「福島県の農地地すべり」について
【令和7年10月29日】
担当者:福島県農林水産部 農村基盤整備課 技師 岡本 和基
司会者:rfcアナウンサー
司会者
農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「福島県の農地地すべり」について、福島県農林水産部 農村基盤整備課 岡本 和基(おかもと かずき)さんに、お話を伺います。
よろしくお願いします。
担当者おはようございます。よろしくお願いします。
司会者まず、はじめに、ニュースや防災の話題でよく耳する「地すべり」ですが、「山崩れ」とどう違うのでしょうか。
担当者はい。「山崩れ」は、表面の土砂や岩などが一気に崩れ落ちる現象ですが、「地すべり」は斜面全体がまとまって、比較的ゆっくりと動く特徴があります。
例えるなら、「山崩れ」は、重ねた本の一番上の1冊目だけが動くイメージですが、「地すべり」は、一番上とその下2冊目、3冊目もまとめて動いているイメージとなります。「地すべり」は、表面だけでなく、地下深くの弱い層を滑り面として、大きなかたまりごと動いていきます。
そのほか、「地すべり」と「山崩れ」では、発生しやすい地質や土質、地形なども異なります。
司会者なるほど。「地すべり」は比較的ゆっくりとのことですが、どのくらいの速さで動くのでしょうか?
担当者はい。1日に0.01mmから10mmのものが多く、山崩れのようにある日突然、ガラガラと落ちることは少なく、じわじわと動きます。
また、動く範囲も1haから100haと大規模になる傾向があり、田畑や道路、集落全体に影響することもあります。
司会者移動のスピードはゆっくりでも、影響範囲は大きいんですね。なぜ、「地すべり」は起きるのでしょうか。
担当者はい。主な原因は、地下水です。春先の雪解けや梅雨時期の大雨などで地盤に水がしみ込むと、地面の中の弱い層が滑りやすくなります。
他にも、地層そのものの性質や地震の揺れも原因となります。
司会者なるほど。主な原因が地下水だと、住民のみなさんや農家のみなさんがなかなか把握しづらいと思いますが、 「地すべり」には、前触れのようなものはあるんでしょうか?
担当者はい。地すべりの前触れとしては、山崩れの様に斜面に亀裂が入る、地面に段差ができる、樹木が傾く、井戸水や沢の水が濁るなどです。
こうした異変を見つけたら注意が必要です。
司会者わかりました。ところで、「農地地すべり」とはどのような区域のことを指すのでしょうか。
担当者はい。田畑などの農地や用排水路、農道、ため池などの農業用施設に被害を防止するため指定する区域になります。
司会者国や自治体では「農地地すべり」にどう対応しているのでしょうか。
担当者はい。「地すべり等防止法」という法律があり、昭和33年、1958年に制定されました。「農地地すべり」は、この法律に基づいて、区域を指定し、地下水を排除するためのボーリングや擁壁を設置するといった工事を行い、地すべりを防ぐための対策が取られています。
司会者地域の安全を守るために、法律によって定められているわけですね。
県内には、この「地すべり等防止法」によって指定された区域は、どれくらいあるのでしょうか。
担当者はい。県内の「地すべり防止区域」は、全体で156箇所あります。
そのうち、私たちが担当している「農地地すべり防止区域」は、41箇所になります。
司会者「地すべり」に対して、私たちができる備えは何でしょうか?
担当者はい。まずは、皆さんの住んでいる地域や付近に地すべりの発生する恐れのある箇所がないかを確認してください。県のホームページで住所をご確認いただき、詳細な位置や範囲については、最寄りの県農林事務所へお問い合わせください。
また、「地すべり」は、前触れがあることが多く、日頃から斜面や田畑などの農地、家の周りの変化に気を配ることが大切です。
住民のみなさんや、農地を耕作する農家のみなさんの気づきが第一歩となりますので、異変に気づいたら、市町村役場または最寄りの県農林事務所へ連絡、相談をお願いします。
県では、地すべり防止施設がきちんと機能しているのか、防止区域内に変化がないかなど、定期点検を行っています。機能低下が確認された場合には、補修などを行い機能回復をしています。
司会者日常の点検や地域のみなさんの気づきが第一歩なんですね。
災害の仕組みを知り、日常から意識することが、私たちの命と暮らしを守ることにつながることがわかりました。
今朝は、「福島県の農地地すべり」について、福島県農林水産部農村基盤整備課の岡本和基さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
担当者ありがとうございました。






