土地改良区の複式簿記会計への移行について

【平成30年6月26日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 総務課 課長補佐 齋藤 佳久
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます、「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は、土地連だより をお送りしましょう。
お話は、水土里ネット福島 総務企画部 総務課 課長補佐 齋藤 佳久さんに、お話をお伺いします。
齋藤さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

よろしく、お願いします。今朝のお話は土地改良区の複式簿記会計の移行について、お話をお伺いします。
はじめに、土地改良区の簿記会計の現状並びに複式簿記会計移行の経緯について、教えていただけますか。

担当者

はい。これまで、土地改良区の会計処理は、法令上の定めがなく、昭和29年4月の農林省農地局長から通知された「土地改良区会計細則例」により、現金取引のみを記帳する単式簿記の会計処理がおこなわれてきました。
しかし、公益法人や企業の多くは、複式簿記による会計処理を導入している昨今の状況を踏まえ、土地改良区におきましても、組合員に対して事業等に要した費用の妥当性を分かりやすく説明する必要性や、土地改良区の財産・財務の状況が把握しにくいというような問題を解決するため、平成17年から「制度検討会」、平成20年に「会計検査指導基準検討会」が発足され、複式簿記の導入を進める方向で検討が進められてきました。
そして、平成23年4月に、複式簿記による会計処理方法を定めた基準として、「土地改良区会計検査指導基準」及び「土地改良区会計基準」が、通知されました。

司会者

長い間、検討されてきたのですね。
では「会計基準」ができたことで、各土地改良区の会計処理が複式簿記にすべて、変わったのでしょうか。

担当者

いえ、この「会計基準」では、複式簿記と単式簿記のどちらか一方を、土地改良区が選択することになっておりますので、従来の単式簿記会計の継続を認めております。しかし、他の法人同様に複式簿記へ移行するよう、土地改良区を指導・監督する農林水産省をはじめ、県及び当連合会が三位連携のもと推進している状況にありますが、事務局員不在の土地改良区も多いことから、複式簿記における会計処理方法の普及が課題となっております。
そのような状況の中、土地改良区会計制度の動き、また土地改良区への様々な支援が行われています。

司会者

どのような会計制度の動きや支援が、あったのでしようか。

担当者

まず、会計制度の動きですが、平成23年4月、国から「土地改良区会計基準」が通知発出後、全国水土里ネットでは平成24年4月土地改良区の複式簿記に特化した「会計システム」の開発、平成26年6月、総務省から全国の都道府県・市町村の公会計について3年以内に複式会計に移行するように通知が発出されました。
同様に土地改良区会計においても、農水省の担当部局から土地改良区の会計移行について計画的な推進を図るよう指導がなされております。
また、現在会期中の通常国会におきまして、「土地改良法の一部を改正する法律」が可決されました。
会計制度に関する内容といたしましては、これまでの決算関係書類に、貸借対照表を作成することが追加されたところであります。
次に、支援については、平成26年度から国の公募事業として「複式簿記促進研修」が行われました。
全国の各都道府県単位で、16県ずつ3ケ年で一巡するという計画でした。
平成28年度からは国の新たな補助事業として「財務・会計実践向上研修」という事業が始まりました。
これは、私ども地方連合会が事業主体となり、土地改良区に向けた研修を開催する事業になります。
このように複式簿記への移行を支援する体制も充実してきました。

司会者

それでは、複式簿記にすることで、これまでの単式簿記の欠点が、どの程度解消できるのか、具体的に教えて下さい。

担当者はい、複式簿記にすることで、主に3つの内容が解消されます。
まず、一つ目は、現金以外の財産や負債の変動が統一の基準により記録され、これらの残高が基準日時点で、どの程度あるのかが把握できるようになります。
二つ目は、単式簿記会計では会計処理事務と財産管理に関する事務が分断されていることで発生している、記帳のミスが解消されます。
単式簿記会計では、取引を一つの勘定科目にしぼり記帳、整理する方法のため、財産管理は財産管理関係帳簿で取りまとめをし、その支払いが発生した場合には、資金関係の帳簿へ記帳しておりましたが、複式簿記では、この二つの書面が表裏一体となって取引状況を表しますので、一括して記帳・転記することとなり、記帳日や金額の転記ミスが無くなります。
三つ目は、頭首工や水路などの土地改良施設を減価償却することによって不明だった改修コストが容易に把握できるようになります。
この把握によって、受益者から徴収する賦課基準を算定根拠として、数年後の改修に必要となる資金が、いくら必要であるかを説明できるとともに、単年度で資金調達ができない場合、事前に積立てる必要性を容易に説明できるようになります。

司会者なるほど、複式簿記にすることで土地改良区の状況が、受益者などに説明が容易にできる、ということが分かりました。
そこで、最後に県内の土地改良区で複式簿記を導入しているところは、ありますか。

担当者

はい、平成30年1月1日現在ではありますが、県内88改良区のうち、5つの改良区で導入されており、また導入へ向けて検討している改良区も10改良区ほどありますので、複式簿記会計の導入が、増えてきている状況にあります。
当会といたしましても、県内多くの土地改良区が、容易に複式簿記を導入できるよう、今後も支援・協力をしていきたいと思っております。

司会者わかりました、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは「土地改良区の複式簿記会計への移行について」、お話しを伺いました。