「農地・水・環境保全向上対策」について

【平成21年8月28日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部 農村環境整備課 主査 平野 晃史
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「農家の皆さんへ」は、「農地・水・環境保全向上対策」についてご紹介します。
お話は、福島県農林水産部農村環境整備課に勤務しております主査の平野晃史さんにお伺いします。
はじめに、「農地・水・環境保全向上対策」のあらましについて、教えてください。

担当者

農地や農業用水などは、農業だけでなく、農村の豊かな自然環境や景観を形づくる上でも、大きな役割を果たしています。そういう意味で、これらの農地や農業用水などは、地域の財産であり、資源であると言えます。
これまで、これらの貴重な財産は、地域の皆さんの共同活動により守られてきましたが、近年、過疎化や高齢化、農家と農家以外の方との混住化が進行したことにより、これまでどおり地域で適切に保全管理していくことが難しくなってきています。
一方で、環境問題に対する国民の関心が高まり、「ゆとり」や「安らぎ」といったものへ国民の価値観が変化しており、農業政策全般が環境保全を重視したものに転換することが求められております。
これらの要請に応えるため、農地や農業用水などの地域の財産や農村環境を守り、更にその質を高めていく地域共同の取組と、化学肥料と化学合成農薬の5割低減等を図る、環境にやさしい農業への取組を、総合的に支援するため導入されたのが、「農地・水・環境保全向上対策」であり、平成19年度から取り組んでおります。

司会者

具体的にはどのような仕組みなのかを、教えてください。

担当者

まず、農業者だけでなく、農業者以外の地域住民の方々も参加する、活動組織を作ります。
次に活動計画を作り、その計画を基に活動組織と市町村の間で協定を結び、県の地域協議会へ交付金の採択を申請します。
採択された後に、活動する区域内の農地面積に応じて支援が受けられます。

司会者

福島県における取組状況を教えて下さい。

担当者

平成21年度においては、県内47市町村の663の活動組織が本対策に取組み、昨年度は、延べ約30万人あまりの県民の皆さんが共同活動に参加しております。
また、これらの活動組織に対する交付金交付対象面積は、約3万7千4百ヘクタールとなっており、県内農用地面積の概ね4分の一で、概ね会津若松市全体と同じ面積になっております。
また、このうち20市町村の88の活動組織については、環境にやさしい先進的な営農活動にも取り組んでおり、その対象面積は、約2千4百ヘクタールとなっております。

司会者

具体的にはどのような活動が行われているのですか。

担当者

農地や農業用水の適切な保全管理に必要な、水路の清掃や農道路肩の草刈りといった活動はもとより、水路や農道の破損箇所に対する小規模な補修や農村の美しい景観を形成する農道路肩への植栽などが行われております。
例えば、会津美里町の赤留資源保全会では、「地域をみずから考えてみました・考えてみましょう」というテーマで、自治会・PTAが中心となり、水質調査及び生き物調査を行っており、子供育成会をつうじて「環境の勉強会」も同時に行っております。
また、郡山市の日和田町宮下ふるさと会は、地区内の遊休農地を整備し、ソバやモチ米を栽培するとともに、ビオトープとして子供たちの環境教育の場とするなど、将来を見据えた環境保全意識の高揚を図っております。
さらに、富岡町の大原地区邑づくり推進協議会は、地区全体を「環境にやさしい農業地区」とし、エコ農業を推進しており、特にアイガモを活用して除草を行い、農薬使用量を減らすなどしており、アイガモたちは、地域農業の象徴的な存在となっております。
このように、地域の創意工夫や実態を反映した様々な活動が行われております。

司会者

本当に、様々な取組が行われているようですが、本年度はどのように推進していくのでしょうか。

担当者

この対策は、平成19年度から開始され、本年度で3年目を迎えました。
本年度は、県が設置しました第三者委員会により「取組の評価」が行われることとなっており、その資料とするため、本対策に参加したことによる効果などをお聞きするするアンケート調査などを、活動組織の皆さまやその近隣にお住まいの方などにお願いすることとしております。
また、活動組織の皆さまには、今後10年後を見据えた、体制づくりを展望する「体制整備構想(案)」の策定をお願いしております。
これは、活動組織の皆さまが、農地や農業用水などの地域の財産と、これらにより形成されている地域の環境を、どのように守っていくのかを話し合っていただくきっかけとなるものであります。

司会者

今年は、この対策にとって、重要な節目の年になるということですね。

担当者

はい。県も、市町村や地域協議会と連携して、活動組織の方々を支援していくこととしておりますので、積極的な取り組みをお願いいたします。

司会者

今回、紹介されたような活動について詳しく知りたい場合は、どこに行けばよろしいのでしょうか。

担当者

各市町村や県の農林事務所農村整備部、または県庁農村環境整備課にお問い合わせください。
地域協議会でも、ホームページを開設し、随時、皆さまに県内の活動状況などをお知らせしておりますので、ご覧になってみて下さい。
また、地域協議会では、昨年に引き続き、「ふくしま むらの輝き2009」写真・絵画コンテストを実施しております。10月30日までの募集としておりますので、奮ってご参加下さい。
詳しくは、地域協議会などに問い合わせ下さい。

司会者

今朝の「農家の皆さんへ」は、農地・水・環境保全向上対策について、福島県農林水産部に勤務しております農村環境整備課主査の平野晃史さんにお話しを伺いました。