「水田で取り組む防災!田んぼダム」

【令和4年10月29日】
担当者:福島県農林水産部 農村振興課 副主査 丸山 眞典
司会者:rfcアナウンサー

司会者おはようございます。
今朝は、 「水田で取り組む防災!田んぼダム」と題して、
福島県農林水産部 農村振興課 副主査の丸山 眞典(まるやま しんすけ)さんにお話を伺います。
よろしくお願いします。

担当者おはようございます。
よろしくお願いします。

司会者本日のテーマは、「水田で取り組む防災!田んぼダム」ということですが、
そもそも「田んぼダム」って何ですか?

担当者田んぼダムとは、大雨が降る時に、田んぼに水を貯めておくことで、
河川の水位が上昇するのを少しでも抑えようとする取組です。

司会者そのような取組があるのですね。
もう少し詳しく教えて下さい。

担当者「田んぼダム」というのは、まだ聞き慣れない言葉ですよね。
まず、水田の持つ機能について、お話しします。
皆様ご承知のとおり、水田には、もともと水を貯める機能をもっています。
この機能を活用して、水田から排水する量を調整する器具などを設置して、大雨時に、水田から排水路や河川への排水量を絞ることで、水位の急激な上昇を抑えて、洪水や浸水の被害の軽減を図る取組です。
近年、大雨の発生による、洪水や浸水被害が増加する中、ダムや河川堤防の建設など、従来の治水対策に加え、河川の流域全体の自治体や住民が協働して、治水に取り組む「流域治水」が進められています。
「田んぼダム」も、その取組のひとつとして、注目されています。

司会者「田んぼダム」に取り組むと、洪水被害が、無くなるのですか?

担当者「田んぼダム」に取組だけで、洪水や浸水被害を防げるものではありませんが、河川やダムの整備や、例えば、屋根に降った雨水を園芸用などに使うための家庭用タンクを設置するなど、みんなで、いろいろな取組を行うことによって、少しでも洪水や浸水の被害を軽減することが重要であるとされています。

司会者「田んぼダム」の取組は、以前から行われてきたのですか?

担当者「田んぼダム」は、平成14年、全国に先駆けて、新潟県の村上市で取組が開始されたと言われています。
本県では、平成28年頃から郡山市や須賀川市が、昨年度からは、喜多方市などの一部の地域でも取組が行われています。

司会者なるほど、「田んぼダム」の仕組みは、理解できました。
先ほど、排水量を調整する器具というお話がありましたが、具体的にはどのようなものなのですか。

担当者田んぼに、排水マスがもともとある場合、水位を調整するため、堰板を設置されていると思いますが、
この板に、排水量を調整するために穴をあけた堰板などを追加することだけで、取り組みを始めることができます。
田んぼに、排水マスがない場合は、マスの設置が必要となりますが、近年では、各メーカーの製品で、田んぼダム用の排水マスも販売されています。
それを田んぼの排水口に設置することで取り組むことができます。

司会者堰板や排水マスには、どのような種類があるのですか?
また、価格はどれくらいになるのですか?

担当者田んぼダム用の堰板は、排水する部分の形状がV字や丸穴など、いくつかの種類があり、また、木製、プラスチック製、塩ビ製など様々な材質のものがあって、排水特性や管理のしやすさなどに、それぞれ違いがあります。
既製品の多くは、1枚、3千円~6千円程度となりますが、木材等を加工して自作している農家の方もいらっしゃいます。
排水マスについては、コンクリート製のもので、5千円~1万2千円、田んぼダム用の樹脂製のもので、2万円程度になります。
価格だけでなく、設置のしやすさ、耐久性など、それぞれに特徴がありますので、地域の条件に合ったものを選んで下さい。
各田んぼの排水口の状況によって、設置できる製品が限定されたり、設置が困難な場合がありますので、注意が必要です。
なお、「田んぼダム」の取組にあわせ、排水マスの設置を支援する国庫補助事業がありますので、市町村や県の農林事務所などにご相談ください。

司会者分かりました。
では実際に、「田んぼダム」に取り組もうとした時には、どのように進めていけば、よいのでしょうか。
やりたい農家個人が、各々取り組めばよいのでしょうか。

担当者「田んぼダム」の取組は、まとまった面積で、取り組むことで、より洪水を軽減する効果が期待できます。
そのため、まずは、地域や集落、生産グループなどの組織で話し合い、できるだけ多くの皆様に取り組んでいただければと思います。
また、取組に先だち「田んぼダム」に取り組む水田の畦畔や排水設備の状況の確認を行ってください。
水を貯めるのに、畦畔の高さは十分にあるか、やせていないか、排水マスはどのような物が設置されているか確認しましょう。
さらに、排水量を調整するための方法や、必要な器具について、既製品を購入するのか、自作するのかなどの検討をお願いします。
先ほどもお話ししましたが、器具購入や工事に対する支援制度もありますので、市町村や最寄りの県農林事務所に事前にご相談ください。
それらが全て整ったら、いよいよ取り組み開始となります。

司会者「田んぼダム」の取組開始後は、何か注意点等などありますか。

担当者排水量を調整する堰板は、基本的には設置したままにしておいてください。
ですが、田植え後の苗の背丈が低い時期や、中干し・落水時期など、高い水位で湛水することを望まない時期もあると思いますので、適宜、堰板を外すなど、栽培管理を優先していただいて構いません。
あくまで、営農に支障のない範囲で、取組を行って下さい。
また、「田んぼダム」取組中は、排水マスや調整器具に破損がないか、排水口にゴミ等が詰まっていないかなどの確認が大切となります。
なお、これらは、雨が降り出す前に行っていただき、激しい雨が降り始めたら、危険ですので、くれぐれも見回り点検は控えるよう注意して下さい。

司会者ありがとうございます。
では最後に、「田んぼダム」の取組の普及に向けて、どのように推進していかれる考えかを教えてください。

担当者本県における「田んぼダム」の取組は、始まったばかりですので、今後、できるだけ多くの地域で取り組んでいただきたいと考えています。
このため県では、「田んぼダム」の効果や取組内容を皆様にご理解いただけるよう、「田んぼダム」に取り組んだ場合に、どの程度の洪水被害の軽減が期待できるのか、シミュレーションを行ったものを目で見てわかるようにマップ化したモデルや、農家の皆さんに、田んぼダムをわかり易く理解していただけるように、「田んぼダム技術マニュアル」を作成しました。
今後、こうした資料も活用しながら、市町村や土地改良区の皆様などと協力して、「田んぼダム」の普及を推進していきたいと考えております。

司会者ありがとうございました。
みんなで、いろいろな取組を行うことによって、少しでも洪水・浸水被害を防ぐことが必要であること
その取組の1つとして、「田んぼダム」の取組があることが分かりました。
本日は、「水田で取り組む防災!田んぼダム」と題して伺いました。
丸山さんありがとうございました。

担当者ありがとうございました。