国営造成施設の管理について
【平成30年5月24日ラジオ放送】
担当者:福島県農林水産部農地管理課 主任主査 西牧 宏和
司会者:RFCアナウンサー
司会者
おはようございます、「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は、土地連だよりをお送りしましょう。お話は、福島県農林水産部農地管理課の西牧宏和さんです。西牧さん、おはようございます。
担当者
おはようございます。
司会者
国営造成施設について、伺いたいんですけど、国営造成施設というのは、どんなものがあるのでしょうか。
担当者
はい。国が整備した農業用のダム、頭首工、ポンプ場、幹線用排水路等の農業水利施設のことを「国営造成施設」と呼んでいます。
このうち、福島県には、日本三大疏水の一つである安積疏水をはじめ、営農や生活に欠かせない施設がたくさんあります。
司会者
その施設は誰が管理しているもの、なんでしょうか。
担当者
はい。ダムについては、国や県あるいは市町村が管理しており、基幹的な頭首工については市町村が管理しております。それ以外の農業水利施設については、土地改良区が管理しております。
司会者
「土地改良区」というのは、どのような組織なんでしょうか。
担当者
はい。「土地改良区」とは、ほ場整備事業等の土地改良事業を行政に代わって実施する農業者の組織であり、都道府県知事の認可を得て設立されたものです。
この「土地改良区」は、我々の生存基盤ともいえる「農地」や「水」、「土地改良区施設」をはじめとするかけがえのない地域資源を守り、育ててきました。このような役割は、農家ではない人たちには分からない人たちが多いようです。
司会者
「農業水利施設」を管理する際に何か問題となっていることはありますでしょうか。
担当者
はい。国が整備した農業水利施設の多くは整備してから年数が経過しており施設が老朽化し、維持管理費が増加傾向にあります。
また、農村地域において、都市化や混住化が進み、農業用排水路に溜まったごみが増加したり、さらには、過疎化や高齢化が進み集落機能が低下しており、施設の維持管理を取り巻く状況は厳しさを増しています。
このため、地域住民やNPO等をはじめとする多様な主体との協定を結び、安定的な管理体制を整備するための事業「国営造成施設管理体制整備促進事業」が平成12年度から開始され、現在に至っております。
司会者
「国営造成施設管理体制整備促進事業」というのは、具体的にどのような取り組みを行うものでしょうか。
担当者国営造成施設及びこれと一体となる関連県営造成施設を管理する土地改良区が行う管理体制の整備・強化を図るための支援活動に対して助成を行うものです。
一つ目は、管理体制整備推進協議会を設置し、その協議会の活動等を通じた地域における協議調整や合意形成を図るといった推進活動です。
二つ目は、農業水利施設が果たしている多面的機能の発揮や管理の高度化を対象とした管理の実践、予防保全対策等の実施といった管理体制の整備・強化に対する支援です。
司会者県内で「国営造成施設管理体制整備促進事業」に取り組んでいるのは、どれ位の地区があるのでしょうか。
担当者県内には、「安積疏水」地区をはじめ全部で、10地区あります。このうち浪江町を中心とする「請戸川」地区は、震災の影響で現在は休止しております。
司会者「推進活動」というのは、具体的にどのような活動をされるのでしょうか。
担当者はい。白河矢吹地区で、ございます。
地区の範囲は、矢吹町、鏡石町、泉崎村、須賀川市、白河市 ですが、毎年、小学生向け啓発活動として、土地改良区が主体となり、出前授業や土地改良施設見学会を行い、農業水利施設の果たす役割について説明を行っています。
また、大人向けの啓発活動としては、羽鳥ダム施設見学会を実施し、農業水利施設の維持管理に地域住民が参画するきっかけ作りを行っているところです。
司会者農業水利施設のもつ「多面的役割」とは、どのようなことなんでしょうか。
担当者はい。農業水利施設は、地域の環境や景観を創出しているほか、健全な水循環を形成し、生活用水、防火用水、消流雪用水への利用、地下水かん養等多様な役割を発揮しております。
また、土地改良区は、施設の老朽化が進行する中、近年頻発する異常気象や突発事故時に対応した厳格な管理が求められており、土地改良区の果たす公的役割は増大しております。
司会者土地改良区の方々の果たす役割というのは、とても大きいわけですね。
担当者
はい。県としては、これからも土地改良区が行っている維持管理に対し、支援を継続していきたいと思います。
司会者今朝の土地連だよりは、「国営造成施設の管理について」、お話を伺いました。
西牧さん、ありがとうございました。
担当者ありがとうございました。
司会者土地連だより、お話は、福島県農林水産部農地管理課の西牧宏和さんでした。