畦畔等管理省力化モデル事業について

【平成30年1月26日ラジオ放送】

担当者:只見町農林振興課 新国 透
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。
「農家の皆さん」の時間です。今朝の土地連だよりは、只見町農林振興課 新国 透さんにお伺いします。
新国さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

今朝のお話は、只見町の「畦畔等管理省力化モデル事業」について、ご紹介いたします。
まず、只見町について、ご紹介ください。

担当者

はい。
只見町は四方を緑の山々に囲まれ、県の西南端、新潟県との県境に位置し、面積の9割を占める豊かな森林資源に恵まれています。
町内を流れる主要な河川は「尾瀬」を源流とする「只見川」と、その支流「伊南川」であり、その流域に集落と農地が集まっております。
特に只見川は水力発電地域として「大鳥ダム」や「田子倉ダム」「只見ダム」などが建設され、「田子倉ダム」は貯水量が5億トンと国内屈指の規模を誇り、田子倉湖と周囲の山々の織りなすコントラストは山紫水明の地として観光の拠点となっております。
産業は農業と観光が主で、特に農業では高気温、冷水に恵まれた自然条件による米作りと、昼夜の寒暖差を利用したトマトと花弁栽培が盛んに取組まれ産地化が図られております。

司会者

自然環境に恵まれた美しい町ですね。
それでは、「畦畔等管理省力化モデル事業」の内容についてご説明ください。

担当者

はい、「畦畔等管理省力化モデル事業」は只見町が実施している事業で、田畑境にある 「畦畔」の管理省力化かつ低コスト化を図る目的で実施しています。
只見町は、中山間地域であるため畦畔のり面が広いほ場が多く、管理作業に多くの労力や経費がかかる他、危険を伴う作業のため、省力化や低コスト化が望まれています。またその管理が困難になり、適切な農地管理ができず耕作放棄につながることも懸念されます。
そこで、その管理を将来的に低コストで省力化する方法として、町内の各集落、農業者組織を対象に「芝」で畦畔等を覆う方法を推奨し、そのモデルとなる取組みに対して補助金を交付する「畦畔等管理省力化モデル事業」を昨年2016年度よりモデル地区を募集し事業を実施しています。

司会者

畦畔を芝で覆うことで具体的に、どのような管理になるのでしょうか。

担当者

畦畔を覆う芝は、「畦畔グリーン」を使用します。
「畦畔グリーン」は、芝草の一種であるクリーピングベントグラスの中でも、耐寒性が高く中山間地でも容易に越冬できるもので、他の豪雪地帯でも導入実績があります。
また、葉や茎が柔らかくしな垂れるので、適度な草丈を維持でき、年数がたつと地面をはう茎が堆積してマットを形成し、雑草種子の発芽を防ぎます。
そして、定着すると数十年間、畦畔管理の省力化に役立つと注目されています。

司会者

管理が楽になりますね。では、事業の概要についてご説明ください。

担当者この事業の交付対象者は、町内の集落又は農業者組織となり、交付対象箇所は、畦畔、畦畔のり面、農作業道のり面、水路のり面が対象です。
交付対象経費は、畦畔等管理の省力化に寄与する資材の購入費用です。
例を挙げますと、芝種子、これは畦畔グリーンとなります。その他、肥料、除草剤等の経費を対象としています。

司会者「畦畔グリーン」の導入についても、教えてください。

担当者

はい、「畦畔グリーン」の導入について、標準的な播種時期は8月下旬~9月中旬となりますが、只見町の場合は、8月下旬に播種しております。
播種量は標準20g/㎡ですが、条件が悪い場合は量を増やします。施肥管理については、播種時には窒素、リン酸、カリを肥料として施肥します。
追肥は、芝の生育状況、例えば葉の色が淡い、伸びが悪い等を見て、適宜散布するようにします。施工前の留意点ですが、既存の畦畔の雑草は除草剤で処理をし、枯れた草はしっかり取り除きます。
播種後の管理において、芝の密度が高まる前に雑草の発生が確認された場合、手取りによる除草処理や除草剤のスポット処理等で枯殺します。
最後に施工方法ですが、種子を直接播種する「実播法(じつぱんほう)」の他に「わら芝工法」「吹付工法」がありますが、只見町では実播法で実施をしております。
他の工法に比べ低コストで実施可能です。

司会者実際、町内で導入してみて、評価はどうでしょうか。

担当者はい、2016年度は町内8地区、今年度2017年度は町内4地区で実施していますが、事業を活用した団体からは「雑草が生えにくい」、「長靴のゴム底でも滑りにくく安全」などの評価を得ています。
課題的な面で言うと、初期の雑草処理が確実に出来ていない場合、芝の密度が高まる前に雑草が生えてくる地区も見られましたので、初期の雑草管理の徹底を周知したいと思っております。

司会者最後に、今後の事業の取り組みについて、お聞かせ下さい。

担当者昨年度から始まったこの事業をきっかけに、多面的機能支払交付金や中山間直接支払交付金等を活用して実施していただき、畦畔など農地の維持管理省力化や低コスト化を図り、耕作放棄地の減少につながるものと期待しております。

司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、只見町の「畦畔等管理省力化モデル事業」について、お話しを伺いました。