「経営体育成促進換地等調整事業」について

【平成25年3月30日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 農村振興部 換地課 課長 阿部 恒男
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「経営体育成促進換地等調整事業の概要」についてご紹介します。
お話は、水土里ネット福島農村振興部換地課長の阿部恒男さんにお伺いします。
まず、はじめに事業の概要について、お尋ねしたいと思います。

担当者

平成25年度には、経営体育成基盤整備事業として会津若松市の門田第4地区(59.9ヘクタール)が新規採択となり、事業がスタートする予定になっております。
また、東日本大震災において発生した津波により、被災しました浜通りの各市町村の中で、警戒区域を除く、いわき市、相馬市、南相馬市、相馬郡新地町において、災害復興関連区画整理事業として、調査・計画が進められており、新年度早々の工事着工を目指しております。

司会者

経営体育成基盤整備事業とは、どんな事業ですか。

担当者

経営体育成基盤整備事業とは、区画の整理及び農道や水路の整備を行って、農作業をし易くすること、併せて農業の担い手を決め、この担い手に農地を貸したり、農作業を頼んだりすることにより、担い手の農業経営規模を拡大し、地域の農業を守ってもらうことを目的としています。

司会者

事業を実施するにあたり、必要な要件は何ですか。

担当者

事業を実施するために、採択要件として必要なポイントは、3つあります。
まず、1つめのポイントは、地区の受益面積が20ヘクタール以上、または2種類以上の工事、例えば水路整備と客土の工事を20ヘクタール以上行うことなどです。
2つめのポイントは、先ほど申し上げました、担い手への農地集積になります。
現在の認定農業者や、事業完了時までに認定農業者になろうとする人などの、経営規模の拡大を図るために、担い手へ貸す、または売る、農作業の耕起、代かき、田植え、刈り取りなどを頼むことによって、事業完了時までに、受益面積に占める担い手の経営面積を、3割以上、増加させることです。
3つめのポイントは、認定農業者の育成になります。事業実施地区において、認定農業者を事業実施前より、3割以上増やすことです。例えば、認定農業者が2人いる地区においては、3人以上に増やします。

司会者

事業を実施するために、事業区域を決めたり、農業の担い手を決めなければなりませんね。

担当者

そういった事業の事前説明会や、合意形成を図る事業が、経営体育成促進換地等調整事業と言います。
経営体育成促進換地等調整事業は、基盤整備事業の実施を契機とし、地域の望ましい農用地の利用を確立していくために、農用地の集団化を図るとともに、育成すべき担い手への利用権、及び農作業の受委託を推進することが、必要となっております。事業採択前に、地区における農用地の利用状況、関係農家の意向等を十分に把握して、基盤整備事業実施後の農用地利用の環境を、地区の関係農家の意向を踏まえ、合意形成を得て、担い手等への農用地の利用集積を推進する事業であります。
事業推進するにあたり、心がけている事があります。
1つ 「コミュニケーション」を大切に
2つ コンプライアンス(法令遵守)
3つ 「集落再生」に向けて取り組む、事を心がけております。
また、換地業務の項目には、換地計画原案作成という業務があります。これは、農家の工事前の土地を、工事予定後の土地に位置付けする事ですが、この作業を、換地配分といいます。個々の農家間に、利害関係が発生するため、位置の問題、地積の増減等で度々、農家より異議、苦情の申立があります。

司会者

農家から、換地配分に関しての異議、苦情はどのような方法で対処しているのですか。

担当者

換地配分は、相互の信頼関係によって成り立つものですから、十分な説明が必要です。誠意と熱意をもって調整を行い、説明については、地区の役員さん達を中心にお願いしています。
説明の注意点は、(1)申立者と共通の認識に立つ。(2)一致する点と対立する点を明確にする。(3)あせらず、根気よく、段階的に進める。(4)「法規」など形式的な発言は慎む。(5)誠意と熱意を持って話し合う。(6)申立者の感情の動きに注意して、言葉遣いに気をつける。(7)結論を押しつけない。など。
私たちを含めた関係機関、地区の役員さんと農家の方が、十分に話し合いをして、解決を図っています。
換地配分の心得を、川柳で表現したものがありますので、ご紹介します。
欲に目が 眩んだ途端 鬼となり
我がままが 通らぬ換地に 腹をたて
親戚の 換地配慮が 仇となり
意地と欲 突っ張る前の 話し合い
譲り合う 心の換地 花と咲き
以上です。

司会者

地域の合意形成を図るためには、どのようなことをするのですか。

担当者

換地配分の方針、手順等を示した換地設計基準、地域営農構想、経営体育成方針、農地集団化の必要性、農用地利用集積の促進等について集落座談会、説明会等あらゆる機会を活用して、関係農家に啓発を図り、合意形成を促進しています。

司会者

今後、経営体育成促進換地等調整事業は、どのような展開になるでしょうか。

担当者

現在、事業採択後に実施される経営体育成基盤整備事業では、区画整理及び関連する施設の更新、機能向上整備、用排水施設、農道整備、換地業務、担い手育成、担い手への農地集積を一体的に推進しています。今後は、深刻化する担い手不足、耕作放棄地の増加等を踏まえ、関係機関と連携して、集落営農の推進を目指す方向にあります。
そこで、事業採択前に実施される経営体育成促進換地等調整事業が、重要になって来ます。農用地の集団化と併せて、換地と利用権設定の一体的推進、担い手農家への農用地の利用集積、及び土地利用の合理化を促進するため、以下のような調査項目があります。
(1)地区内農地等状況調査、(2)合意形成促進、(3)関係農家へのアンケ-ト、(4)集落営農区域のゾーン設定、(5)地域営農構想、(6)経営体育成方針、(7)非農用地換地関係調整、(8)換地設計基準等の調査項目があります。
これらの、調査項目を地区に反映し、今後、事業実施地区における農用地の集団化、農業構造の改善、及び土地利用の合理化に資することを目的とし、地区の生産基盤の整備と、集落営農への取り組みに、関係機関と連携して、推進していきたいと思います。

司会者

今朝の土地連だよりは、経営体育成促進換地等調整事業について、水土里ネット福島の 阿部さんにお話を伺いました。