会津若松市湊土地改良区「創立70周年の歩み」について

【令和5年11月22日】
担当者:会津若松市湊土地改良区 会計主任 鈴木けい子
司会者:RFCアナウンサー

司会者おはようございます。「農家の皆さん」の時間です。
今朝は、土地連だよりをお送りします。
お話は、会津若松市湊土地改良区 会計主任の鈴木けい子さんにお伺いします。
鈴木さん、おはようございます。

担当者おはようございます。本日はよろしくお願いします。

司会者今朝のお話は、会津若松市湊土地改良区「創立70周年の歩み」についてご紹介いたします。
初めに、土地改良区の設立についてご説明いただけますか。

担当者はい。本土地改良区は、福島県会津若松市街地より東方(とうほう)、猪苗代湖の西岸に位置し、標高は約520mにある中山間高冷地で、西の背炙山、東の猪苗代湖の間にあって南北に約10kmにわたる地域で、一級河川「原川」沿いに展開する平地と、農業用ダムの吉ヶ平ダム及び猪苗代湖からの揚水を主水源とする地域により構成されています。
国営代行農地開発建設事業を契機に昭和28年1月に「湊土地改良区」として設立し、昭和30年4月会津若松市と北会津郡湊村との市町村合併により名称を「会津若松市湊土地改良区」と改め、その後昭和37年4月に赤井谷地土地改良区と合併し、受益面積1,028ha、組合員551人の土地改良区として、本年創立70周年を迎えました。

司会者次に、土地改良区の70年の歩みについて、ご紹介いただけますか。

担当者本地区は、戦後、農地の開拓事業が盛んに行われ、農地面積は増加しましたが、水源はため池と雨水(うすい)だけに限られていたため毎年用水不足に悩まされていましたが、吉ヶ平ダムの完成により用水不足が解消し、今日の地域農業発展の大きな原動力となりました。
さらに、本地区の主な土壌は、泥炭地で湿田が多いため農地の流動化も進まず、大型機械作業にも支障となっていました。
そこで、土地改良区としては、排水改良を先行して進めるとともに、未整備全域を対象に、県営ほ場整備事業に取り組み、大区画化・農地の汎用化と併せて、農地流動化対策を推進し、担い手への大規模な面的集約を図りました。
現在は土地改良区が中心となり、地域全体を計画的にほ場整備事業を推進したことにより、1集落1農場を目標として地域毎に9つの農地所有適格法人の設立と農地中間管理事業へ積極的に関与し、地域農業の担い手の育成に努めてまいりました。

司会者次に、管理されている土地改良区の施設概要についてお話しください。

担当者はい。本土地改良区は、農業用ダム1箇所、頭首工1箇所、揚水機7箇所、用水路19.4km、排水路11.9km、ため池28箇所の維持管理を行っています。
基幹施設である農業用ダムや揚水機等は、土地改良区が定期的な点検・補修を行い、機能保全に努めています。
また、利水調整規程を設置するなど、組合員と一体となった施設管理体制を構築し、きめ細かな用水供給や施設補修等、徹底した維持管理を行っています。

司会者いろいろな工夫をされて施設の管理をなされているのですね。
今年は異常気象により夏場の気温が高く、また降雨量も少なかったことから用水不足と県内でも話題になりましたが、どのような対応をされたのかお話しください。

担当者はい。平年との降雨量を比較しますと、平年は4月から9月上旬に掛けて約700mm程度の雨量がありますが、今年の場合は4月から9月上旬に掛けての降雨量は約250mm程度しかなく、平年の3分の1程度しかありませんでした。しかし、過去の事例や小雨を想定しながら、地区の町内会区長さんにもご協力を依頼し、6月初めより用水の節水対策及び揚水機の節電対策、更には今まであまり利活用されていなかった農業用ため池に着目し、節電対策の実施日にはその用水不足量を補うために、ため池の放水量を増やすなど地域と一体的な節水対策に早くから取り組むことが出来ました。
そうしたことにより、基幹水利施設の吉ヶ平ダムは、9月1日には貯水量が約9%まで落ち込みましたが、組合員からの用水不足のクレーム等もなく、計画的に配水できたことから何とか用水期間を満了することが出来ました。

司会者節電対策というキーワードが出ましたが、どのような対策を取られたのでしょうかお話しください。

担当者はい。節電対策とは管内すべての揚水機を対象に、用水期間中の6月より9月の間は週3日間を隔日で停止し、昨今の電気料高騰の対策にも一躍を担う取り組みとなっています。
これも、地域住民や組合員のご理解とご協力がなければ、出来ない対策です。

司会者今土地改良区管内では、猪苗代湖水環境保全活動に官民学連携で取り組んでいるそうですが、どのような活動かお話しください。

担当者はい。まず1点目は、猪苗代湖の水質浄化対策について、県会津レクリエーション公園内を流れる排水路に、水質浄化実証試験として浄化効果のあるヨシを植栽し、リンや有機物を取り除く試験を、県環境創造センターの主体のもと協力をしています。
2点目は、湊町内の休耕田を活用した農業排水の浄化に関する実証試験にも協力しています。日本大学工学部の学生が中心となり、休耕田を利用し排水路の水を田んぼ内に引き込み、ビオトープとして水質浄化を図り、下流には魚道を設置し生態系の保存にも取り組んでいます。土地改良区としても、試験施設として休耕田や排水路等の施設を提供するなど、地域住民・行政と連携し保全活動に取り組んでいます。

司会者ところで、令和元年度に第61回全国土地改良功労者等表彰にて農林水産大臣表彰を受賞し、本年度は当土地改良区理事長の中島武三理事長が土地改良功労者県知事表彰を受賞されたそうですが、どういった取り組みが評価されたのでしょうか。

担当者はい。本土地改良区の運営については、「組合員が安定した農業経営に取り組むこと」を基本として、各種事業実施に伴う農家の負担軽減を図るため関係機関への陳情要請等を行ってきました。
こうした取り組みが組合員からの高い信頼を得て、過去7年間の賦課金徴収率は100%となっています。
また、基幹水利施設については、施設診断に基づき計画的な維持補修を実施し、維持管理費に係る地元負担も軽減しています。
また、地域の防災・減災についても、防災重点ため池13箇所について、近年頻発している災害に備え、土地改良区が市・町内会と共に検討を重ねワ-クショップを実施しながら、ハザードマップを作成し、地域住民へ周知徹底するなど防災減災対策にも積極的に取り組んでいます。このような取り組みが評価され、受賞に至りました。

司会者今後も組合員のために、ご尽力をお願いいたします。
今朝の土地連だよりは、会津若松市湊土地改良区 会計主任 鈴木けい子 さんでした。
ありがとうございました。

担当者ありがとうございました。