農業用ため池の届出の義務化について

【令和元年8月30日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部農地管理課 専門員 磯海 新也

司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家のみなさん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「農業用ため池の届出の義務化」について、ご紹介します。
お話しは、福島県 農林水産部 農地管理課の磯海新也さんに伺います。
まず、「農業用ため池の届出の義務化」とは、どのようなことでしょうか。

担当者

昨年7月の豪雨など、近年、豪雨等により多くの農業用ため池が被災し、甚大な被害が発生しております。
このため、農業用ため池の情報を適切に把握し、決壊による災害を防止するため、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が、今年の4月19日に制定され、7月1日に施行されました。

司会者

この法律の施行により、当面どのような対応が必要になるのですか。

担当者

農業用ため池の「届出制度」が始まりました。
法律の規定により、農業用ため池の所有者は、ため池施設に関する情報を知事に届け出ることが必要となりました。

司会者

届出をすべき人は、どのような方になるのですか。

担当者

法律の規定では、「所有者」となっておりますが、本法律の施行日7月1日前に設置されている既存農業用ため池については、農業用ため池の所有者だけでなく、管理者が届け出ることも可能ですので、所有者と管理者間で話し合いをして頂き、届け出るようにして下さい。

司会者

農業用ため池の所有者等は、全て届出する必要があるのですか。

担当者

ため池には、堤体部と貯水部があり、それぞれの敷地の所有者が異なる場合がありますが、堤体敷の所有者や管理者が届出することになります。

ただし、堤体敷の所有者が、国又は地方公共団体である場合は、届け出る必要はありませんが、個人等所有者に代わって市町村が管理している場合は、所有者と管理者である市町村と話し合いして頂き、どちらかが届出することになります。

司会者

なぜ、国又は地方公共団体が所有者の場合、届出する必要がないのですか。

担当者

国が所有するため池は、「国有財産法」により、また、地方公共団体が所有するため池は、「地方自治法」により、適切な管理が義務づけられているため、届出の対象外となります。

司会者

現在利用されていないため池は、届出の必要があるのですか。

担当者

農業用水の供給の用に供される貯水施設が届出の対象であることから、現に利用されていないため池であっても、利用し得る状態にあれば、届出の対象になります。

また、過去に農業用に利用していたが、受益地の農地転用等により農業用の利用を完全に廃止ししているものの、他の目的にも転用されていない場合は、豪雨等により堤体が決壊し周辺に被害を及ぼす恐れがあるため、届出の対象となります。

一方、農業用の利用を完全に廃止した上で、治水や工業用水等の他の目的に転用され、その目的側が適切に管理している場合や、既に埋め立てて公園や駐車場となっている場合は、届出の必要はありません。

司会者既存ため池は、届出の期限が定められているのですか?

担当者既存農業用ため池については、本法律附則の規定により、この法律の施行日から6月を経過する日までに知事に届け出なければなりません。
したがって、7月1日施行であることから、12月末日までに届け出て頂くことになりますが、役所が年末年始となるため、遅くとも、12月27日(金)までに届出して頂きたいと存じます。

司会者

本日は、「農業用ため池の届出」についてのみ、お話しさせて頂きました。

詳細については、県庁農地管理課のホームページに掲載しておりますので、ご覧頂きたいと存じます。
また、関係農林事務所 農村整備部や市町村担当課に問い合わせて下さい。