土地改良法の一部改正について

【平成31年1月25日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 企画指導課 課長 菊地勇一
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。
「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は、土地連だよりをお送りしましょう。
お話は、水土里ネット福島 総務企画部 企画指導課長の菊地勇一さんです。
菊地さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。

司会者

今朝のお話は、「土地改良法の一部改正」について、お伺いしてまいります。
初めに、「土地改良法」とはどのような法律なのか、教えていただけますか。

担当者

はい。
「土地改良法」は、農業生産基盤の整備・開発を目的とした土地改良事業を適正かつ円滑に推進するため、その種類や実施の手続きなど必要な事項を定めている法律で、昭和24年(1949)に施行されました。

司会者はい。
その土地改良事業についても、具体的にどのような事業なのか、教えていただけますか。

担当者

はい。
具体的に土地改良事業とは、かんがい排水、ほ場整備、農道整備等の農業生産基盤の整備や土地改良施設の管理等を含めた農村の保全を行う事業が法律上、土地改良事業という名で定義されています。司会者はい。わかりました。
今回、その「土地改良法」の一部が改正されたということなんですが、その経緯をお願いします。

担当者

はい、今回「土地改良法の一部改正」が行われた背景には、近年、組合員の高齢化による離農や農地集積の進展に伴い、土地改良区の中で土地持ち非農家が増加し、堰や水路をはじめとする土地改良施設の維持管理や更新などが適切に行えなくなるおそれ、が生じてきています。
そこで、土地改良施設の維持管理や更新を適切に行っていくためには、所有者だけではなく、耕作者の意見が適切に反映される事業運営体制に移行していくことが必要となってきます。

司会者

はい。深刻な問題なわけですよね。
今後、堰や水路を管理して守ってくれる方達が居なくなってしまいましたら、農業が立ち行かなくなってしまいますよね。
それ以外にも心配なことはあるでしょうか。

担当者

はい、その他に、地域の農業用水や水路などの水利施設の維持管理を行っている土地改良区においても、組合員数や職員数の減少により、業務執行体制の脆弱化が進み、適正な事業運営及び事務の効率化が求められている状況にあります。
そこで、昨年2018年6月8日に今回の「土地改良区のあり方」に関する改正法が公布されました。
法律の施行は、今年2019年の4月1日からです。

司会者

はい。
それでは、改正された法律はどのような内容になっているのでしょうか。
概要について、お願いいたします。

担当者はい。
今回改正された措置は、土地改良区の組合員資格及び土地改良区の体制の改善に関する措置 について、7つあります。
まず、一つ目は、土地改良区組合員の資格交替の円滑化で、所有者から耕作者への資格交替が、農業委員会の承認制から届出制に変わったことです。
また、農地中間管理機構が農地の貸借を行う場合の資格得喪通知の手続も簡素化されます。
それから、貸借地の所有者又は耕作者で事業参加資格がない方に任意ですが、准組合員として参加してもらうことが可能となります。
二つ目は、理事の資格要件の見直しで、理事の5分の3以上は原則として耕作者たる組合員となり、実際に耕作する方達の意見がより反映されように義務化されます。
三つ目は、利水調整のルール化で、利水調整規程をつくり、水需要の実態に応じた農業用水の配分調整が明確になるようルール化されます。
四つ目は、土地改良施設の管理において、地域住民を構成員とする団体、組織に 施設管理准組合員として、土地改良施設の管理への協力を求めることが可能となります。
ここまでが、土地改良区の組合員資格に関する措置の内容です。

司会者はい。
実際に耕作をする人達が、土地改良区、そして地域農業を支えていけるよう、対応した措置といえるわけですよね。

担当者はい、その通りです。
次は、土地改良区の体制の改善に関する措置について、お話します。
五つ目は、総代会制度の見直しで、総代会の設置要件が組合員200人超から100人超に引下げられ、総代選挙については、これまでの選挙管理委員会による管理を廃止し、土地改良区による管理となります。
また総代は、書面又は代理人による議決権行使ができることになり、総代会制度が活用しやすくなります。
六つ目は、土地改良区連合の業務の拡充で、これまでの土地改良事業のほか、共同事務や附帯事業まで業務が拡充され、土地改良区連合を設立することができるようになります。
最後、七つ目は、財務会計制度の見直しで、土地改良施設の老朽化が進展する中、施設の更新事業費を計画的に積み立てていくためには、複式簿記の導入が必要であることから、土地改良区は、原則として貸借対照表の作成と決算関係書類の公表が義務化されます。
併せて、経理や会計を透明化し、監査体制を強化するために、土地改良区の監事のうち1人以上は、原則として員外監事を選任することも義務化されます。
最後に、私達、水土里ネット福島は今回の法改正により、土地改良区が近年の農業及び農村をめぐる情勢の変化に対応し、業務運営の適正化を図れるよう、関係機関とともに土地改良区を支援してまいります。

司会者今朝は、ありがとうございました。
「土地連だより」、お話は水土里ネット福島 総務企画部 企画指導課長の菊地勇一さんでした。