「農業生産法人 稲田アグリサービスと株式会社 ジェイラップにおける連携活動」について

【平成26年2月27日ラジオ放送】

担当者:株式会社ジェイラップ 代表取締役 伊藤 俊彦
司会者:RFCアナウンサー

司会者

 はじめに、活動拠点とする稲田地区の紹介をお願いします。

担当者

須賀川市稲田地区は、須賀川インタ-から118号線を西に5分も走れば地区内に、10分走れば私たちの拠点施設に到着します。東北新幹線が稲田地区内を東西に分けるように南北に貫き、西に那須連峰、東に阿武隈山系を臨む、安積平野の南方に位置する標高250メートル程の平坦で穏かな農村地帯です。

司会者

 設立に至る経緯をお聞かせください。

担当者

平成に入って間もなく農産物輸入の波は米にまで迫り、食糧法や農業基本法の改正などを経て、農業を取り巻く環境が一気に競争原理導入の方向へと舵を切り始めた時期の設立でした。
私たちは、近未来の米価下落を予測し、稲作を中心とする営農体制から露地野菜や施設園芸を核とする経営への転換の急進を目指していました。その一方で、ブランド米の育成と稲作経営の効率化体制も構築しようとしていました。この二つの目的を両立するための手段として、地域の若手雄志8名で平成5年に農業生産法人稲田アグリサ-ビスを設立しました。
平成7年には、参画農家が生産する有機栽培や特別栽培といった特色ある米や青果物の流通販売機能として株式会社ジェイラップを設立し、生産企画から流通企画まで、自らが生産した農産物を自らが販売する体制を整えました。

司会者

法人の概況を教えてください。

担当者

先ず農業生産法人ですが、150ヘクタール処理規模の太陽熱乾燥システムを主体機能とするライスセンタ-・乾燥した米を籾付きのまま保管できる150トン容量の籾貯蔵タンク3基・1時間あたり最大400枚処理能力の水稲播種センタ-・800トン程度の有機質素材を保管調整できる堆肥センタ-・農機具および生産資材格納庫などの施設があります。
農業機械の保有については受託作業メニュ-に対応するため、コンバイン・田植え機・紙マルチ対応田植え機・大型トラクタ-・ユニック車・機械車両搭載車・小型バックホ-なども配備しているほか、大型除草機・ビークル肥料散布機・スト-ンクラッシャ-・レ-ザ-レベラ-などの各種アタッチメントを保有し、圃場の効率的な生産環境整備を具現化しています。
農地管理機器に関する設備投資の一元化を図り、参画農家の生産コストの低減と作業の効率化を図りながら、2011年からは原子力災害によって汚染されてしまった水田を中心に、これらの機器を活用して「農地除染作業」にも積極的に取り組んでいます。
次に販売会社ですが、精米工場、低温倉庫、常温倉庫、農産加工施設、青果物集出荷施設、予冷庫、テストキッチン、研修室、放射能検査室、米質検査室、生産履歴管理室の他、各種車両を駆使して多角的な事業展開を図っています。
北関東や関西・九州など全国数カ所に営業拠点を持って、幅広い情報収集と売買関係の効率化も図っています。
農業生産法人と販売会社は別法人ですが同一敷地内に在って、あらゆる可能性を視野に、連携の取れた効率的な組織活動の展開を目指し続けているところです。

司会者

業績について教えてください。

担当者

25年度の実績を基に、農業生産法人・販売会社全体で照会させていただきます。
温湯浸法による種モミ処理、播種作業、育苗、田植え、肥料散布、稲刈り乾燥調製、水田除染作業、精米販売、玄米販売、特定米穀販売などの事業のほか、青果物・農産加工品などの販売額を併せますと年商20億円程になっています。

司会者

最後に、今後の活動について、お話ください。

担当者

大震災と原子力災害前期に比較してまだ5億円近く販売額が落ち込んでおり、少しづつ回復基調に向かっているものの、厳しい状況が続いています。先ずは落ち込んだ事業実績を回復させることが急務であると考えています。
そのためにも、批判・悲観の枠に停滞することなく自序努力という自己資本を添加し、自立に向けて再始動せねばならない時期に来ていると強く認識しています。
TPP交渉の顛末・減反政策の見直しなど農政改革という潮流もあって、原子力災害とは別のハ-ドルも見えてきています。全国第2位の農業就業人口を誇る福島県は、大震災と原子力災害に起因して、今や離農率全国一の状況にあり、泣き言で乗り越えられる事態にないと思っています。
農産加工に軸を置いた6次化体制の拡充・太陽光発電による再生可能エネルギ-の導入・田畑輪作技術の確立などを直近のテ-マとして、近未来に備え、慌ただしい日々を送る日課です。
大きな逆境の中に在って、その気になれば大きなチャンスの中に在るようにも思えます。逆境の先に、復興から自立へそして躍進への道があることを信じ、学びと行動を共にしながら農業の自立を目指したいと思っています。

司会者

今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「農業生産法人 稲田アグリサービスと株式会社ジェイラップにおける連携活動について、お話しを伺いました。