栗本堰を訪ねる小学生勉強会の取り組みについて

【平成30年12月29日ラジオ放送】

担当者:福島市土地改良区 事務局長 佐藤 務
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は「土地連だより」をお送りしましょう。
お話は、福島市土地改良区 事務局長の 佐藤 務 さんです。
今朝は、「栗本堰を訪ねる小学生勉強会」の取り組みについて、お話をお伺いします。
佐藤さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。よろしくお願いいたします。

司会者

はい、お願いします。
はじめに、「栗本堰を訪ねる小学生勉強会」について、ご紹介いただけますでしょうか。

担当者

はい、私達 福島市土地改良区は、田んぼや畑の農地の整備や農業用水を供給するために必要な ため池や用水路、揚水機場等の農業施設の維持管理を行っています。
そこで、「水土里を育む普及促進事業」を活用いたしまして、小学生に地域を流れている農業用水が、どこからどの様にして流れてくるのか、どのような利用をされているかを知って、学んでもらうために、地元の大笹生小学4校年生を対象に、平成27年から勉強会を始めました。

司会者地域の農業用水の大切さを、まずは子供達に学校の学習として、知って学んでもらおう、ということですね。
そこで、この勉強会を行うために活用される、「水土里を育む普及促進事業」とは、どのような事業なのか、教えて下さい。

担当者

はい。
この「水土里を育む普及促進事業」につきましては、「福島県ふるさと水と土保全基金」を活用した農業農村整備の広報活動として、農業用水の大切さや農業水利施設の役割を一般の方にも理解を深めてもらうための事業ですが、小学生勉強会では同時に栗本堰水路の歴史についても学んでおります。
栗本堰水路は今から215年前、用水路として開削され、福島市の北西部に位置し水田と果樹園に、また一般生活用水に、水を供給する重要な役割を担っています。司会者農業用水の大切さや農業水利施設の役割を広く、多くの方々に理解を深めてもらう事業なのですね。
では、勉強会の具体的な内容について教えて下さい。

担当者

はい。
まずは用水のスタート地点であります栗本堰の頭首工を訪ね、施設見学を行いました。
頭首工と言うのは川を堰き止めて用水を取り入れる施設ですが、子供たちは頭首工を間近で見たのは初めてだったようで、水が流れる迫力や、えん堤から流れて落ちる水の音の大きさに驚いておりました。

司会者

そうですか。
頭(あたま)首(くび)の工(こう)で、頭首工(とうしゅこう)ですか。
そのような施設は、なかなか見ることはできませんから、小学生には貴重な体験だったんでしょうね。

担当者

はい、そうですね。
その後は、栗本堰の下流にあります円形分水に移動して、施設見学と農業用水の水質調査を行いました。
この円形分水は全国でも年々、数が少なくなっている珍しい施設です。
これが円形分水の写真です。

司会者

これが円形分水というものですか、丸いお腕のようで変わった形をしていますね。

担当者そうですね。
でも何故、こんな形をしているのかと言いますと、農業用水を一定の割合で正確に分配することができるからなのです。
昔は限られた水を求めて「水争い」が沢山あったようで、円形分水は先人達が苦労の上に考えた知恵なんでしょうね。
それに、この丸い形には、夫婦円満、円満解決とかの言葉があるように、円形分水を作った先人達の用水を使う人達へのやさしい思いが込められているんだと思います。

司会者そうですね。
そのようにして、先人達は苦労を重ね、様々な思いをこめながら施設をつくってきたんでしょうね。

担当者はい。
また、この栗本堰の円形分水は福島市の景観100選にも選ばれております。
脇には桜の木が植えてあり、春の桜が咲く時期は、流れる水と桜でとても美しい景観ですので、是非花見の時期には一度見に来ていただきたいと思います。

司会者はい、是非行ってみたいと思います。インスタ映えしますね。
それと、農業用水の水質調査も行ったとの事ですが、どのような調査をしたんですか。

担当者はい。
まずはプラスチックの細く長い筒に採取しました用水を入れ、水がどの位透明なのかを小学生がみて、透視度の確認をしました。
次に、水の汚れについてパックテストという、薬品を使って、変化する水の色で汚れを判定する水質検査を小学生たちが自分たちで行いました。
この水質検査は、用水路の上流と下流で採取した用水を検査して、どの様な違いが出るのかを調査しました。

司会者調査の結果は、どうだったのでしょうか。

担当者はい。
上流と下流とでは、明らかに透視度、パックテストともに水の性質が異なる結果がでました。
そこで、人家の多い下流は、上流と比べ用水が濁り水質が汚れていることを、子供達は水質調査を通して体験をいたしました。
この結果を踏まえて、今後も地域を流れる貴重な資源であります水を大切に使っていこうという理解を深めてもらうことができたと思っています。

司会者最後に福島市土地改良区では、この取り組みについて今後は、どのように考えておりますか。

担当者はい。
土地改良区が、今後も地域ともに農業用水や施設を守っていく上で、管理が低下しないよう、用水の大切さを非農家の方々を含めた多くの方々に広報していくことが大切と考えています。
当改良区では、今後も勉強会を継続して未来を担う小学生に地域における水環境、それを支える農業水利施設の現状を知ってもらい、学んでもらうことで、地域を流れている水の素晴らしさを伝えてまいりたいと思っています。
そして、子供を通して、親、家族、地域へと保全管理に対する取り組みの意識が広がっていければと期待しています。

司会者ありがとうごいました。
今朝は、福島市土地改良区 事務局長の 佐藤 務さんにお話をお伺いしました。