「ほ場整備の推進と儲かる農業」について

【令和6年10月30日】
担当者:福島県農林水産部 農村基盤整備課 副主査 松倉 卓也
司会者:rfcアナウンサー

司会者農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「ほ場整備の推進と儲かる農業」について、福島県 農林水産部 農村基盤整備課 松倉 卓也(まつくら たくや)さんに、お話を伺います。
よろしくお願いします。

担当者おはようございます。よろしくお願いします。

司会者まず、はじめに、ほ場整備とはどんなことをするのか教えてください。

担当者はい。
ほ場整備とは、面積が小さかったり、形が不整形な水田や畑の区画を大きくしたり、整形することに併せて、水路の舗装や農道の幅を広くするなど営農しやすいように整備することをいいます。
例えば、水田や畑の区画が小さいと小型の機械しかいれられないですし、形が悪いと、機械で何度も同じところを耕したり、ぬかるんだ農地では機械で作業できず人力で農作業しなければならなかったりと、作業効率が悪く、生産性もあがりません。
そのような農地をほ場整備によって、農作業効率が向上したり、農地の排水性を向上させることで、作物の生育が良くなるなど生産性を高めることができます。
また、農地と一緒に用水路や排水路を整備することにより、水路の土砂上げや草刈りなど水管理の手間が軽減されたり、農道を整備することにより農地までのアクセスが良くなるなど様々なメリットがあります。

司会者生産性が上がるだけでなく、作業がしやすい環境になることは嬉しいですね。

担当者はい。
近年では、農業従事者の高齢化も進んでいますが、ほ場整備を行うことによって、水管理や草刈りが楽になったなど、農作業の省力化が図られて地元の方に喜ばれています。
また、ほ場整備を機会に水田を畑地化することで、高収益作物への転換を促すこともできます。

司会者様々なメリットがありそうですが、ほ場整備とは、どのような流れで行っていくのでしょうか?

担当者一般的に、ほ場整備は土地改良法という法律に基づいて事業を進めるのですが、事業を行うに当たっては、ハード事業とソフト事業を一体として計画しなければなりません。
まず、ハード事業とは、主にほ場整備の工事に係わる事業のことで、県が行う場合は、受益面積20ha以上などの要件があります。
次に、ソフト事業とは、農家負担を軽減したり、土地改良区などを支援するための事業で、ある一定規模以上の面積や地区内農地の集積率を向上させたりするなど、様々な要件を充たすことが必要です。
このような事から、お一人の農地だけでは、ほ場整備を実施することは困難ですので、土地所有者や耕作者の方などを含めた地域のみなさんで話し合い、どのエリアでほ場整備を行うのか、ほ場整備を行ったあとの地域の営農将来像をどのようにするのか、などを検討し、地域の皆さんの意見を整理して、各市町村または土地改良区へ要望してください。
その後、市町村と県、国との調整がなされた後に、ほ場整備を実施できるようになりますが、要望が必ずとおるわけではありませんので、ご注意ください。
次に、ソフト事業とは、農家負担を軽減したり、土地改良区などを支援するための事業で、ある一定規模以上の面積や地区内農地の集積率を向上させたりするなど、様々な要件を充たすことが必要です。
このような事から、お一人の農地だけでは、ほ場整備を実施することは困難ですので、土地所有者や耕作者の方などを含めた地域のみなさんで話し合い、どのエリアでほ場整備を行うのか、ほ場整備を行ったあとの地域の営農将来像をどのようにするのか、などを検討し、地域の皆さんの意見を整理して、各市町村または土地改良区へ要望してください。
その後、市町村と県、国との調整がなされた後に、ほ場整備を実施できるようになりますが、要望が必ずとおるわけではありませんので、ご注意ください。
一般的に要望から工事着手されるまでスムーズにいって6年程度の期間がかかります。

司会者個人の方の農地を公共工事で整備する訳ですから、要望の内容に対していろいろな確認や手続きを行ったりすると時間を要するということですね。
そのほかに、ほ場整備の要望を行う際に注意事項はありますか?

担当者はい。
ほ場整備事業は公共事業でありますが、工事に必要な事業費の一部を土地所有者や農家の方に負担してもらうこともあります。地域の話し合いの際には、そこも考慮して話し合いを行うことが大事です。

司会者なるほど、わかりました。
ところで、先ほど、説明の中で「高収益作物」という言葉がでてきましたが、「高収益作物」とはどのようなものですか?

担当者「高収益作物」とは、主食用米と比べて面積当たりの収益性が高い作物のことで、野菜や花き、果樹に該当する作物のことです。
各県により推進している品目は違いますが、福島県では、きゅうり、トマト、ブロッコリー、ねぎなど15品目を推進しています。

司会者たくさんの種類の高収益作物があるんですね。

担当者はい。
近年、国内では食生活の多様化に伴って、様々な作物が流通していますが、その時のニーズやトレンドによって需要は変わってきます。需要が減るということは、価格にも影響してきます。せっかく頑張って農作業をしたのに需要が低いと安い価格でしか売ることができません。
そこで、市場のニーズやトレンドを把握し、需要の高い作物を作ることで、「儲かる農業」を目指すことが重要だと考えます。

司会者具体的に「儲かる農業」とは、どういうことでしょうか?

担当者「儲かる農業」にはいくつかのポイントがあります。
1つ目は、先ほどお話したように、市場のニーズやトレンドを把握し、需要の高い作物を作ることです。近年では、作物をブランド化する取組みも増えてきています。ブランド化することで、他との差別化を図ることができ需要を増やせれば、作物の価格もあがり、収益を増やすことができます。
2つ目は、生産量を増やすことです。ほ場整備により作物の生育環境が良くなることで、作物の品質を良くしたり、生産量を増やすことができます。また、冒頭で水田を畑地化するとのお話をしましたが、いきなり畑地に転換するのに抵抗がある場合は、ほ場整備を始める前に、いくつかの高収益作物を試しに作付けし、自分たちの地域に適した作物を見定めるということも有効です。
3つ目は、生産にかかる労働力を減らすことです。労働時間に対する費用対効果を考えることも大事です。ほ場整備を行った地域は、草刈り作業や水管理を軽減するための整備も実施しています。また、最近では、ロボットやAIを使用するスマート農業も盛んになってきています。ドローンによる肥料等の散布や用水パイプラインの自動給水栓化など様々なものがありますが、どれも労働時間の削減や労働力の確保につながっています。
近年は農業従事者の高齢化や人数の減少により、営農を継続できない農家さんも増えてきていますので、是非、スマート農業にも取組んでいただければと思います。

司会者わかりました。
ほ場整備を行うことによって、整備工事を行うことだけではなく、その後の営農についても良いことが沢山あることがわかりました。
農家の皆さんが、「儲かる農業」を目指すことで、福島県の農業がさらに活性化すれば良いなと思います。
今朝は、「ほ場整備の推進と儲かる農業」について、福島県農林水産部農村基盤整備課の松倉卓也さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。

担当者ありがとうございました。