は、現金以外の財産や負債の変動が統一の基準により記録され、これらの残高が基準日時点でどの程度あるのか把握できるようになります。
二つ目は、会計処理事務と財産管理に関する事務とがいままで分断されていることから発生していた、記帳のミスが解消されます。
従来は取引を一つの勘定科目にしぼり記帳、整理する単式簿記のため、財産管理は財産管理関係帳簿で取りまとめ、その支払いが発生した場合には、資金関係 の帳簿に記帳しておりましたが、複式簿記では、この二つの書面が表裏一体となって取引状況を表すので、一括して記帳・転記することとなり、記帳日や金額の 転記ミスが無くなります。
三つ目は、頭首工や水路などの土地改良施設を減価償却することによって不明だった改修コストが容易に把握できるようになります。
この把握によって、受益者から徴収する賦課基準の算定根拠として、数年後の改修で必要となる資金がいくら必要であるかを説明できるとともに、単年度に資金調達ができないことを考えれば事前に積立てる必要性を容易に説明できるようになります。
司会者
そうですか、複式簿記にすることで土地改良区が受益者などへ説明が容易にできることが分かりました。
最後に県内の土地改良区で複式簿記を導入しているところはありますか。
担当者
いえ、現在のところ検討頂いている状況なので、導入されている土地改良区はありません。また、全国の土地改良区でも導入しているのは数件であり、東北では導入している土地改良区はありません。
そのため、東北管内における先進事例地区として、導入先を東北農政局において検討している状況です。当会としても、県内多くの土地改良区が、簡単に複式簿記を導入できるよう支援・協力していきたいと思っております。
司会者
どうもありがとうございました。今朝の「農家の皆さんへ」は「土地改良区会計検査指導基準等の制定について」お話は、福島県土地改良事業団体連合会総務課の斎藤佳久さんに伺いました。
斎藤さん どうもありがとうございました。
担当者
どうもありがとうございました。