「ふくしま 水土里の防災アップ運動」について
【平成25年4月26日ラジオ放送】
担当者:福島県農林水産部 農地管理課 技師 菱沼 勇介
司会者:RFCアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝は、「ふくしま 水土里の防災力アップ運動」について、福島県農林水産部 農地管理課 菱沼 勇介さんにお話しを伺います。
よろしくお願いします。
担当者
おはようございます。菱沼です。よろしくお願いします。
司会者
東日本大震災では、県内の農村地域で大きな被害が発生しましたね。
担当者
はい。大震災での農地や農業用施設の被害は、約2,300億円に達しました。
司会者
その中には決壊した農業用のため池もありましたね。
担当者
はい。県内には約3,700か所のため池があります。
その中の約2割のため池で、被害が発生し、中でも極めてまれなケースではありますが、地震により大きく壊れ、決壊したものが、県内に3か所あります。
ため池が決壊すると、人命や財産を奪う大変な事態になるということは記憶に新しいところです。
司会者
このような被害を受けて、これまで以上にしっかりと災害に備えていく必要があると思いますが。
担当者
はい。県としては、これまで以上に施設の管理を徹底して、老朽化などにしっかり対応していきます。
ため池についても、調査を行い、地震に耐えるよう必要な対策を取っていきます。
司会者
なるほど。ただ、今回の大震災では「想定外」という言葉が聞かれますが、これまでと同じ取り組みで十分なのでしょうか。
担当者
私たちは、今回、大きな教訓を得ました。それは、想定した災害に備える「防災」だけではなく、想定外の災害でも少しでも被害を減らす、つまり「減災」の取り組みが必要であるということです。
そこで「ふくしま 水土里の防災力アップ運動」をスタートすることにしました。
新たな時代に対応した地域防災力の向上を目指す福島県独自の取組みです。
司会者
そうですね。想定外への備えは重要ですよね。
では、「ふくしま 水土里の防災力アップ運動」の主役となるのは誰ですか。
担当者
この運動の主役は地域の皆さんです。
もちろん、県はこれまで以上に、積極的にため池の整備などを進めていきますが、想定外の災害が発生したときに一番大事なものは、地域の、そして皆さん一人一人の力となります。「自分の身は自分で守る」という考えのもと、自ら防災力を高め、地域防災体制を整えて頂くことが、災害に強い農村づくりだと考えています。
司会者
行政だけでなく、自分たちもやるという意識が大切なのですね。
具体的にはどのようなことをしたらいいのですか。
担当者
取組みのひとつがハザードマップの作成です。
ため池が決壊した場合の万が一のことを想定して、どこに連絡するか、どこが安全なのか、そこまでどう逃げるかを地域の皆さんで話し合っていただきたいと思います。
司会者
確かに大震災の時には、どれだけ備える意識があったかによって大きな差が出ましたね。
火山が噴火したときとか、川が氾濫したときとかの行政が作ったハザードマップがありますが、そういうものを作るということですか。
担当者
この運動では、もっと身近な部分で、自分はどうしたらいいか、というハザードマップを作っていただきたいと思います。
司会者
あの時、私もどうしたらいいか分からず、ただあわてるばかりでした。
携帯電話もつながらず、とても不安だったことを覚えています。
ハザードマップを作るというのは、地域の人だけでできることなのでしょうか。
担当者
県や市町村は積極的に地域で取り組むハザードマップ作りの支援に当たりますし、話し合いに必要な地図も提供します。
司会者
ため池だけのハザードマップを作るのですか。
担当者
もちろんため池だけで充分とは思っていません。
話し合いのきっかけとしてため池のハザードマップを作成し、さらに地区全体へと発展していただければと思います。
司会者
防災対策に対して絶対ということはないので、少しでも被害を少なくする取り組みが重要なのですね。最後に何かございますか。
担当者
大震災を経験した福島県としては、この経験を教訓に災害に強い農村を創っていく必要があります。しかしこれは、一朝一夕に創れるものでもありません。
地域の皆さんの力を結集して、自ら防災力を高め、地域防災体制の構築を図って頂くことが必要だと考えます。この運動にぜひ参加し、一歩踏み出して頂ければと思います。
司会者
ありがとうございました。
災害に強い地域を作っていくために、私もこの運動に参加してみたいと思いました。
今朝は「ふくしま 水土里の防災力アップ運動」について、福島県農林水産部 農地管理課 菱沼 勇介さんにお話しを伺いました。