ため池における安全対策について

【令和6年5月23日】
担当者:福島県農林水産部 農地管理課 技師 中川 悠吾
司会者:rfcアナウンサー

司会者農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「ため池における安全対策」について、福島県 農林水産部 農地管理課の中川悠吾(なかがわゆうご)さんにお話を伺います。
まず、「ため池」とは、どのようなものかご説明をお願いします。

担当者皆さん、おはようございます。
それでは、ため池についてご説明します。
ため池というのは、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を溜めることができるよう、人工的につくられた池のことです。
県内には、約4,000箇所のため池があり、田んぼや畑に農業用の水を安定的に供給し、農産物の品質と収量を確保するうえで、とても大切な役割を果たしています。

司会者それだけ多くのため池は、どのように維持管理されているのでしょうか?

担当者ため池は、市町村や土地改良区、地元の水利組合や集落、関係する農家の方が、草刈りや、取水施設の点検などの日常的な管理を行っています。
県では、農作業の準備が始まる4月を「施設管理強化月間」に位置づけて、管理者自身によるため池を含む農業水利施設の点検をお願いしています。
万が一ため池が決壊した場合、下流への影響が非常に大きくなります。
ため池が決壊する原因としては、地震と豪雨がありますが、決壊原因の9割以上が豪雨によるものとなっています。
そこで、梅雨時期を迎える前に、堤の斜面の崩落や、水の染み出しがないか、洪水吐に流木が引っ掛かっていないかなど、今一度点検をお願いいたします。
また、いつでも堤の状況を確認できるよう、定期的な草刈りもお願いいたします。

司会者ため池が決壊した場合、下流への影響が大きいとのことですが、自分の住んでいる地域にはどの程度影響があるのか把握したいときは、どのように調べれば良いのでしょうか?

担当者福島県農林水産部農地管理課ホームページに「ため池マップ」が掲載されています。
この地図には決壊時に周辺区域に被害を及ぼすおそれがあるものとして指定された「防災重点農業用ため池」の位置を掲載しています。
また、各市町村では、この「防災重点農業用ため池」が万が一決壊した場合にどの範囲がどの程度浸水するのかを想定した、ため池ハザードマップを作成しております。各市町村でホームページへの掲載や、パンフレットの配布、掲示看板設置などによりお知らせしておりますのでご確認ください。

司会者ところで、ため池では、転落による死亡事故が相次いでいるとも聞きました。
なぜそのような事故が起こってしまうのでしょうか?

担当者事故の原因は、釣りや水遊びなどが多く、特に子供の場合、危険な場所だという認識がないままため池に近づいてしまうことが考えられます。
ため池は一見、水の中に転落してしまっても簡単に這い上がれるようにみえます。
しかし、実際には水の中はかなり滑るため、這い上がることは難しい状態となっています。
また、管理者の方はため池へ行く機会が増える時期になりますが、管理作業中では、特に草刈り中に誤って転落してしまう事故が多いです。
慣れていたとしても、作業は必ず複数人で行い、できる限りライフジャケットやヘルメットなどの安全具の着用をお願いします。

司会者万が一転落してしまった場合はどうすればよいのでしょうか?

担当者足がつかない場合、顔を出して水面に浮くようにしましょう。
人は全身の約2%を水面から出して浮くことができます。
慌てて腕を上げてしまうとそのぶん顔が沈んでしまいますので注意してください。
また、転落事故を目撃した場合、焦って手をつかんで救出しようとすると、一緒にため池に転落してしまう危険があります。
例え子供であっても、ため池の中から引き上げるのは難しいです。
救出する場合は、ロープなどを利用して救出を行い、万が一にも自分まで転落しないように注意してください。
普段から這い上がるためのロープやネットを設置しておくことが有効です。

司会者ため池に近づく際には注意しないといけませんね。

担当者はい。皆さん十分にご注意ください。
最後に、県では令和2年度よりため池サポートセンターを設置し、ため池管理者の方から相談を受け付けております。
ため池の管理に関する疑問や相談がある場合はお問合せください。
また、福島県ため池サポートセンターのホームページでは、先ほどお話しした防災重点農業用ため池の位置や点検動画などの情報提供を行っております。
インターネットで「福島県ため池サポートセンター」と検索してご確認ください。
問合せ方法も掲載されています。

司会者ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「ため池における安全対策」について、福島県 農林水産部 農地管理課の中川悠吾(なかがわゆうご)さんにお話を伺いました。