土地改良施設維持管理適正化事業について

【令和2年6月24日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部企画指導課 課長 冨田秀樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「土地連だより」は、「土地改良施設維持管理適正化事業」についてお話をいただきたいと思います。
お話は、福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 企画指導課 冨田秀樹 様にお伺いします。
はじめに、「土地改良施設維持管理適正化事業」がどのような事業なのか、簡単にご説明下さい。

担当者

はい。本事業は、事業名が長いので通常略して「適正化事業」と読んでおります。それでは早速ですが、「適正化事業」について説明します。
農業用のダム、ため池、頭首工、水路、揚水機場、排水機場などは、農村地域が都市化・混住化するのに伴い、公益的・多面的な役割が益々大きくなってきております。一方、施設の老朽化は益々進んでおり補修・補強等の施設整備が喫緊の課題となってきております。
そこで、事業主体となる市町村や土地改良区などの「施設管理者」が施設の整備補修のための資金を造成し、この資金を利用して農業水利施設の定期的な整備補修を行います。そうすることで「施設管理者」自らの管理意識が高められるとともに、施設の「長寿命化」と「機能維持」が可能となります。今まで45年程の歴史と実績があり、県内でも数多くの施設の整備補修を行ってきました。

司会者

  私たちにとって必要不可欠な「食料」や、日常生活に密接に関わる「農業水利施設」を守っていく歴史のある事業なのですね。
それでは、具体的な「仕組み」や「内容」について教えて下さい。

担当者

はい。この「適正化事業」は一般的な補助事業と異なり、事業主体となる市町村や土地改良区などの「施設管理者」は、まず補修したい「施設」とその「費用」を見積もった上で事業に加入し、補修にかかる経費の3割を5年間均等に県土地連に拠出する必要がございます。
工事は拠出期間5年間のうち、あらかじめ加入時に決められた年度に実施することになります。このとき加入時に見積もった費用の9割(内訳としては国、県の補助が3割、残りの3割は拠出金です)その合計が、交付されます。残り1割については事業実施の年に事業主体が負担することになります。
このように事業主体は、事業費の4割の負担で事業を実施することができます。
今ご紹介したものは、通常行われている5年ものの適正化事業ですが、この他にも予期せぬ突発事故等に対応した1年で拠出を行う「緊急整備補修事業」など、整備の状況や補修内容によって他にも対応する事業もございます。

司会者

つまり、事業に要する費用を国、県から3割づつ補助していただき、残りの3割の費用を5年で積立てていくということですね。

担当者

はい、その通りです。
事業に要する費用を、一度に準備するのではなく、5年の事業期間内に分割で積立てていくため、負担が少なく実施しやすいのが、この事業の最大のメリットと言えます。
そこで、事業の対象となる施設ですが、団体営以上で造成したダム、ため池、頭首工、用排水路、揚水機場、排水機場などの農業水利施設が対象となります。また、ネットフェンスや手すりなどの安全施設なども対象となっております。対象施設が広範囲であることも本事業のメリットの1つと言えます。
なお、加入に際しては1施設あたりの補修費が200万円以上となる必要があります。そして私ども県土地連の施設診断を受けた施設であることが、要件となります。
さらに、加入することができる団体としては、施設を管理している市町村や土地改良区などとなります。

司会者

無理をせず、費用を積立てながら事業を行うことができるというのは、とても助かりますね。

担当者

はい。
次に、この事業でどのような施設の補修ができるのかを、説明いたします。
工事の内容は、3つに分けられます。
1つ目は「整備補修」です。
これは通常行われている補修で、原則は施設の「機能保持」「機能回復」のために必要な定期的な補修です。
たとえば、「ゲートの塗装」、「ポンプなどの分解整備」、「水路の目地補修」や「コンクリートの補修」などが挙げられます。
2つ目は、「設備改善」です。
これは「災害の未然防止」や「設備の性能向上などによる、管理効率化と労力節減を図るための施設本体や附属設備の改善」などです。
具体的な例を挙げますと、「ゲート開閉器の自動化」や「観測通信設備の整備」などです。
3つ目は、「一部更新」です。
これは「管理の効率化」と「労力節減」を図るために必要となる「施設の一部更新」です。
最近では「用排水機場のポンプ及びモーターの更新」も認められています。
「適正化事業」は、事業費を5年分割で積立ができること、対象施設が広範囲で整備補修内容も「通常の補修」から「設備改善」などにも対応が可能であるといったメリットがあります。
農村地域における農業水利施設の整備補修にぜひ積極的に御活用していただきたいと考えております。

司会者

農業水利施設の幅広い補修に対応できる事業であることが良く分かりました。
それでは、この事業に加入したい場合には、どのようにすればよろしいでしょうか。

担当者

はい、適正化事業に加入を希望される施設がございましたら、まずは、私ども県土地連の企画指導課までご相談いただければと思います。

司会者

今朝は、ありがとうございました。
今朝の「土地連だより」は、「土地改良施設維持管理適正化事業」について、お話しを伺いました。