地域農業の振興への取り組みについて

【令和2年3月25日ラジオ放送】

担当者:会津若松市湊土地改良区 事務局長 五十嵐 賢一
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。「農家の皆さん」の時間です。
お話は、水土里ネット湊の五十嵐 賢一さんです。
五十嵐さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。本日は、よろしくお願いします。

司会者

今朝のお話は、会津若松市湊土地改良区における「地域農業の振興への取り組み」について、お伺いいたします。
初めに、土地改良区についてご紹介いただけますか。

担当者

はい。本土地改良区は、福島県会津若松市街地より東方、猪苗代湖の西岸に位置し、標高は約520mにある中山間高冷地で、西の背炙山、東の猪苗代湖の間にあって南北に約10kmにわたる地域で、一級河川「原川」沿いに展開する平地と、吉ヶ平ダム及び猪苗代湖からの揚水を主水源とする地域により構成されています。
国営代行農地開発建設事業を契機に昭和28年1月に「湊土地改良区」として設立し、その後昭和37年4月に赤井谷地土地改良区と合併し、受益面積1,035ha、組合員556人の土地改良区として現在に至っています。

司会者続いて、土地改良区の管理施設の概要についてお話ください。

担当者

はい。本土地改良区は、ダム1箇所、井堰1箇所、揚水機7箇所、用水路19.4km、排水路11.9km、ため池28箇所の維持管理を行っています。
基幹施設であるダムや揚水機等は、土地改良区が定期的な点検・補修を行い、機能保全に努めています。
また、水利係を設置するなど、組合員と一体となった施設管理体制を構築し、きめ細かな用水供給や施設補修等、徹底した維持管理を行っています。さらに、全ての揚水機を対象に水稲の中干し期には週3日を隔日で停止し、電気料の節減を図っています。司会者いろいろな工夫をされて施設の管理をなされているののですね。
それでは、土地改良区で行った事業、地域振興への取り組みなどについてお話ください。

担当者

はい。まずは、農業基盤整備事業の計画的な推進と円滑な取り組みです。
本地区は、戦後、農地の開拓事業が盛んに行われ、農地面積は増加しましたが、水源はため池と雨水だけに限られていたため、毎年用水不足に悩まされていましたが、吉ヶ平ダムの完成により用水不足が解消し、今日の地域農業発展の大きな原動力となりました。
さらに、本地区の主な土壌は、泥炭地で湿田が多いため農地の流動化も進まず、大型機械作業にも支障となっていました。
そこで、土地改良区としては、排水改良を先行して進めるとともに、未整備全域を対象に、県営ほ場整備事業に取組み、大区画化・耕地の汎用化と併せて、農地流動化対策を推進し、担い手への大規模な面的集約を図りました。

司会者

近年は、農業の担い手が不足し、地域の農業を守っていくのが難しくなっているとお聞きしますが、その対策についてはいかがですか。

担当者

はい。生産基盤整備事業による大区画化・汎用化により、農用地の利用集積が大幅に進みました。
また、安定した農業経営を展開するため、土地改良区が、農地貸借の仲介や事務手続を行いながら農地中間管理事業を有効活用し、農地集積を進めたところ、農地所有適格法人に管内の水田964haの約5割となる476haが集約されました。
これにより安定した農業経営が可能となり、今後も更に農地集積を進めていくこととしています。

司会者

そうすると土地改良区の運営にもご苦労があると思いますが、その点については、いかがですか。

担当者

はい。本土地改良区の運営については、「組合員が安定した農業経営に取り組むこと」を基本として、各種事業実施に伴う農家の負担軽減を図るため関係機関への陳情要請等を行っています。
こうした取り組みが組合員からの高い信頼を得て、過去3ヶ年の賦課金の徴収率は100%となっています。
また、基幹水利施設については、施設診断に基づき計画的な維持補修を実施し、維持管理費に係る地元負担も軽減しています。
また、地域の防災・減災については、防災重点ため池13箇所について、近年頻発している災害に備え、土地改良区が市・町内会と共に検討を重ねワ-クショップを実施しながら、ハザードマップを作成し、地域住民へ周知徹底するなど防災減災対策にも積極的に取り組んでいます。

司会者土地改良区の取り組みに対する地域住民や関係団体との連携についてお願いたします。

担当者はい。本土地改良区では、多面的機能支払に積極的に取り組み、土地改良施設等を保全するため、活動組織に精力的に参画し地域との連携を図ってまいりました。
これにより、地域の農村環境保全活動が広がり、さらには土地改良区の業務運営に対する理解が進むなど、各活動組織から高い評価を得ています。

司会者ところで、農林水産大臣表彰を受賞されたそうですが、どういった取り組みが評価されたと思いますか。

担当者はい。営農条件や生活環境が厳しい地域にあって、土地改良区が中心となり、地域全体を計画的にほ場整備を推進したことにより、1集落1農場を目標として地域毎に9つの農地所有適格法人の組織化と農地中間管理事業へ積極的に関与し、地域農業の担い手の育成に努めた点だと思います。

司会者今朝は、ありがとうございました。