多面的機能支払交付金の取組の広域化について

【令和元年10月23日ラジオ放送】

担当者:福島県農林水産部農村振興課 技師 髙橋 将哲

司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さんおはようございます。
今朝の土地連だよりは、多面的機能支払交付金の取組の広域化について、福島県農林水産部農村振興課の髙橋将哲さんにお話しを伺います。
よろしくお願いします。
はじめに、多面的機能支払交付金とは、どのような対策なのか教えてください。

担当者

はい。農村で農業が継続して行われることは、私たちの生活に色々な『めぐみ』をもたらしています。これを「農業・農村の多面的機能」と呼んでいます。
例えば、水田は雨水を一時的に貯めることで洪水や土砂崩れを防ぐほか、多くの生きものを育み、また、美しい農村の風景は、私たちの心を和ませてくれるなど大きな役割を果たしています。
このため、各市町村ではこの対策により、農家の方々などが共同で行う活動を支援し、農業・農村の多面的機能の維持・発揮を図っています。

司会者

農業・農村は私たちが生きていくのに必要な米や野菜などの生産の場としてだけでなく、私たちの生活にいろいろな「めぐみ」をもたらしているのですね。

担当者

はい、そのとおりですね。

司会者

次に、この対策への取組状況について教えてください。

担当者

この対策は、平成26年度から実施されてきており、平成30年度は県内53市町村、1,416組織が63,513haの農地を対象として取り組んでおります。

司会者

多面的機能支払交付金は多くの地域で取り組まれていて、農村の持つ多面的機能の維持・発展が図られているのですね。

担当者

はい、そうですね。

司会者

ところで、農村部では高齢化や農家の減少が進んでいますが、この対策への取組に影響はないのですか。

担当者

はい、対策に取り組む組織の方からは、高齢化や人口減少の進行により、組織の体制を維持し、共同活動を継続していくことが共同活動を継続していくことが困難になっているというお話しを伺っております。
例えば、地域活動を牽引してきたリーダーや組織役員が高齢化し、世代交代が必要となっていますが、責任や事務負担が重荷となり、次世代のリーダーや役員のなり手がいないことや、活動を行う方々の高齢化により、法面の草刈りや水路の泥上げといった重労働への人材が不足していることなどが課題となっています。

司会者

そうした課題に対して何か対応策はあるのですか。

担当者

はい。対応策の一つとして、活動組織における協定を広域化する取組が挙げられます。

司会者それでは、どのような取組なのか教えてください。

担当者はい。集落単位等の比較的小さなまとまりで活動組織を設立した場合、高齢化や農業者の減少が進行すると、共同活動の人手が不足するなどの問題が生じることがあります。また、集落の課題解決や活性化につながる何か新しい取組を始めようとしても、ノウハウを持つ人が身近にいなければ、なかなか実現には至りません。
そのままでは共同活動が立ち行かなくなり、いずれ集落としての機能が失われてしまうかもしれません。
こうした状況を改善する手段の一つが、活動組織の広域化です。同じ問題を抱える近隣の集落等や活動組織がまとまり、事務を集約して処理し、共同作業を効率的に行ったり、各集落がもつ人材や知識・経験を提供しあったりすることで組織力を強化して、活動を維持・発展させることが期待できます。

司会者

複数の組織がまとまって事務を集約し、作業を効率的に行うことにより、課題を解決していくことが「組織の広域化」なのですね。
でも、今までそれぞれの活動組織で行ってきた活動は、広域化した後もそのまま継続できるか心配ですね。

担当者はい。その点は広域化しても活動内容は各集落、組織で決めることができるので、今までと同じ活動ができるので安心してください。

司会者そうですか。従来の活動はそのまま継続できるのですね。
では、広域化することのメリットをもっと教えてください。

担当者広域化により、単独では地域資源の保全管理が難しくなった集落を取り込み、集落間連携により活動を継続することが可能となります。
また、各集落が個別に実施していた交付申請、活動報告、会計処理、工事の外注手続き、保険加入等の事務作業を集約することで、各集落の事務作業の負担を減らすことができるほか、効率的な事務処理はミスを減らすことにもつながります。
さらに、用水路などの施設の補修・更新等を行う際に、老朽化の激しい施設や重要度の高い施設に予算を重点配分することが可能となることなどがあげられます。

司会者最後になりますが、組織の皆様が広域化へ取り組む際の、ポイントなどがあれば教えてください。

担当者はい。まずは、組織の皆さんでこれから5年後、10年後の自分達の組織の体制について話し合っていただくことが大切です。そして将来的に活動の継続が困難と予想される場合は、活動の継続を図るための一つの方策として組織の広域化を検討していただきたいと思います。

司会者ありがとうございました。今朝の土地連だよりは、多面的機能支払交付金の取組の広域化について、福島県農林水産部農村振興課 髙橋将哲さんにお話しを伺いました。