長坂ふるさと資源保存会の取り組みについて

【平成24年2月23日ラジオ放送】

担当者:長坂ふるさと資源保存会 会長 黒沢 孝
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「長坂ふるさと資源保存会の取り組みについて」お話しをうかがいたいと思います。お話しは、長坂ふるさと資源保存会 会長 黒沢 孝さんです。
初めに、長坂地区の概況についてお話をいただけますか。

担当者

長坂地区は、猪苗代町より裏磐梯・米沢方面に通ずる国道459号線沿いにあって、猪苗代町中心街より約6キロメートル北方に位置しています。
集落は山林に囲まれ、耕地27.0ヘクタールが展開する環境に恵まれた山間地にあります。また、当地区は磐梯山からの湧水も豊富で、裏磐梯にある桧原湖、小野川湖、秋元湖から流れる長瀬川を水源としたかんがい用水を取水し、また当地域を猪苗代町の水田にかんがいする用水路が流れています。

司会者

どういった経緯で本地区においての活動がはじまったのですか。

担当者

はい。長坂地区にあっては、明治21年磐梯山大噴火により、一瞬にして荒廃の地と化し80有余名の犠牲者を出しましたが、残された集落民が一致協力し亙いに協力し合い、先人達の努力によって今日の集落が形成されました。
長坂地区も他の地域と同様に農家の後継者不足や高齢化が進行しています。また、田んぼの面積も大きいもので5アール程度でした。
このような状況で農業だけでは生活が成り立たず、若者は他産業に就労し、日中は、高齢者と猿しかいないような集落でした。
このような中、平成15年に高齢者だけでは、農業ができない。先人達が守ってきた農地が荒廃していく。こんな状態でいいのか。個々で経営しても1戸当たりの経営面積が小さい。勤めに出ている若者たちも自分達の代で農業を絶やしていいのか。などの問題をみんなで考えるようになってきました。
平成17年には、以上の問題を解決するために、県営ほ場整備に着手しました。
その際にも若者たちとも話し合いをし、ほ場整備した後に個人個人に田んぼを分け与えて営農していては、以前と同様になってしまのではないのかとの思いから1集落1農場を目指すこととしました。
おかげさまで、平成22年度に工事が完了し換地も終了しました。
現在、農業生産法人のニューわくわくファームにおいて4名の方が集落の全耕地を引き受けて営農を行っています。
また、ほ場整備をするにあたって地区の中を通る大排水路については、既製品を使えば簡単ですが地区内には、磐梯山の噴火で自然石がたくさんあったことから、県の進めもあり、昔あそこの水路で魚とりをした、ほたるを追いかけた そういった水路をもう一度つくり直してみようということで自然石を使った渓流水路としました。
田んぼの中を通る用水路については、既製品をいれましたが、大排水路については、800メートルぐらいありますが、自然石を利用した渓流水路としました。
その水路を主として、平成19年から「農地・水・環境保全向上対策」に着手し、昔の小川をみんなでつくっていこうという考えになりました。
本地区は、裏磐梯からの3湖から流れている水をかんがい用水としていることから、きれいな水に恵まれているので、渓流水路には、水生生物の保護や「ほたる」の増殖をとのおもいから、溝畔への花木の植栽を行うなど地区民全員での水資源の保全に努めています。

司会者

取り組みの経緯はよくわかりました。活動内容をお話ししていただけますか。

担当者

まず、雪が消えますと役員により施設の点検を行います。かんがいが始まる前に水路の泥上げ等を組織全員で行います。
7月上旬には、水路・農道の草苅を行います。これらの活動を、これからの若者に継承し、植え付けていこうではないかという考えで行っています。
そういったことから、夏休みになりますと地区の子ども達、老人クラブなどが集まって水路の清掃をしたり、水生生物の調査をしたり、魚つかみ大会をしたり、渓流水路を利用した水質保全の勉強と意識高揚を図っています。最近は、バーべーキュー大会などをしています。
12月になりますと、1年間の活動の反省会として、名称は交流会といいますが、参加していただいた子ども達にこれからの自分達のむらづくりや水の大切さを作文、または絵画として発表してもらいます。その中で集落全員が集まって審査を行いコンクール表彰をしています。
さらに水の大切さについての講演だけでなく、子ども達に飽きられないよう「民話」「星座の話し」をしたりして地区民の交流を図っています。

司会者

活動についての思いは何かありますか。

担当者

はい。先ほど申しました様に、ほ場整備をきっかけに1集落1農場を目指して、農業生産法人「ニューわくわくファーム」を設立し、4名の方に営農をお願いしています。しかしながら、4名ですべての作業を行うわけにはいきません。たとえば、集落みんなが、種まきの場合は何人お願いする田植の場合は全員出てきてもらうなどの人とのつながり・交流・協力が、先人達が培ってきた長坂の文化であり、継承すべきものであることを、常日頃から話し合いをしながら、植え付けながら今日まできています。
今後、子どもたちがこの地を離れることがあっても、あそこで魚つりをした、あそこでホタルを追いかけたと言えるようない一つのむらづくりをするような働きかけを行っています。
ただ、一つだけ自慢できることは、みんなが協力しあい、みんなで取り組んでいく、そういった気持ちにみんながなってきたことです。これからは、一集落一農場ではなく、一集落一家族の思いでこれからも取り組んでいきたい。そんな思いでいっぱいです。

司会者

活動にたいしての会長さんの思いは十分伝わりました。最後に何かございますか。

担当者

「美しい村など、はじめからあった訳ではない。美しく生きようとする村人がいて、村は美しくなったのである。」これが原点だと思います。とにかく、人があって、人がお互い協力しあってやっていくことが大事だと思います。

司会者

今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「長坂ふるさと資源保存会の取り組みについて」お話しを伺いました。